第12話 異能者との接触





 次の日、カーテン越しに差し込む陽の光で目覚めた俺は、時計を見るが6時前だった。あきなはまだ寝てるようなので、少し辺り一帯の警戒と探索もかねて、散歩でも行くことにした。あきなが起きて俺がいなかったらびっくりするだろうから一応置手紙で散歩してくるとだけ残すことにする。


 まずは部屋の中から部屋の外の状況確認をする、昨日の奴らの姿や張り付いてる奴の影はなさそうなので、一応警戒しながら玄関を開ける。もし昨日のやつらが張り込んでるなら何らかの動きを見せるかもしれないので、いつでも反応できる心構えを取る。心構えを取るのと取らないのでは反応速度に大きな違いを見せるからだ。

いくら超スピードで動ける俺でもぼーっとしてる所を闇討ちされたら一撃でやられる事もあるだろう。


 顔では平常を装いながらも全神経を集中させながらドアを開ける。そして体操をする振りをしながらあたりをよく観察。何か変わったところはないか。もし敵がいれば何らかの動きがあるかもしれない。あえて隙があるようにあくびをしながら伸びをして少しの時間ぼーっと突っ立って反応を確認。


 うん、何もないし大丈夫のようだ。こちらから危害を加えるつもりのないのは相手もわかってるだろうし、そんなにすぐ危険を冒してまで襲ってくることは無いか。


 まー後悔先に立たずという言葉もあるくらいだから、念には念を入れて行動するのは悪くはないだろう


 まだ朝の冷えた静けさが残る涼しげな風を体に感じながら路地を歩き、昨日の現場の公園まで来てみた。


昨日の出来事を思い出しながら実際の戦闘のあったところまで来てみるといくつかの血痕があった。

(おいおい、血痕くらい隠して帰れよ、素人かよ)

っとプロの殺し屋みたいな思考を巡らせながら、土で血痕を隠し、辺りのベンチに腰掛けて、これからの事や昨日言われた 【異能者】 という言葉を思い出してのんびりしてる風を装っていた。


 実際に戦闘のあった場所だしここに昨日の奴らが張り込んでてもおかしくはないからだ、全神経は研ぎ澄まされた野生動物の五感のように辺りを意識して、何か変化はないか感じ取っていた。


この世界の時間にして2~3分くらいだろうか、決して油断してたわけでも寝ぼけてたわけでも無い。

のんびりしてる風を装ってたが辺りを全開で警戒していたのにだ・・・


 ペキ・・・


 何か小枝を踏み折った様な音が聞こえ、背後に確実に何かいる気配を感じ、俺はどうするか一瞬迷った。これだけ警戒してる俺の背後を取るやつが今の小枝を踏み折ったような音を出すはずがない。これは誘ってるのか?敵意があるならそのまま攻撃すればいいだけ、背後を取ったなら確実に致命的なダメージを与えれるはずだ。ということは今はまだ攻撃の意思はないということか、いや楽しんでるのかもしれない、のんびり振り向いた瞬間一撃くるか?


意を決し、超スピードで大きく一歩前に踏み出しながら反転して構えた。


「えっ??」


「おぉ、すごいスピードで動いたっ!」


 そこにはまだあどけなさの残る少女?のようなフリフリの恰好はしてるがどこか隙のない者がいた。

こちらの世界では一瞬でも翔矢にとってはしっかり観察して答えが出せるはずだった・・・

その少女は手に小枝をもち顔の前でそれを折りにんまりとした笑顔をこちらに向けている。


 斜め上どころでは無い。翔矢が想像してたどれにも当てはまらない風貌のそれがいたのである。


 思わず変な声が出ちまったが落ち着け俺、目の前のものは、やはりわざと音を立ててこちらの反応を確認し、あきらかに敵意はなさそうだ。でも今の俺の反応速度に全然驚いた感じではない。

明らかに知ってて、やっぱりそうなんだって感じが読み取れた。


(相手は俺の事を知ってるのか、ということはこの少女は昨日の奴らの仲間か?俺の力を知っててこの余裕は、相手も何らかの力をもってるということだな、でなければこんなに接近してくるはずがない。)


 どう対処すればいいか全くわからずこちらの手の内が読まれてる相手に、翔矢は恐怖を感じ、一瞬で汗が噴き出るのを感じたがあえて平静を装い、声をふりしぼった。


「何者だ・・・?」


「アハハ、お兄さん安心して、あちしは敵じゃないし攻撃するつもりは無いとだけ言っておくね。」





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