第13話

約束をしていた日になって僕たちはそれぞれが持ってきた花火を見る。

和馬が持ってきたのが打ち上げ花火ばかりで僕と優香は思わず笑みをこぼす。

「なんでだよ!絶対こっちの方がいいだろ!」

そう和馬は自慢げに口にする。


火が落ちたのをみて花火に火をつける。

手持ち花火ではしゃいだり和馬が持ってきた打ち上げ花火に圧倒されたり、とにかく楽しい時間が過ぎて行った。

線香花火に火をつけて誰が最後まで残るかを競ったら優香が最後まで残ってその日1番の笑顔を見せる。

負けた事が少し悔しかったけど、はしゃぐ優香を見ていたら何だかそれすらも楽しかった。


最後は1番大きな箱に入った打ち上げ花火に火をつけて、3人はどんな大きな花火なんだろうと楽しみに待った。

点火してからすぐに打ち上げられた花火はたった一発の花火で何だか拍子抜けをしたけれど、そのたった一発がすごく綺麗だった。

「みじか!」

優香と和馬が同時に口に出す。

3人は顔を見合わせて大きく笑った。こんなに楽しい夏休みは初めてなんじゃないかと思うほどにその日は楽しくて、毎日の勉強の息抜きには充分なものになった。

確かに短い最後の花火だったけれどまるで僕たちの今までのように期間は短くてもギュッと詰まった日々のようで、いつまでも忘れる事がない一発になるんだろうなと思った。


「来年は特大の花火を買おう!」

そう言った和馬がいて僕たち2人もそうだねと口にする。

来年も2人と一緒に花火がしたいそう思いながら片付けをした。

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