第二章
第17話 結果発表
登場人物
七海 中性的な顔立ちの少年物
和泉 見た目は俺様系イケメン
期末テストが終わってから一週間が経過した。
今日、テストの採点が終わり順位が発表される。
でも、うちの学校は順位の一覧が廊下に張り出されることはない。以前は張り出されていたそうだけど、プライバシーを理由に数年前に廃止になった。
その代わりに順位表が各生徒に配られる。
小さな紙に自分の総合得点と総合順位が記載されている。だから誰が一番で誰がドベなのか自己申告しなければバレる心配はない。
今回に関しては、オレは自ら進んでクラスの連中に自分の順位を示す必要がある。
週一のLHRの時間、オレは教壇に立った。
「それではオレの順位を発表する。オレより成績が良かったヤツは順位表を持ってオレのところまで来い。オレより順位が上なら約束通り、女装してさらに何でも言うことを一つ聞いてやるぞ」
ごくり、と唾を呑み込む音が教室を満たした。
いつの間にかクラスの連中は戦士の顔つきになっていることにオレは気付いた。
ああ、こいつら意外とマジだったんだな……。
若干「マジかよ」と引きながらもオレは自分の順位表を高々と掲げる。
「オレの順位は学年三位だ!」
しーん、と静まり返る教室。
数拍置いて溜め息が津波のようにドッと押し寄せた。
「無理ィー!」山田が叫ぶ
「勝負にならん!」小島が泣いた。
「やるな七海、だが俺は二位だ。下から数えてだがな」委員長が眼鏡をクイッとさせてほくそ笑んだ。
オレは自分自身の尊厳を死守したことを確信した――のだけど、その日の放課後のことだ。
「七海……」
昇降口で靴を履く俺が振り返ると和泉が立っていた。
真剣な眼差しでオレも見つめている。
保健室での一件以来、オレたちの間には少し気まずい空気があった。
どこか互いを意識するようになってしまい、無意識に避けてしまっている。
「なに?」
オレの声はどこかよそよそしい。視線も泳いでいるに違いない。
「明日の放課後、旧校舎の生徒会室で待っている」
和泉はそれだけを伝えると踵を返して行ってしまった。
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