第37話 ソワソワ
登場人物
七海 中性的な顔立ちの少年
和泉 見た目は俺様系イケメン
オレは七海、七つの海と書いてナナミと読む。
あの日、和泉がオレの家に来た日以来、兄貴からの嫌がらせはパタリと止まった。
これも全て和泉がガツンと兄貴に言ってくれたおかげだ。
と言っても、ふたりの間でどういうやりとりがあったのかオレは知らない。だけど和泉はホントに頼りになるヤツだ。あの兄貴を説得してしまったんだから。
それからというもの、オレは和泉とよく出掛けるようになった。
図書館に行ったり買い物に行ったり海に行ったり、プールに行ったりと中学生らしい夏休みを満喫している。当然ながら女装はしていない。
今日は和泉と一緒に映画を観に来ている。男ふたりで観るのはどうかと思う恋愛映画だったけど、まあ、悪くはなかった。
最近、実はちょっと和泉に違和感を覚えていた。
なんだか和泉が妙に落ち着きがないように思えてならない。オレと一緒にいるとき、特に隣にいるときにソワソワしている。この前まではそんなことなかったのに。
それに和泉がごくりと喉を鳴らす回数が増えた気がする。いや、もとから和泉が喉を鳴らす挙動なんて気にしたことはなかったけど、オレが気が付くほどには多くなっているのは確かだ。
まあ、夏だし喉が渇くのだろう。
それに食欲もないらしく映画の後に立ち寄ったマックではポテトしか注文しなかった。
「和泉、ちょっと飲むか?」
オレは和泉に飲みかけのバニラシェイクを差し出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます