作者には、社会に対して新しいスタイルを提案したいという動機があり、この作品にはその信念のようなものが色濃く感じられました。
1話目では村の歴史が書かれていますが、丁寧かつ簡潔な文章で、本当にその村があり、そういう人たちが存在していたようなリアリティがあります。
2話目では現代になりますが、村の歴史の区切りともいえるような出来事が起こり、登場人物たちの内面の描写により、土地と人、人と人が共に生きていくことが何なのかが鮮やかに描かれています。
少ない字数に凝縮されていて、まるでその土地の歴史館を巡ったかのような読後感になりました。