第20話
次の日学校へ行くと、改めて刑事さんが来ており話をすることとなった。
和馬とは別々に呼ばれて刑事さんの質問に答える。
「ここ数日鮎坂さんに変わった様子はありましたか」
そう聞かれて僕は最近の様子を思い返す。しかし、どんなに考えても変わった様子は思い当たらず、「いいえ特に」としか答えることができなかった。
「日常の中での彼女の様子は」と聞かれ
思い出して泣きそうになりながらも
「普段は明るく元気な子でした。3人でいつもお昼を食べたり放課後に鮎坂さんのバイトしているカフェに行ったりしていました。鮎坂さんはバイトに入ることが多くて、放課後も土日も働いていることが多かったです。」
「何か気になる事はありましたか」
「特に気になる事はなかったです。今でも亡くなったことが信じられないくらいに。」
「ご家庭での事は何か言っていましたか」
そう言われ僕はハッとする。優香から家の事は全然聞いたことがなかった。もしかしたら優香のもう一つの生活は家庭での事なのかもしれないと思った。
「前に、高校卒業後は働いてほしいと親から言われていると言っていました。それと、、あまり関係ないかもしれないですが鮎坂さんが以前仲の良かった友達と家庭のことについて言われて喧嘩をしたと言っているのを聞いたことがあります。」
「他にはなにか」
他にと言われてもあまり浮かびはしなかったが一つだけ妙に引っかかる事があった。きっと関係ないと言い聞かせながら刑事さんにそれを伝える。
「鮎坂さんは将来はカウンセラーになりたいと言っていました。そのために大学と大学院に行きたいけれど親が許してくれるかわからない、説得すると言っていました。それと遺書の中で、、説得はうまくいかなかったと書いてありました。」
「そうですか」そう表情変えずに刑事さんは答える。
それ以上のことは何もわからなかった。優香が説得をしようとした日にどんなやり取りがあったのか、その中でどのように説得してどう断られてしまったのかは僕にはわからないしわかるすべもなかった。
「ありがとうございました」と言われ質問がここで終わる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます