第17話

「病気かなにかですか」クラスの1人がそう言ったのがやっと声として認識できる。

「詳しい事は言えない」とだけ担任はいって今日は1日自習となった。

自習とは言ってもそんな簡単に受け入れられるはずもなく教室の中はいつもとは明らかに違う異様な雰囲気で溢れていた。

ある場所ではさっきまで僕が考えていたように病気だったのかとか事故にあったのかなんて憶測が聞こえてくる。


またあるとこでは咽び泣く様な声が聞こえてくる。

少し前に文化祭があった事もあって特に女子が泣いているのがわかる。

きっと何かの間違いだそう思いながらいつもよりも長く感じる授業時間が少しずつ進んでいく。


昼休みになると、優香がこの世にいない事が現実としてどっと押し寄せてくる。

いつもいるはずの席にいない、いつも聞こえてくるはずのあの明るい声が聞こえない。その事に耐えられなくなり今にも泣き出しそうになっていると、教室のドアが開き担任が入ってくる。

「海瀬、進藤ちょっといいか」そう言われ僕たちは職員室へと向かう。

そこには2人の刑事さんと担任がいる。

「海瀬くんと進藤くんですね」そう聞かれて「そうです」と答える。

なぜ刑事が学校にいるのかさっぱりわからずにいた。まさか誰かに殺されたのかそんな非現実的な事も頭によぎるが、それはすぐに刑事さんの言葉で否定された。


「鮎坂さんからお二人に向けた遺書があったため、中身を確認していただきたいです」そう言われ、より一層頭の中が混乱する。

「遺書、ですか?」和馬が聞いたのを見て僕も視線を刑事さんへと向ける。

遺書があるという事は、きっとそういうことだとわかっていても、普段の優香の様子からは想像が付かず混乱していた。

「ご察しの通り鮎坂さんは自ら命を絶たれました。ご家庭での事など今現在調査しているためお二人にもいくつか聞きたいことがあります」

涙と一緒に頭の中で否定し続けた、そんなわけがない。優香は先日まで元気に過ごしていたし文化祭だって一緒に回った。

大学に行きたい事も親に伝えると言っていたのに優香が自分から死ぬなんてありえない。


「まずは遺書の中身を確認していただいても良いでしょうか」そう言われ遺書を渡される。

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