第39話 よくナンパされる
登場人物
七海 中性的な顔立ちの少年、女装も板に付いてきた今日この頃
氏家 和泉に告白した美少女
オレは七海、七つの海と書いてナナミと読む。
夏休み、和泉と頻繁につるむ一方でオレは氏家さんともよく出掛けるようになっていた。
以前、和泉に告白した少女である。
もう一度会いたいという彼女からのリクエストを和泉を介して受けたオレは、近所の公園で彼女と再会して、その日にラインを交換してから交流が始まった。
呼び出されたときは一体何事かとビビっていたけど罵られることもなく、僕らは普通に友達になった。
ここ最近は割合的には和泉といるより氏家さんと一緒にいる方が多いかもしれない。
和泉、氏家、氏家、和泉、氏家、アニキ、山田、氏家って感じだ。
氏家さんと会うときは、もちろんオレは女装している。
もうなんかどうでもなれって感じで最近は慣れてきている。
しかし、ショーウィンドウに映った自分の姿を見て我に返り、ずーんと気持ちが沈むときがある。ふとした瞬間にハハハと乾いた笑いが漏れるのだ。そんな自分が嫌だ。
女物の洋服に関しては兄貴が定期的に渡してくるので困ることはない。いや、それはそれで困るのだけど……。
彼女とはショッピングに行ったり、街をぶらついたり、水族館に行ったりとやってることは男同士で出掛けるのとあまり変わらない。
ただ、しょっちゅうだ。頻繁にナンパされる。それこそ十メートルに一回は声を掛けられる。
オレがあたふたしていると氏家さんが「ウザい、キモい、あっちいけ」と一蹴してくれる。なんとも頼もしい。オレが女の子だったら惚れてしまうだろう。
彼女はオレの騎士で、オレは彼女にとってお姫様なのではないかと錯覚してしまうほど、彼女はオレのことを守ろうとしてくている。
そして、オレは彼女に会うたびに「カワイイカワイイ」と連呼して彼女を褒めちぎっている。
オレは彼女にもっと自信を持ってもらいたいと思っているのだ。
その甲斐あってか、初対面のときみたいにトゲトゲした感じはすっかり鳴りを潜めた。
カワイイと伝える度に顔を赤らめてうつむいてしまう彼女はとても可愛い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます