五.過去の秘密

 新年を迎える夜ばかりは、一年で一度だけ子どもにも夜更かしが許される。王家でも内宮の居間に皆で集まって、大人たちは酒杯を傾け、子ども三人はソファに並んで談話に興じた。

 一年の始まりには清き光が昇るものとされていて、冬の澄んだ空に月初めの日が昇る時がそれだ。最も長い夜が明ける、始まりの日の出を待つというのが夜更かしの名目になっている。日が暮れたら寝巻に着替えてしまって、星が出ている間は軽い食事をつまんだり酒をたしなんだり、先祖の伝承を父母から聞かされたり、子どもらが詩や音楽を披露したりするのが通例である。

 ジルケもアルマも、もちろん私も、この年末の宵を楽しみにしていた。アルマは母君と練習したのだという新年を心待ちにする歌を披露し、ジルケは最近の気に入りだという詩人の詩を幾編か選んできた。私は歌も楽器も得意ではないので、ユーザルの伝承が納められた本から精霊の短編を朗読した。

 兄上も妃様方も、私たちのたわむれのごとき小さな舞台を大げさなほどほめてくださる。酒が入って陽気なのかと思って問うと、少しくらい羽目を外す夜があってもいいだろうと笑われた。

 エルヴィラ様はきれいに響く声でモウェルの民話を聞かせてくださったが、誰よりも酒杯の進みが早い。ヤスミーン様はわずかな間だったが竪琴を弾いてみせてくれ、ジルケとアルマが曲に合わせて声を揃えて歌ったのは極上の時だった。カーリン様は街で流行っているという、絵に合わせて即興で話を作るというのをやってみせてくれ、兄上が紙を一枚用意して絵を描いてくださった。

 昨年までは内宮と後宮の夜は別たれていたから、兄上もエルヴィラ様も私たちの催しに参加してくださるなどとは考えたこともなかった。これも、後宮制を廃止したゆえのよい変化だろう。

 ヤスミーン様は明後日からのあいさつに体調を崩したくないとおっしゃって、早いうちに辞してしまわれたので、私がジルケを預かることにする。アルマとも一緒に、最後まで起きていて日の出が見たいものだと話し合っていたのだが、まずアルマが星の刻にもならないうちに寝落ちた。仕方なしに、アルマの体がソファから落ちぬように抱きかかえてジルケと小さな声で話をしていたのだが、末姫の高い体温に引きずられたのか、いつの間にか私も眠ってしまっていた。

 かくん、と頭が落ちてはっとして目が覚める。身を起こそうとして、片腕にはアルマが丸まって寄りかかり、もう片方はジルケに抱きかかえられているのに気がついた。

 私が起きたのに気がつかれたか、兄上が傍の小卓に杯を置いて、くすくすと笑う。

「兄上……」

 困り果てて見上げると、

「あまりに可愛らしいものだから、そのままにしていたのだが。姫たちを連れて行こうか」

 言って、そっとジルケの手を解いて抱き上げる。私も参りますと申し上げて、アルマを抱きかかえて後宮へ向かった。カーリン様もまあアルマったら、と上機嫌に言いながら、姫たちの荷物をまとめて後をついていらした。

 侍従長とカーリン様に姫たちを任せて、兄上の後を追って内宮へ戻る。目もとをこすっていると、もう眠いのなら寝なさい、とたしなめるというよりはからかうように言われる。

「……そういたします。寝過ごしてごちそうを食いはぐれるのは悔しいものでございますし」

 今年も日の出を見るのは無理そうだ。兄上はそうしなさい、と軽く私の髪をなぜて、居間に戻られた。


 新年の目覚めには清らかな水を一杯飲むことになっている。昼前まで寝ていたにも関わらず寝不足を訴える頭がさえて、体の中まで浄化された気になるから不思議だ。鐘前の時は水しか口にせず、家族で四大神に祈りを捧げる。新しい年を迎えた印に身を清める意味があるが、アルマのような幼子にはわからぬようで、先からしきりに扉の方を見ては、ごちそうを待ち構えている。

 鐘が鳴ったら新年のごちそうがふるまわれる。最初の日は一家だけでゆるりと過ごすのが伝統であり、この日は文官も仕事がない。騎士たちには護衛をしてもらわねばならぬゆえ、少々申し訳なくもあるが。居間でゆったりと本を広げる兄上や菓子をつまみ食いするアルマは置いておいて、私は我が騎士のところへ向かった。

 ジークでさえも兄上に強制的に休みをとらされているというのに、近衛の当番を引いてしまった不運な我が騎士は、あまり己を不幸とは思っておらぬ顔で内宮の入り口に立っていた。

「こんな日まで務めとはくじ運がなかったな、カスパー。今年はこんなことがないように祈っておくとよいぞ」

 そう軽口を叩くと、そうですね、と微笑まれる。真面目な話、王族としては不適切だろうが、彼の主として私はカスパー以外が当番に当たってほしいと願っていた。

「新年に恋人を放っておかねばならぬとは、我らが恨まれはしまいな?」

 額に手をやって言うと、それはございませんよ、とカスパーは笑う。

「新年は家族と過ごすものでしょう。私を気遣ってくださっているのなら、恋人は帰省しております故心配いりません」

 私は、王宮の仕え人で恋人同士である者は、まとまった休みの取りやすい新年を楽しみにしていると聞き及んだゆえ心配しているのだが。というか、私の仕え人のうち帰省させたのはモニカだけだぞ。もう隠す気はないのかな、この二人は?

 私もヘマに会いたいものだ。


 年が明けて一週間は、領主の一族の代表が王にあいさつに来る。客間には貴族が入れ替わり立ち替わり訪れ、王宮は新年の祝いとしてごちそうでもてなす。

 星姫様は先の来訪を新年のあいさつの代わりとするとおっしゃって去られたので、今年はいらっしゃらない。オイゲンとハルトが祝いを述べにきたので、例の嫌がらせを実行したら兄上に叱られた。まあそうだろう。叱られる前提で行動したので反省はせん。カサンドラ殿も父君を引っ張ってあいさつに来た。私は王弟として謁見の間には立ち入り自由と言われたので、見ておれば堂々と立派なあいさつをするものだと感心していると、後で顔を合わせたら、

「緊張で死ぬかと思いましたわ! なぜ助けてくださらなかったんですのヴィンフリート様! お友だちのくせに薄情ですわ!」

 と意味のわからぬ責め方をされた。

「上手いことやっておったゆえ、助けなど必要ないかと見えたが」

「こちらは心の臓が破れるかと思いましたのよ! わたくしの婚約者でしたら顔色の悪いことくらいすぐに気づいてくれますのに殿下ったら!」

 いつものごとく軽口を叩き合っていると、クローデル候の方が蒼白になってしまった。いくら友人とはいえ、人目を気にせずに会話をぶん投げるのはやりすぎたか。

 婚約者といえば、じき私の方も婚約が成りそうだと告げると、

「まあ、おめでとうございます! 結婚式には絶対招待してくださいましね!」

 と目を輝かせて、まるで己がことのように喜んでもらってしまった。

「気が早いな!」

 照れ隠しに口もとを袖で隠して笑うと、予約ですわ! と彼女は胸を張って言ってきて、私たちは客間の廊下の真ん中で声を上げて笑った。

 はっきり言って迷惑だな。次から自重するとしよう。

 他におもしろかったのは、ケンギン公の名代で来た騎士が、金茶の髪の元気がよい青年だったこと——以前の夜会でケンギン公の従者であった青年は黒髪の穏やかそうな青年だったはずだ——や、ハイスレイ公がやはり約束の時間より少し遅れて慌ただしげにやってきたことなどだ。

 ヘマに新年の様子を書いて送ると、かわいらしく怒った様子で返事があった。

『こちらの新年の宴はただの酒盛りだわ。親族が集まったところで騒ぎの種にしかならないのですもの、せっかくの祝いなのにね!

 やはりそちらにいってお前と過ごしたかったわ。そのほうがずっと楽しかったでしょうに。』

 ぜひこちらに招待しよう、と言ってやりたいところだが、白の塔の巫女姫がおらぬ新年会など、なあ。

 それに私もあちらの様子は気になるところだ。私もティエビエンの宴を見てみたいな、と書いていたので、それに対しても返しがあって、

『宴には来ない方がいいと思います、本当にただ酔っ払いが大騒ぎしているだけですから。とても他国の王族に見せられたものではないわ。私なんて素面しらふだから大人たちの間をぬって逃げているんですもの。ヴィンがいたら助け出すのが大変だわ!』

 救出せねばならぬことになるのか、と笑ってしまって、部屋で一人で震えていたから、傍目から見たらおかしなさまになっていたことだろう。

 新年は楽しさのままに更け、やっと落ち着く頃には清光月も半ばは過ぎてしまっていた。


 姫たちも旅立つことになった。ヤスミーン様は最後の務めをよく果たされたが、体調が思わしくないのは見ていてもわかって、ジルケが心配するのもわかる。アルマは再びミレネアに戻れることにはしゃいでいたが、出立の前の夜になると大人しくなってしまった。

「もう戻れぬわけではない、お前たちが望めばいつでも宮へ戻ってきてよいのだぞ。そんな顔をするな、しばらくは会えぬのだから、笑顔を見せてくれぬか」

 冬の温かい旅装束に身を包み、寂しげにする姫たちを抱きしめてそう告げた。

「はい、お兄様。また会いに来ます。お手紙も書きますわ。きっとお返事をくださいますわよね?」

 ジルケは薄紫の瞳をうるませて、微笑む。

「ああ。息災でな」

 笑んでみせると、アルマも一生懸命に、

「なつにはかえってきますわ! ヴィンあにうえさまも、おげんきでいてくださいっ」

 と力いっぱい抱きついてきた。慣れ親しんだ腰のあたりまでの温かい熱が、離れていってしまうのは私とて寂しいが、今生の別れなどではないのだ。門出と言った方がふさわしい。ならば、泣くなどともってのほかだ。

 兄上とエルヴィラ様も見送りに出てきて、姫たちとあいさつを交わした。荷が運び込まれた馬車の列の真ん中に、ヤスミーン様とカーリン様、そして姫たちが乗り込んだ車を手を振って見送る。

 銀世界の向こうに馬車の影がかすんで見えなくなるまで、私も兄上も肌を刺すような冷たい空気の中から動かず、とうとうオイゲンにたしなめられた。

 その日の鐘後にはまた雪が降り、姫たちが早いうちに宿にたどり着けることを願った。



 夜光月に入ろうかという頃に、朝食の席で兄上が手紙を手に考え込むようになった。何の手紙かと尋ねたところ、少しな、とごまかされる。

 心配ではあったが、悩み事に心をさいなまれるというよりは苛立たされているかのような珍しい様子に進展をうかがっていたら、ある夜、提案があった。

「ヴィン、私の身代わりをして街に降りる気はないか」

「はい?」

 唐突な問いに取り繕いもない声を出してしまって、兄上の顔を見上げると、珍しく眉間にしわを寄せた腹立たしげな顔をしていた。

「何のお話です?」

 問うと、軽くため息をついて首を振り、

「ヤネッカー候の話だ」

 居間の暖炉には火が入り、窓の向こうの中庭を埋め尽くした白など関わりないと言うように部屋を暖かくしている。それでも雪は音を吸うものだから、兄上の声はしんとして響いて、どこかおごそかな気持ちになった。

「ヤネッカー候の? 兄上が新しい侯爵を任命なさったのではないのですか」

「向こうが拒否しておるのだ」

 だというのに、話の内容が思いがけなさすぎて、奇妙な気分になる。

 兄上の語ったことによると、事の次第はこうであった。

 兄上が新しいヤネッカー候に、と考えていた男は先候の長子で、もとは次の侯爵位を期待される秀でた者だったらしい。名はマティアス。

 心優しい男で、寒さが厳しく土地も豊かとは言えぬ領地の民に少しでも楽をさせてやりたいと、王都の学術研究所に来ていたことがあり、兄上はその折に会ったことがあるそうだ。やがて領地に戻り美しい妻を迎えたが、四年前、雪の事故で愛する妻とまだ三つの幼い娘を一時に失ってしまった。それ以来狂ったようになり、先のヤネッカー候は愛情をかけていた長子を失ったと悲嘆にくれながら彼を王都近くの別邸に幽閉したという。

 しかし、兄上は彼と文通を続けていた。文の中では彼はどう見てもまともだった、と兄上は言う。妻子を亡くし落ち込んでしまったのはまことのようだが、それだけでなく、彼は父親の語る『野望』についていけない、しばらく政務から離れたい、と言っていたのだそうだ。兄上は手紙を通して説得を続けたが、彼を次期侯爵の座に戻すことは叶わず、とうとうこのようなことが起こって、野望とはいかなるものだったか何となくわかった、と呟かれる。

「では、その父親ももはや戻らずとなれば、彼は侯爵になろうと思うのでは?」

「私もそう思っていたのだがな。……どうやら別のことに執心しているらしい」

 ふむ、と兄上は考え深げにあごに手をやって、

「それは娘のことではないか、と思うのだが」

 聞けば、雪で足を滑らせた馬車が冷たい川に浸かり、妻の方は溺死したと思われる遺体が見つかったそうですでに領に埋葬もなされているそうだが、娘の遺体が見つかっていないのだという。

 当時まだ三つの幼子だ、軽い体では下流へ流されてしまっても仕方がないだろうと候領の兵たちも先候も処理したそうだが、どうもマティアス殿は、娘が生きているなら探し出したい、そうでなくともきちんと葬式をあげるまではまともに仕事などできやしないと公言しているらしい。

「これには私も参ってしまってな。気持ちはわからぬでもなし、できれば友としてそっとしておいてやりたい気持ちもあるのだが、このまま新侯爵の任命が滞っては困る」

 と兄上はため息をつく。

「マティアスが幽閉の身に甘んじていたのも、娘を手の者を使って探し出すためではないかと踏んでいるのだ。そこで娘の行方を捜索させていたのだが……」

 そう腕を組み、わずかにためらったのちに、兄上は言った。

「実は、お前たちには隠していたのだが、もう一つ探らせていたことと妙な符合があった」

「……何を、でございますか?」

 少し不安になってソファから身を乗り出した私に、兄上は安心させるように微笑んで、

「もう終わったことを、だよ。あれのこの数年の行動だ」

 詳しく聞けば、兄上は元第二王子の彼の足跡を調べていたのだという。二度とこのような事件を起こさぬよう、彼が王権を狙う味方をした者どもを把握すると同時に、過去を整理しておく意味もあった。

「その中で、あれが幾度か立ち寄っていた場所があってな。あれの計画とは関わりないと思われた故、気にかけておらなんだが……」

 兄上があごをさすって、呟くように告げる。

「それは公道沿いの宿場なのだが。男の子どもしかいなかったはずの夫婦に、二年ほど前に四、五才ほどの娘ができたというのだ。その娘を慈しむでもなく、どこか冷たげに扱っていると近隣の町で噂になっているそうでな、怪しかろう」

「それは……偶然にしてはできすぎておりましょうな」

 彼の計画に最も深く関わっていた家の長子の娘は、四年前、三才の幼さで行方不明になり。彼がよく立ち寄っていた宿場に、二年ほど前、突然四、五才の娘が現れた。

 これは確かめねばならぬことだろう、が。

「それと私が貴方様の身代わりをして街に降りることと、何の関りがあるのでございますか……?」

 すでに読めてしまっていることを、確かめたくなさにおそるおそる問うと、兄上はいい笑顔をして、

「わかっておるだろうに、ヴィン。お前に私の代わりにその宿場を訪ね、娘を連れ出してほしいのだよ。もちろん、私も姿を隠してついていく故心配するな」

 心配せずにおれますか、これが?

 嫌そうな顔を作る私に兄上は声を立てて笑って、さあ一週間の旅をするぞ、と楽しげに言いつけた。


 国王の命に逆らえる王宮ではない。私は兄上の強引さにあっさりと押し切られ、侍従たちに準備を済ましてもらい、宰相に哀れみの目で見られながら旅立つことになった。

「お気をつけくだされよ。疑うべきところもないような小さな宿屋ではありますがの、乱に至るまでのきっかけともなったかのかもしれん娘でございます故」

 馬の仕度をしながらエッボが言う。

「エッボが調べてくれたのか?」

「わしじゃのうて、わしの部下たちでございますじゃが。不思議な縁もあったものですじゃ、ささいなはずのことがここまで長きに渡ろうとは……いや、これ以上はわしからは申し上げますまい。部下の腕は確かでございますからの。ご自身で確かめていらしてくだされ」

 と老馬番は首を振る。

「お前はついてこぬのか?」

「わしはしがない馬番ですじゃよ、殿下」

 お前まで私を見捨てるのか! とふざけて文句を言いつつ、結局は馬車に乗って見送られるのに甘んじた。これほど詳しい情報を得てくれた影の者たちを、余計に働かせるわけにもいかん。

「なぜ陛下ご自身が顔を見せて足を運ばれぬのです?」

 わけもわからず押しつけられた役目に皮肉を込めて疑問を呈すると、兄上は楽しげに笑いながら答える。

「顔を見られるわけにはいかぬのだよ。『彼女』は私の顔を知っている可能性がある。しかし、私たちはヤネッカー候の使者のふりをして娘を連れ出さねばならん」

「……そうでございますね。王宮の名を軽々しく使うわけにはいきませぬし……」

 それならば、兄上が私にと名指しした意味もわかる。兄上の政策の要となり得る、次期ヤネッカー侯の任命に関わることに兄上ご自身が姿を見せられぬなら、他の貴族に組する可能性もある官吏に任せるよりは私に任せた方が安心はできるだろう。

「ですが、それではなぜ兄上もついてこられたのです? 私だけが行ってその間に、例の男に侯爵位を拝命するよう説得を続けた方がよろしかったのでは」

 首を傾げると、兄上は馬車の椅子に背を預けて苦笑した。

「いや、最初は私もそのつもりだったのだがね。しつこく言い過ぎたのか、一週間立ち入り禁止を申しつけられた」

 いくら友とはいえ国王陛下に?

 唖然とする私に兄上は口を開けて笑って、相変わらず豪気なやつよ、と言う。

「そこでこうして別のところへ行ったと油断させて、特大の説得材料を連れて館を訪ねようと思いついたのだ。よい思いつきと思わぬか、ヴィン?」

 それはよい戦略ですね、と私もそんな場合ではないだろうと思いつつ、笑い出してしまう。

 簡素な焦げ茶の革造りで内側はゆったりとした馬車に揺られ、兄上とただの旅行する兄弟のようにとりとめのない話をするのは、場違いな感想かもしれぬが——とても楽しかった。ジークとカスパーと他に三人の近衛を連れて、貴族の次子の家くらいを装って、大きくはない宿に泊まり、三日目には件の宿場に到着した。


 こじんまりとした二階建ての建物は、一家でやっているのだろう、『シュニーの宿屋』と木の看板がかかっていた。宿屋の前の道と、馬小屋が建つ広場は雪かきが済ませてあり、分厚いガラスのはめられた窓からぼんやりとした光がもれ出している。

「さて、行こうか」

 馬車から降りた兄上は帽子のついた長いマントを羽織っており、顔を隠している。腰には見えぬよう剣を下げており、姿を隠した護衛といった風情で、楽しげに私に手を差し出した。

「……はい」

 止める理由を考えても論破される未来しか見えぬので、あきらめてその手をとって馬車を下りる。マントの留め具を確かめて、寂れた雰囲気の建物を見上げた。騎士たちに待っているよう告げて、兄上が私の背を押す。

 さびた取っ手を押すと、きしんだ音とともに扉が開く。中は薄暗く、奥に受け付けと、手前に人のいない食堂が見えた。古びた木の机と長椅子が並んでいる。

 受け付けの椅子に座っていた女性が、慌てたように立ち上がった。

「いらっしゃいませ! ご宿泊ですか? 今日はご予約はなかったはずですが……?」

 あまり裕福ではないのだろうか、美しい刺繍で飾られた赤の頭巾とエプロンは使い古されて薄汚れている。細い体で、私よりほんの少し高いだけの背に、そばかすの浮いた白い肌をしていた。頭巾の下の金の髪は適当に丸められていて、ほつれている。客を迎える予定はなかったのだろう。ましてこんな雪の中では、急な旅人もめったにないと油断していたに違いない。

 それはことを荒立てたくない私たちにも好都合なのだが。

「いや。客ではないよ」

 にこりと微笑んでみせる。不審そうにする彼女に、明快に用件を告げた。

「ここにいるという小さな娘に会いたいのです。私たちの探し人かもしれないと、我が主がおっしゃるのでね」

「え……⁉」

 赤い頭巾の女性はぎょっとしたように後ずさる。かたりと椅子が揺れた。

「そ、それは……ノーラのこと、でしょうか」

 ノーラというのか。ちらと兄上を見上げると、帽子の影で緑玉の瞳がうなずいた。

「きっとその子だ。会えますか?」

「あ……会わせることはできますが。何のご用ですか? あの子はとあるお方から預かっているんです。あなた方が何者かわかりませんのに、簡単に会わせるようなことは」

 そうか、とうなずいてやる。確かに名乗りもせずにいるようでは失礼だな。まあ、正体を明かすことはできんのだが。

「私たちはその方が誰かを知っております。私たちはヤネッカー候家の使いです。その子の親御に頼まれて、その子を引き取りに来たのです」

 はっと彼女は息を呑んだ。

「まあ、そう……そうでしたの。ええと、とりあえずお座りくださいな。今お茶を入れてまいります」

 席の一つを示して、ぱたぱたと奥の扉へ消えていく。兄上をうかがうと、座るよう手で促されたので腰を下ろしたが、兄上は私の背後に立つばかりで座ろうとしない。文句をつける代わりに軽くにらむと、黙っていろとたしなめるように、しい、と吐息で答えられた。王を差し置いて座っていることのいたたまれなさがすごいのだが。

「お待たせいたしました」

 再び扉を開けて出てきた彼女は、少しばかり身だしなみを整えて、両の手に盆を持っていた。

 机に置くと三つの茶器に濃い紅の茶を注ぎ、私の正面に座ると不思議そうに兄上を見上げる。

「あの、そちらの方はお座りにならないの?」

「私は護衛ですから」

 と兄上はうそぶいて片手を振る。そうですか、と女性はうなずいて紅茶を口にした。

 いたたまれん。

 表情に出さぬよう苦労する私には気づかず、女性は話を進めようとする。

「あの子——ノーラは、きっとそちらはご存じでしょうが……この間亡くなられたと聞きますが、第二王子殿下がわたしどもに預けていったのです」

「やはりそうですか……どのような経緯だったか聞いても?」

 確認の意も込めて問う。女性はあっさりとうなずいた。

「ええ。その……こんな小さな宿場の店主がおこがましいと思われるかもしれませんが……私が夫と結婚する前、王子がまだお若い頃、私は王子のおられた騎士団に勤めていて……恋人のように扱っていただいていたのです」

 なんと。彼にそのような相手がいたとは、初耳だ。

 思わず束の間目を見開く。兄上はご存じだったのだろうか、動じない。

「ですが、私では王子の身分に釣り合いませんし、故郷に私を想ってくれる男がおりましたから、彼と結婚することにして親の宿場を継いだのです。それが二年ほど前、王子があの子を連れて訪ねていらして」

 ——『この娘を預かってほしい』と。

「あれも雪の積もった日でした。こうなるのも星の定めかもしれません」

 と店主は荒れた指を頬にそえる。

「正直申しまして、ご恩あるお方のご依頼ですから受けましたものの、うちの経営では我が子一人を育てるのに手一杯です。あの子に関しては手が回らないことも多くて。あの方がうちのような宿に預けたのですから、何か事情があるのだろうとは思って、よそへ預けたりこそしませんでしたけど……」

 彼女のため息に、例のうわさを思い出した。なるほど、冷たく扱われていたというのは歓迎されてはいなかったという意味か。理由なきことではないとわかるが、……幼子には酷だ。

「預かる約束は一年間でした。半年過ぎてもあの方は引き取りにいらっしゃらなくて、きっと何かあったのだろうとは思っていましたが……亡くなられるとは思いもせず」

 言って彼女は首を横に振る。

「本当の親御さんのところへ帰れるなら、あの子のためにも、私たちのためにもそれが一番ようございます。……あんた! その子を連れてきて頂戴!」

 彼女が振り返って奥の扉へ呼びかけると、扉が開いて肩幅のある男性と小さな少女が出てきた。もう一人、四、五才の小さな男の子がいて、出てきたそうにしていたが男性に肩を押されて戸の向こうへ閉じ込められてしまう。

「ノーラ、ご挨拶なさい。お前の本当のお父様とお母様のいらっしゃるところの領主様の使いだそうよ」

 店主に言われ、少女はおずおずとこちらへ出てきた。背まである真っ直ぐな銀髪が揺れている。銀のまつげに縁どられた瞳は大きな青紫で、雪景色の似合う少女だった。

「貴方がノーラ殿か?」

 尊称で話しかけると、少女は驚いたようだった。目を丸くして私を見上げ、こくりとうなずく。

「はい、わたしはノーラですけど」

「貴方の父君と母君の名を覚えているか?」

「え? ええと」

 少女は困ったように店主夫婦を見上げるが、答えてはもらえない。目をさまよわせて私を見上げてくるので、安心させようと微笑んでみせると、小さな声で答えた。

「お父さまは、マティアスとよばれてました。お母さまは、レーナって……」

「……まことに彼の子だ」

 兄上が感じ入った声で呟く。

「やっと見つけた」

 その呟きに、ノーラ殿はまじまじと兄上の影になった顔を見つめる。

「あなたは……?」

 私はふっと笑って、少女の前にかがんで手をさしのべた。

「私たちは貴方の父君に頼まれて、貴方を探していたのだ。貴方をここに預けた男はもう、ここには来られなくなってしまったから、私たちが代わりに来た。私たちと共に来て、父君に会ってくれるか?」

 ぱっと少女は目を輝かせた。白い頬が紅潮し、興奮した口ぶりで言い切る。

「行きます! ずっと……ずっとまってたの、お父さまにまた会える日を……!」

 ぎゅっと力強く手をつかまれる。私はその手を握り返して立ち上がった。

「もし彼女に関することで何かあれば、ここに連絡を」

 兄上が店主の女性に近づいて、紙切れを手渡す。女性がはっとしたように目を見開いた。

「……貴方は」

「このことはご内密に」

 兄上はいたずらっぽい声でささやく。……楽しんでらっしゃるな、この方は。

「じゃまをしました。では、お元気で」

 あいさつして、少女の手を引いて外へ出る。ノーラ殿はちらりと振り返って、閉ざされる扉をじっと見ていた。

「何か持っていくものがあるかな? 大切なものとか」

 尋ねると、彼女は勢いよく顔を上げて、一拍考えたあとぶんぶんと首を振る。

「いいえ! だいじなものはぜんぶ、いつももってます。それに、マーヤさんがくれたものは、みんなお店のものですからっ」

「……そうか」

 この子がどんなふうに暮らしてきたのか、私には想像するくらいしかできないが、あまりよいものではなかったのではないか、と思う。これからはきっと、彼女が想像もしなかったくらいの愛が受け取れるはずだ。そうであってほしい。

「何も持ってゆかなくとも、これからは何でも手に入るようになる。貴方の父君がどれだけ貴方を待っていることか」

 言いながら馬車へと導く。兄上が素早く彼女を抱き上げて乗り込ませて、大勢の護衛と外見からはわからないような立派な内装に目を丸くする彼女が落ち着かぬ間に、馬車はさっさと出発してしまった。

 兄上が帽子を背に落とし、嬉しげに笑う。

「では王都へ戻ろうか。マティアスに会うのが楽しみだな、ノーラ殿」

「全く……私に称号をくださったのはお楽しみになるためでございますか、陛下?」

 私のいたたまれないでいた時間を返してください、と呟いていると、ノーラ殿は小さな口を大きく開けて、

「……へいか? って、国王さま?」

 くすくす笑っていた兄上が、声を立てて笑い出す。笑っている場合ではございません、とたしなめてから、ノーラ殿に向き直った。

「よいか、ノーラ殿、信じられぬとは思うが、この目の前でご自身の策戦が成功して笑っておられるお方が今の国王陛下だ。私は王弟の称号をいただいたもので、ヴィンフリートという。呼びやすいように呼んでくれたらよいぞ、何せ貴方は次のヤネッカー候たるマティアス殿の一人娘なのだから」

 説明が面倒になって一息で必要なことを言い詰めた私に、ノーラ殿は口を開けては閉じをくり返し、やっと一言呟いた。

「まあ。……ほんとうに王子さまがむかえにきちゃった」

 何と愛らしい。……つらい状況の中でも夢を描いていたのだろうか。微笑ましくなってつい笑んでしまう。兄上は笑ってばかりで役に立っておられん。


 道中はノーラ殿に、現状の説明をしながら王都へ向かった。

 雪の事故で彼女が行方不明になってから、マティアス殿は悲嘆にくれ、とうとうその父君から見放されてしまったこと。今は王都の外れの館で暮らしていること。私たちはマティアス殿に次のヤネッカー侯爵位を継いでほしいのだが、娘が見つからなければと言われていて困っていたこと。これからその館に向かうこと、などを話した。

 途中の街で服屋に寄り、貴族の館を訪ねるにふさわしい格好に着替えてもらうなどしながら進む。

 その間にノーラ殿がぽつりぽつりと語ってくれた。

 事故で川に流されてしまい、気がついたら小さな村で手当てを受けていた。雪の中ではどこから来たのかもわからず、村長の家に厄介になって暮らしていたが、二年前に焦げ茶の髪の男が二人やってきて、あの宿に連れていかれた……。

 策略の香りがする。大人の企みに翻弄されて、寂しい幼少期を過ごすことになるとは、あわれな子だ。

 わずかな間でも私たちにできることがあればと、服だけでなく食事や寝台もできる限りのものを与えたが、そのどれも大げさなほど喜ばれてしまった。

 早く父君に会わせてやりたい。

 私の願いが功を奏したか、雪に降られて道を阻まれるなどということもなく、最短の予定通りに館へ到着した。


 庭園が館の前景に広がっていた。それは雪に埋もれて白く染まっており、銀世界を成している。

 兄上が門番に何か声をかけると、すぐに馬車を入れてもらえて、私たちはそのまま館の玄関口へ乗り入れた。

 厚い扉をどんどんと叩いて、兄上が呼ばわる。

「マティアス! お前の探し人を連れて参ったぞ。戸を開けよ!」

 やがてばたばたと騒がしい足音がして、扉が乱暴に開けられた。

 出てきたのはくたびれた男だった。茶色の真っ直ぐな髪を適当に上げて、今羽織ったのだろう上着が肩で揺れている。鋭い青紫の目が、苛立たしげに兄上をにらんだ。

「いい加減になされよ、殿下。一週間は来てくださるなと申し上げたはずだが? 何が見つかったと? 私が四年間探し続けてできなかったことが、貴方様にでき得るはずもない」

 侍従長らしい男が背後で慌てている。

 なるほど、兄上にさえこの態度とは、ここまでなりふり構わぬのであれば狂人と言われてもおかしくはない。

 が、私にはわかる。理解できる。心から愛した者を失くした時の、壊れかけた心のありようも。

「もう殿下ではないぞ、私は既にこの国の王だ」

 と、兄上は怒るでもなく当然の事実のみを言って肩をすくめ、

「約束を一日くらい早めたとて、お前の望みを叶えてやるのだから非礼には値せぬだろう。そら、お前に隠されていた、お前の愛し子がここにおるぞ」

 上着を翻して振り返った先で、ノーラ殿がびくりと細い肩を震わせた。温かな外套の下で固く両手を握り、じっとマティアス殿を見上げる。

 見る見る男の両目が大きくなった。信じられぬといった顔で、呆然と少女を見つめる。色のない唇がわなないた。

「ノーラ……ノーラなのか……?」

「……! お父さま!」

 少女が駆け出した。両手を広げて父君に抱きつく。よろけながらもその体を受けとめた男は、娘と同色の瞳に涙をためて、ああ、と吐息のような声をもらした。

「ノーラ……! まことに生きて、ああ、神々よ……感謝いたします……!」

 小さな体を抱きすくめて、声を震わせ泣き出した男に、少女もまたいくつもの涙をこぼしながら笑顔を見せる。

「お父さまっ、お父さま……ずっとずっとっ、会いたかった……!」

 まるで一枚の絵画のような、肌を刺す冷たい空の下でも温かい光景に、胸を押さえて静かに泣き出した侍従長に、もらい泣きしそうになってそっと目を閉じる。

 よかった、と、幸せな満足感で心が満たされる。

 兄上に言われた時は何の無茶振りだと思ったが、引き受けてよかった、と素直に思えた。

 抱きしめ合う親子に慈愛に満ちた視線を向けて、兄上が声をかける。

「これでお前の心配事はなくなったな、マティアス?」

「……! ああ」

 マティアス殿は顔を上げると、涙にぬれた頬をぬぐって、くしゃりと歪んだ笑みを見せた。

「ありがとうございます、陛下。二度と娘を離すようなことはいたしません。……ご任命も、お受けさせていただきます」

「そうか」

 努力したかいがあったよ、とからかうように言って、兄上はくるりと背を向ける。

「帰るぞ、ヴィン」

 あっさりと馬車へ向かうので、私もその後に続こうとして、一度だけ振り返った。三日間をともにした少女に、祈りを込めて別れの言葉を。

「達者でな。ノーラ殿」

「はい、ヴィンさま……!」

 私を兄のように慕ってくれていた彼女の愛らしい言葉に笑って、私も馬車に乗り込んだ。親子の再会をじゃまするような無粋はすまい。今宵はあの子にとって幸福な夜となろう、と微笑んだ。

 再び二人きりになった馬車のうちで、何となく黙って冬の王都をながめながら戻る。

 ふと、疑問が浮かんだ。

「……なぜ彼は昔の恋人などにあの子を預けようとしたのでしょう。未練があるというならともかく、彼の傍にはいつでも女性がおりましたし、彼女の方も結婚して子まであるというのですから」

 首を傾げる私に、兄上はそうだな、と考え深げにうなずき、

「一つ、説はある。私が考えただけのことだし、あまり気分のよい話でもないが」

 と言うので、お聞かせください、とねだると答えてくださる。

「あやつは彼の部下に、この真相について隠していたのではないかと思うのだ」

 考えごとをしている時に、あごに手をやるいつもの仕草。

「あのフェリクス・ヤネッカーという男は、存外に若い。兄の座を狙っていたとしても、事故を起こそうとまでは思わぬ男のようだ、あれとは違ってな。であるから、多分、事故は偶然に起こったのだ」

 あの冷たい目をした眼鏡の男か。確かに、私よりは年が上だが、兄上や彼と比べるとずいぶん若かったように思う。

「しかし、娘の行方を先に手に入れたのはあやつの方だったのではないか。妻を亡くしたとしても、娘がおればマティアスは娘のために生きようとする男だ。それを妨害しようと考えて、しかも実行に移すとすれば、やるのはあれしかおらん。先のヤネッカー候はマティアスに期待をかけておったし、孫の誕生を喜んでおった。フェリクスという男は自らそんなことはせんだろう」

 そういうことですか、と納得がいってうなる。

「過去の恋人という、己しか存在を知らぬ者に預けるのが、情報を閉ざす上で最もよかったということでしょうか」

「まあ、仮説にすぎん。最早喋ることのない者の思考など知り得ようもない」

 兄上はきっぱりと話を終わらせた。

 同意するしかないので、うなずいて席に座り直す。しばらくして、兄上が呟くように口を開いた。

「……未練、というのも、ない話ではなかろうがな」

 昔の恋、か。私のようにただ一人を想い続けるのが当然と思う性質とは、彼はあいいれぬように思っていたのだが。

「兄上にもそのようなお相手がございますか」

 十は年上の兄上には、私が知らぬ相手がいてもおかしくない、と今さら気づく。

 窓の外を見ていた兄上は、こちらに視線を向けると苦笑いして、

「遠い話だよ」

 とだけ言われた。

 追及するような雰囲気でもなく、しかし気にかかったので、王宮に戻ってからエッボにこっそりと尋ねてみた。

「今回尋ねた女性はあの男の昔の恋人だったようだが、その、兄上にもそういった相手がいるとかはないのか?」

「おや、兄君の心配でございますかの」

 エッボは目を細めて笑むばかり。

「そうだな……今は考えられぬのかもしれんが、王に妃となってほしい女性の一人もいないというのでは心配にもなる」

 腕を組む。今は仕事ばかりでもよいかもしれんが、国王の座におられる人が結婚もしないなどということは許されぬだろう。いつかは結婚せねばならぬ時がくる。

 もし兄上にそういうお相手がおられるなら、妃候補の一人にと考えてもよいのではないか、などと思いもしたのだが。

「わしが教えたと知られたらどんな仕置きを受けるかわかりませんでのう。殿下が陛下ご自身からお聞き出されるまで黙っておきましょうぞ」

 エッボには微笑ましげな声ではぐらかされてしまった。

 仕方がない。

 首を振って、私も兄上が騎士たちを労わっているところまで駆け寄っていくことにした。



 第三章 星の定めによりて 了

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