第33話 初任務


 ~~2か月後~~~


 技の習得から、基礎能力の向上、五感の向上、格闘技術の向上をガイや白雷にこの2か月

徹底的に叩きこまれた。教わった格闘技術はタイムアクセルを発動し反復練習することによって翔矢は常人の何倍もの時間を鍛錬に費やしたことになる、その成長速度はガイや白雷でも目を見張るものがあった。

今、翔矢は、タイムアクセルを発動した時のスピードは白雷をもしのぐほどになっていた。


 その戦闘技術は特殊部隊顔負けの技術で、ガイからも一本とれるほどだった。


「水城君強くなったな。」

「ガイさんや白雷さんをはじめここの皆さんのおかげです。」

「そろそろ卒業試験を兼ねて任務についてみるか。」

「はい、おねがいします。」


そして俺は、ある任務に就くことになった。

任務にあたって俺のコードネームをつけようという事になったが、俺はこの名前のままでいいといったが

それだといろいろとまずいとという事で、いろいろ挙げられたがなんだか照れるので、ならばと翔という事になった。


初任務のサポートにはガイが付く事になり、依頼者の所へ向かう事になった。


川辺に飛ぶ赤とんぼが夏の終わりを告げていた。

風にゆられるススキ野を見てるとなんだか懐かしく子供のころを思い出す。


車で移動しながら今回の任務の内容を聞いた。

国の要職に就くお偉いさんの警護だそうだ。

とある外国の要職を交えて行われる会合の期間のみの任務という事だった。

なんでもその要人の一家の殺人予告が入ってるとかで、昨今異能者による要人殺害が発生しており、その対処として「白夜」に依頼が入ったそうだ。


 ついこの間まで巷では異能者なんて都市伝説と思われてたが、急にこの世界の情勢が変動するが如く、その存在が顕現して来た。


 それは翔矢がこの世界に来た事が関係するのかたまたまなのか。それとも森羅万象根幹叡智によるこの世界の理の流れの中のものなのか。翔矢は思慮せずにはいられなかった。



 ものすごい豪邸の前に着いた。

屈強そうな男性の警護の者だろうと思われる人が玄関の前に二名。

庭の中に数名、気配からして鍛えてはいるが一般の人達だ。


(いつの間にか気配を探る癖がついたなぁ・・・異能者と一般の人達はやっぱ全然ちがうなぁ)

いくら鍛えた警護の人達を揃えたところで、鍛えられた異能者の前には無力に等しい。

たとえ拳銃を所持していようともだ・・・今ならはっきりとわかる。


 「お待ちしておりました。「白夜」の方たちですね。」


すらっとした細身の長身でタイトなレディススーツに栗色の髪をアップに纏めたキリっとした顔立ちの女性が出迎えてくれた。

「こんにちはガイと申します。こちらが翔です。今回はこの二人で任務に就かせていただきます。」


「初めまして。翔です、よろしくお願いします。」


「申し遅れました。私は、大臣の秘書の白鐘しろがねと申します。中に案内します、こちらへ。」


屋内にも警護の人達が配置されている。

通常ではここまでの警護は無いだろうが、やはり警戒しての事だろう。


さすが大臣の家だが、もともと資産家なのだろう、造りが豪華だ。

通されたリビングの大きな革張りのソファーに品の良い中年の男性と婦人と、少女がいた。


「私が大久保 敏郎おおくぼ としろうだ。よろしく頼む。」

「「白夜」のガイと申します。こちらが翔です、本日は二名で警護に就かせていただきます。」

「ありがとう。こちらが家内の律子と娘の涼香すずかだ。よろしく頼む。」

「頼りにしてます、どうかよろしくお願いします。」

「よろちくお願いちます。」


何不自由なさそうな、幸せそうな家族だなぁと、この狂った世界でもなんだか安らぎを感じた。

「有事の際の警護のために他の部屋なども見させていただいてよろしいですか?」

「あぁ、では家内に案内させよう。律子たのむ」

「あたしもあんないしてあげゆ」

「ありがとう。」


まずは一階から案内してもらい、部屋の数と出入りできる扉の位置を確認し、地下にはプレイルームとシェルターがあるとのことで、いざという時はそこに避難してもらう事になっている。

二階にはゲストルームが三部屋と夫婦の寝室と子供部屋という事だが有事の際に避難にも警護にも向かないので警護期間は、1階で休んでいただくことにした。


一通り屋敷を案内してもらってから、今後の打ち合わせのためご主人の所にもどることにした。

「どうだったかね、うちの警護体制は?」


「そうですねぇ・・・翔はどう思った?」


「家の死角になりそうな所と侵入できそうな所に人員配置はされてますけど・・・」


「けれども?」


「確かに並みの族程度は防げるでしょうけど・・・」


「ふむ、仮に異能の力を持つ者が来たならば?翔、お前ならどう攻める?」


「ここにもし、ガイさんがいなければ自分でも正面から突破できるかと・・・」


「異能の力とはそれほどまでなのか・・・」


 実のところ異能者による襲撃があれば一般の警護の人達では迎撃するのは難しいであろう。

たとえ拳銃を所持していようともだ。

なので敵の侵入をいかに知らせるかに注力してもらった方がいいだろう。

のちに警護の人達とも打ち合わせを行い、警護体制を見直した。


 何事もなく無事に任務期間を終えれればいいのだが・・・








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