第16話

「国立って入るの難しいの?」

家に帰って僕は姉ちゃんに聞いた。こう見えて姉ちゃんは頭が良い。大学も国立に行っているし高校だって僕より少し偏差値の高い高校を出ていた。

「難しいよ。予備校がなかったら私も正直厳しかったかも。」

姉ちゃんの言葉を聞いて、優香がいかに難しい事にチャレンジしようとしてるのかを知った。

それでも僕は応援しようと思ったし、国立の中でもきっと差はあるはず。少し遠い場所になってでも優香なら合格を勝ち取れると思った。


それからしばらくして、優香は突然学校に来なくなった。

僕は特に大した理由ではなく、コロナにかかったか何かだと思っていた。

それにしても、LINEをしても返信がないのはどうかと思うが。

「優香大丈夫かな心配だね」

和馬がいう

「大丈夫だと思うよコロナか何かじゃないかな」

「そうだといいけど、何かあったんじゃないかな」

「いやいや考えすぎだと思うよ」

「いやでも、優香って、」

そこまで言いかけたところで担任が教室へと入ってくる。


いつもよりも表情が暗くどこか深刻な様子の担任の表情を不思議に思いながら担任が口を開くのを待っていると、やっと重たい口を開ける。

「鮎坂さんが先日自宅で亡くなりました。」

クラス内のあちこちでザワザワと色々な人が何かを言っている。

音としては聞こえてくるが声としてみんなが何を言っているのかは聞こえて来ない。それくらい僕は、僕たちは動揺していた。


ついこないだまで一緒にいたしいつもと変わらず笑顔で明るい優香だった。何か病気があるなんて聞いた事はなかったし、そんな様子も一切なかった。

交通事故も頭をよぎるがこの近辺で事故があれば多少の情報は噂話程度に知れるはずだと思い余計に優香が死んだ理由がわからなくなる。

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