第31話 顔合わせ



 今俺たちは昨日のガイさんの提案で、京都の同盟組織の「ホワイトガード」に向っている。


 そこにも新人が入ったらしいけど、ほかにも優秀な異能者がいるので、経験を積むのには、持ってこいとの事でガイさんの付き添いで出向くことになった。


「ホワイトガード」はボディガード等が主な任務で、その能力もそれに特化してる人たちが多いという。


そんな話をしながら俺たちは京都にある同盟関係にある「ホワイトガード」にやってきた。


 「こんにちは、京極さん。こっちがうちの新人の水城です。」


「初めまして水城です。よろしくお願いします。」


「君が水城君ね、ガイさんに聞いてるよ速いんだってね。」


さわやかな笑顔が気持ちよく、きりっとした眼鏡がよく似合ってていかにも頭が切れそうな印象を受けた。

そうこの人が、「ホワイトガード」を取りまとめる、京極 釼司きょうごく とうじその人だった。


その横にきりっとした目元が涼しげな黒髪の京風美人と、その正反対の印象で活発で負けん気の強そうな栗色のショートヘアーの女性二人が立っていた。


「紹介するよ、こっちがうちの新人の東条姉妹だ。」


「お初にお目にかかります。姉の東条 葵とうじょう あおいどす」


千春ちはるよ、よろしく。お姉ちゃんに見とれてたけど、ほんまに強いんかえ?」


「こら千春!そんなんゆーたらあかんえ。堪忍なぁ」


 どうやら見た目も性格も正反対の姉妹のようで、

さっそく妹にはなにやらライバル視されたようだった。


まずはお茶でもと言う事でロビーのソファーに案内された。

それからお互いの近況報告や、反社会的な組織の動向などを話した。

京都でも過激な組織が目立ってきてて、中にはあきらかに異能の力を持つ者による犯罪行為や殺人などが増え「ホワイトガード」への依頼もひっきりなしのようだった。

まさに現在この世界の情勢が移り変わろうとしてるかのような感覚を覚えた。


世の中の歯車が何か少しづつ悪い方向へずれ行く音が聞こえそうだった・・・


翔矢は一瞬意識が遠のく様な感覚に襲われた。



 ~~ザァ・・・ザザァ・・・ザッ・・・・~~~~~


「翔ちゃんここは任せて、先にみんなを非難させて」


「でもそしたらあっちゃんが・・・」


「あちしには、ひっさちゅわざがあるんだって。いざとなたったら飛んで逃げるし。」


  あぁ・・まただ


 なんだこれは夢か、ひどくリアルで胸が締め付けられるような緊迫感・・・



~~ザ・・・ザァ・・・ザアァァ・・・~~~~




「水城君?居眠りか?」


「あぁ・・すみませんなんか疲れがたまってたようで・・・」


(なんだか頭がぼーっとする、そしてまた何か夢を見てたような・・・

そうかこれがアクセスなのか・・・)


「今日はやめておくか?」


「あ、いえせっかく来たのでお願いします。」


無理のない範囲で軽く手合わせだけということで、稽古場へと俺たちは向かった。


「あがな、きなしぼ。あてがやったる!」


そういって妹の千春がなにやら息巻いて対戦相手として前に出てきた。


「んじゃおてやわらかに」


「水城君タイムアクセルは禁止な。」


「了解です。」


ー視力向上ー

(まずは相手をよく観察して。身長は160くらいか身軽そうだな。あの自然体の構えは柔道?どうする先手はまって様子を見るか?)


「はよきよし!」


(早く来いって事か?んじゃお手並み拝見で軽くボディ・・・)


翔矢は速度強化したステップインから右ボディブローを打ちに滑り込んだ。

相手は反応できてないのを確認し、軽く手合わせという事なのでパワーは向上させずに軽く打ったが・・・


 その拳は千春に届くはずだった・・・が、翔矢の拳には何やら分厚い何かに阻まれて到達できなかった。


それを見逃すはずもなく、千春は翔矢の手首を掴んでの足払いを仕掛けてきたが、

さすがの今の翔矢に反応できないはずはない。


軽く手首を振り払い素早くステップアウトで距離を取る。


(なんだ今の、分厚いゴムの板を打ったような感覚は・・・)


っと一瞬戸惑ってるうちに、今度は千春から飛び込んできた。

狙いはまた手首か。手首を取りに来たその手を振り払ったと思ったら、そのまま半身での当身。


これを翔矢はバックステップで衝撃を躱そうとしたところを読んでますとばかりの、大内刈りのように足を絡ませてきた。


これにはそのまま後方に倒れるしかなく、千春は翔矢に覆いかぶさるように倒した。


翔矢は腕にパワー向上を発揮させながら、何やら柔らかい感触をつかみつつもそのまま、千春を跳ね飛ばした。


(なんてパワーなの、あの体勢からはねのけるって、それに・・・)


「今あてのおっぱいさわったやろ!」


「いや・・今のは不可抗力で・・・」


「もう、あったまきた!草薙流奥義・・・」


「そこまでだ。」


なにやら千春が技を出そうとしたところで京極さんが止めた。

「なんで止めるのよ、今からでしょ!」


「身内に奥義つかうな・・・」


「どうせあいつなら死にはしないえ!」


そこに葵さんが宥めに入ってどうにか千春の興奮が治まってくれた。


「水城はんも堪忍なぁ」


「水城君もさすがのスピードとパワーだねぇ、あの千春の必勝パターンから軽々と抜け出すとは。」


「いやーただ必死にやってただけで・・・」


まだ敵意むき出しの千春の眼光は治まらないのか翔矢をじっと睨みつけていた。


翔矢は千春に近づき手を差し伸べた。

「凄い技つかうんだね、やられたよ・・それに最初の一発なんか壁があったみたいだけど・・・」


「あては、対打撃のスペシャリストやさかい、体に防御膜張れるんや」


「なるほどねぇ、凄いねぇ」


「そっちのパワーとスピードもぼちぼちやな」


どうにか千春の興奮も冷めたみたいで最後は握手して終わった。













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