第〇九鍵:倭英蘭仏

第〇九鍵:倭英蘭仏


トロッコ列車、オーカワチ駅に到着。

マハラジャンテが出迎えている様子はない。


アルベルトの万能水晶がメッセージを受信。

間違いない、マハラジャからだ。

『トロッコが遅延しない限り

 16時09分にオーカワチに着くはずだわ。

 ザ・シューナン・チキータで

 お待ちしています from:マハラジャンテ』


「ザ・シューナン・チキータはお店か何かなの?」

キユスの質問に

「古代から雷舞会場と呼ばれる祭典場ですじゃ。

 お祭り男故に、粋な場所を選ばれましたな」

雷舞=今でいうLIVEに当たる儀式。

「アタシもお祭りだぁ~い好き!

 林檎飴でしょう、キャンディーアップルズでしょう

 アップルストロープでしょう

ポムダムールでしょう……」

はしゃぐマゲス。冷めた眼でイエクが

「ううん、高学歴のひけらかしだ。

 何カ国語でりんご飴大喜利する気?」

オネエは高学歴だと専らのウワサ。

「ちんちくりん、よおくお聞きなさい!

 飴=倭語 キャンディー=英語

 ストロープ=蘭語 ダムール=仏語よん」

「古代世界の四カ国語の披露ですな。結構、結構」

感心するアルベルト。倭英蘭仏は古代国の名称?


「ガイアにあった大陸は天災震災人災で

 一度リセットされたらしいね。

 シェルターに身を隠して生存した人類が

 僕等の祖先に当たるんだっけ?」

学校で習った大体のことをお披露目するキユス。


ダラダラとくっちゃべりながら

ザ・シューナン・チキータを目指す一行。

『周南TIKI-TA』の看板

「ザ・シューナン・チキータ、あれかなあ?

 TIKI-TAってチキータのことだよね?」

キユスが活発に発見! マゲスも続いて

「TIKI-TAの前の古代文字が

 ザ・シューナンって意味かしら?」


アルベルトが万能水晶を取り出して

『ザ・シューナン 古代文字』と音声検索。

『The 周南』とHIT!

検索結果を受けて……

「ふうむ、間違いないですな。

『周南』はシューナンの古代文字ですじゃ」


「なあBOSS、僕等も万能水晶欲しいよな?」

「うん、色々な場面に役立ちそう……」

「キユスくん、イエクくん

 確かに万能水晶は一人ずつにあっても

 無駄にはならんじゃろうが

 高価な鉱物故に入手困難ですぞ?」

「じぃじと離れる訳でもないなら

 今すぐに求めなくてもいーんじゃなあい?」

三言を受けて、軽くいなすマゲス。


「まあ、マゲスの正論だね。

図鑑完成させて、印税で水晶買おうっと!」

「ううん、本が売れない時代だよ?」

出版志願者の出端をくじく冷めた発言。


「図鑑は売れると思いますぞ!

 内容が徹頭徹尾に渡って充実しており、

新種が多数掲載されておれば尚更ですじゃ!」

当たり前のことだが、希望を持てる発言だと思われ。

少年よ、校区外で新たな地属性と出逢うのだ!

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