第28話 ミッション


~~~ミッション~~~~



 ここはとある樹海で近隣には人は近づかず

ある程度能力を発揮しても周りに影響を与えないことから

「白夜」も本格的な訓練に用いる場所だった。


そして本日。翔矢もだいぶ力をつけて来たので組織による試験を

行う事を告げられた。いわゆる仮卒である。


 そしてその試験の内容は・・・


「水城君、今日は実戦形式での試験を行う、それに参加してもらうのは、あっちゃんと白雷。」


その内容はこうだった。この広大な樹海で三日間に渡る鬼ごっこだ。

とにかくあっちゃんか白雷さんを捕まえればいいという事手段は問わず。

双方攻撃可ときたもんだ。

しかもその三日間生き延びる食料や水は自分で調達しろとの事だった。

これは山などに逃げ込んだ犯罪者を追跡する模擬戦という事か。


「よーし翔そろそろお前の本気を見せてみろ!」

「あっちゃんだよぉ~ぱーちぃーだねぇ。」


「よろしくお願いします!」


そして最低限のサバイバル備品と一本のペットボトルが渡され、

一時間後より開始という事だ。


(さーてどうするかなぁ・・・まずは相手の位置を探らないとだなぁ・・・)


この頃の翔矢はパワー、スピード、高質化の能力向上に加え

五感の向上もある程度伸ばせるようになり、集中すればその聴力は犬並みに音を聞き分け

その嗅覚もそれに並ぶほどのものがあった。


翔矢は集中し感覚を研ぎ澄ませる。

樹海の中で様々な音を聞き分ける虫の鳴き声、鳥のさえずり、小動物の足音まで。

そうやって進むこと30分程度、あっちゃんの気配を読み取る。

距離にして300mか、何やらぶつぶつ独り言を言ってる。

これは開始早々で楽々クリアかと思い、静かにあっちゃんの方角に近づく。

そしてあっちゃんの姿を視界にとらえる。

翔矢のこの頃の視力は500m先の小動物を認識できるほどだった。


(何やってんだ・・・何か探してるようだけど・・・)


ゆっくりと近づく・・・

距離にして100m。一旦観察する、あっちゃんにこちらに気が付いてる様子はないようだ。


 そしてゆっくり近づきタイムアクセルを発動しようとした時だった。


「見つけたよぉ~ほら翔ちゃん、カブトムシ!」


「え・・・」


「翔ちゃん、もっと気配消さないとばればれだよぉ?」


「・・・・・」


「せっかくわかりやすくチャンス与えてあげたのにぃ~」


そういってあっちゃんは再び消えた・・・


(こっちに気づいてないと思ったが完全にばれてたか・・・確かにもう少し慎重にいかないとか・・・少し焦りすぎたか・・・)


そしてジャンパーという能力をもつあっちゃんを捕まえるのは

白雷以上に厳しそうだと悟り、ターゲットを変えた。



そして五感を研ぎ澄ませながら、捜索すると白雷らしき気配を察知。

こちらも気配を隠しもせずに 釣りをしてた・・・・


だが油断せずに気配を消すことに集中しながら間合いを詰めていく。

距離にして150m・・・どうするこれ以上は気づかれるか・・・

せめて100mまで詰めて一気にフル加速でいくか、今の翔矢なら100m詰めるのに0,5秒かからないだろう。

そして100mまで距離を詰めてタイムアクセル発動


そして距離を詰めようとした瞬間、白雷からの「闘牙」

(やばいこれは躱さないと金縛りだ・・・)

これはタイムアクセルを発動してたおかげで紙一重で躱す。


躱したと思ったところに、すかさず白雷からの「残影」の斬撃追い打ちが来た。

これは、白雷の確殺コンボで、体験済なので、

どうにか反応できて、躱したと思ったら・・・

斬撃の後ろに白雷自身が追尾する形で接近からの

必殺の抜刀技「春雷一閃」(峰打ち)で翔矢撃沈・・・・


「なかなか良かったがあめぇーな」


「・・・・・」


「まぁ闘牙と残影(斬撃)を躱したところは誉めてやろう。」


そう言い残してまた白雷は樹海の中に消えていった。


(くぅ・・俺も強くなってるはずなのに、全然勝てる気がしねぇ・・・)




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る