第25話

家に帰ってからも店員さんの言っていた事と今まで見てきた優香の様子が頭の中を巡る。

何度考えてもやはりイメージが合わないと感じながらも、やはり僕は何も知らなかったんだと思い知らされる。


次の日になってから昨日の事は一度忘れ、今取り組むべき事に目を向ける。自己採点だ。

試験の結果次第でこれからの人生が大きく変わると思いながら自己採点をする。

「よかった」

安心と共に嬉しさが込み上げてくる。

今まで受けた模試を超えるほどの出来で試験を終える事ができていた事に驚きながらもひとまずやれる事はやれたという思いで胸がいっぱいになる。

後は合否の結果を待つだけだと思いながら家族にひとまずの結果をLINEで知らせる。


夜になって、僕は母さんに名前の由来を聞いた。今までにも聞いたことはあったけれど、改めて今このタイミングで知りたいと思った。

「どうしてしずくなの?」

母は少し笑いながら、けれど真剣にすぐに答えてくれた

「あなたたちはね希望なの。もちろん私たちにとっての希望でもあるけれど色々な人の希望になって欲しかった。ひなたはみんなを明るい場所へと連れて行けるような太陽の人になって欲しかったし、しずくには色んな悲しみや辛さを包み込むような海になって欲しかったの。」

「じゃあどうしてひらがななの?」

僕はこの名前が好きじゃなかった。せめて漢字だったら思ったことだってあったくらいだ。

「それはね、より多くの人の希望になってほしい。子どもも大人も、漢字が読める人もそうじゃない人も。ひらがなにしたら少しでも多くの人に2人が希望を与えられると思ったのよ。」

知らなかった。ひらがなにした理由なんて大してないと思っていたけれどちゃんと意味はあったし理由を聞いて良かったと思えた。

「ありがとう」

理由を教えてくれたこと、この名前をつけてくれた事に感謝を伝えた。

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