第38話 男相手にそんなこと

登場人物

 和泉 見た目は俺様系イケメン

 七海 中性的な顔立ちの少年


 


 だって和泉に夏バテで倒れらでもしたら困る。

 来週の夏祭りは和泉不在で山田たちと行くハメになってしまう。それはマズい……、山田たちはあの手この手でオレを女装させようとしてくるはずだ。

 和泉には無理やりにでも栄養を取らした方がいい、そう思ったんだ。


「……」

 

 オレが差し出したシェイクを和泉は見つめている。

 ちょっとバカっぽく口を開いたまま固まっている。和泉らしくもない。


「どうした?」


 和泉はシェイクを見つめたまま答えない。


「あー、そっか……さすがに同じストローを使うってのは、ないよな……」


 オレがシェイクを引っ込めようとした瞬間、和泉はオレの手からカップを奪い取った。


 そして、眼をキュっとつぶってストローを咥えた。頬をすぼませてバニラシャイクを一生懸命にすすっている。


 どういう訳か、和泉の顔は真っ赤だ。

 それはまるで関節キスを恥ずかしがる女子みたいに赤面している。なんだかこっちまで気恥ずかしくなってくる。

 たかだかドリンクの飲み回し、運動部の部活ではよくあることだ。

 


 しかしながら、顔を赤らめる和泉を見ているとなんだかこっちまで恥ずかしくなってくる。

 それにオレはそんな和泉を見て、「ちょっとこいつ可愛いな」って思ったんだ。



 ――男相手にそんなことを考えるのって……やっぱり変だよな。



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