第24話 明け方までには
明らかに建物の影から、こっちを見てる気配があった・・・
翔矢はダッシュで振り切るかとも考えたが、藤代の連中ならこの先持ち込みたくなかったので、今日できっちりカタをつけようと思った。
「そこの物陰に居るやつ、出て来いよ・・」
ータイムアクセル発動ー
弓でもなんでも出てこいや・・・出てきた瞬間に一撃叩き込む!
一瞬も見逃すまいと物陰をじっと睨みつけ、臨戦態勢を取る。
気のせいか・・・・ゆっくり近づくも誰もいなかった・・・
背後に人の気配を感じる。いつの間に・・・・
「あっちゃんだよぉ~」
翔矢はガクッと全身の力が抜けた。
「まじやめて・・・」
「ごめん、ごめん、何やら胸騒ぎがして心配だったんだよぉ~」
「今のは危なかった・・攻撃仕掛けるところだったよ!」
「ほんっとにごめん、ぷりちーウインクに免じてゆるしてちょ。ぱちりんこ」
翔矢は先ほどの戦闘から張りつめた緊張の糸がぷっつりと切れてその場に座り込んだ。
「翔ちゃんが今無事だということは、いっけんらくちゃくかな?」
俺は喋る気力もなく静かに親指を上げた・・・
「ごほうびにとりあえずジュッチュ買ってきてあげるけど何がいい?」
「ブラック・・」
「りょ!」
そしてあっちゃんは、一瞬にして姿を消した。
そしてあっちゃんはすぐ目の前に現れた。
「はい、あっちゃんラブ注入済すーぱーぶらっく」
「ありがと」
正直翔矢は足ががくがくになっていた・・・
それもそうだろう、今まで戦闘とほとんど無縁の青年がこちらに来て力を持ったとはいえ、先ほど修羅場を潜り抜けたばかりだ。
もし相手が翔矢の能力を知ってて、先手を打たれていたら・・・
場数の少ない翔矢には対応できなかったかもしれない・・・
そんな恐怖と己の力で切り抜けたという達成感で全身の力が抜けていた。
「あっちゃん、俺やれたよ・・・」
「翔ちゃんはやっぱり男という事だねぇ」
「今の瞬間移動みたいなのは、あっちゃんの能力?」
「そだよージャンパーだから、50mくらいまでならピョンピョンできるぴょん。」
「凄い力だね。」
「もうひとつ、ひっさちゅわざがあるけど、まだひみちゅ。」
こんなあっちゃんでも、この狂った世界で逞しく生きてるんだ・・・
俺ももっと強くならないとな・・・
そして翔矢は決心した。
「白夜」に入ってもっと強くなる。
この狂った世界で誰もが笑顔で暮らせるように。
俺の力でどこまでやれるかは、まだわからないけれど・・・
そして翔矢は立ち上がった。
足の震えは止まった。
「あっちゃん、俺このまま「白夜」に行くよ。」
「いいの?あきなちゃん待ってるんじゃないの?」
「それで・・あっちゃんに頼みがあるんだ。」
翔矢はあっちゃんに頼みごとをして「白夜」に向かうことにした。
これでいいんだ・・・無事に終えたから。
もうあきなに危険が及ぶことはない。
この狂った世界で凍り付きかけた翔矢の心に人のぬくもりを・・・
教えてくれた大切な女性で、とても魅力的な人・・・・
うまくさよならを言える自信が無いし、決心が鈍る。
直接会って、最後にありがとうと伝えたかったけど・・・
さよなら、おっぱ・・・じゃなかった、あきなちゃん・・・
どうかいい人を見つけてお幸せに・・・
もうすぐ長かった夜が明ける。
こっちに来てから一番長かった夜かもしれない・・・
そして新しい夜明けに向って翔矢も新しい一歩を踏み出す。
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