第11話 今後について


 少し落ち着いてから俺たちは今後の事について、話し合うことにした。

あのような怖い体験をした後で、すぐにお休みという雰囲気ではなかった。

翔矢はあきなを落ち着かせる意味も含めて、今後今の生活を続けるのか?、どこか遠くの別の場所で心機一転やり直し、安全を確保するか?、普通に考えたら後者だがまずはあきなの心境を確認する事にした。

「あきなちゃんは、今後どうしたい?」


「今後ですか?」

翔矢はリラックスした表情でゆっくり頷いたが、あきなはまだ動揺した様子で言葉がつまり後に続かなかった。

普通の女の子がそう簡単に気持ちを切り替えれるわけも無く、翔矢も少し唐突すぎたかと思慮し二つの今後を提案する事にした。


「あぁごめんね、いきなり今後どうする?って聞かれてもまだ急には決めれないよね、そこで二つの今後を提案するから、少し落ち着いて考えてみて。」


「はい、二つの今後ですか?」


「そう、まずは今のこの地での生活を続けたいのか、それとも遠くの新しい場所で、安全を確保し心機一転やり直すのか。」


「そうですよね、あの人の手の届かない別の場所でやり直す事は、私も少し前から考えてはいたんですけど、この時世の中一人で行動を起こすのが怖くて・・・」


「そうだよね、こんな狂った法律がまかり通る世の中じゃ女の子一人で見知らぬ地でやり直すのは不安だよね、でも安心して今は俺がついてるから。」


そして俺はあきながいずれの選択をしても安全が確保されるまではあきなのそばに居る事を告げ彼女を安心させ、あきなも少し笑顔を取り戻し明るい表情を見せ始めた。

 そして俺は先ほどの男達の口から洩れたイノウモチ?と言う言葉がどうも気になってたのでこの世界では、皆が知ってる事なのかあきなに聞いてみることにした。


「そういえば、さっきの男が俺にイノウモチか?って言ってたんだけどあきなちゃん何か知っている?」


「たぶん異能者の事ですよね?最近耳にするんですが、何か特別な力を持った人たちの事とか・・もしかして水城さんはそうなんですか?」


ここで翔矢は少し考えた、ここで本当の事を言ってしまうのは、あきなに危険が及ぶ可能性もあ。本当の事を言ってまず信じてもらえないかもしれない。このまだ動揺の残る中、今は時期じゃないと判断した。


「そうなのかも知れないけど、まだ自分でも分かってないのが正直な所、俺は俺だよ?」

そうして少しおどけた振りをして翔矢は答え、あきなも笑顔を見せた。


「都市伝説だと思ってたけど本当に存在するんですね、でも水城さんが良い人だと言う事は分かります。」


そこで今までの緊張の糸が切れたのか恐怖から解放されたのか。あきなは、また涙を流し始めた。


「もう大丈夫だよ」


 やさしく肩を抱きかかえると、また声を上げて慟哭したあきながそこにはいた。よほど怖いのを我慢してたのだろう、考えてみればそういったことに今まで遭遇してなかった女の子が先ほどの事を目の当たりにして普通にいられるはずもない。


 しばらくそのまま黙って、泣いて気持ちが治まるのをまった。



 穏やかな雰囲気が流れ始めたのを感じた翔矢は、気を紛らわせようと今まであまり話せなくて聞けなかったことをあきなに色々聞いていた。田舎者なので何も知らないことを説明し東京ではどんなことが流行ってるのか?あきなはどんなことに興味があるのか、そしてこの世界の事を少しづつ理解していこうとした。


そしてあきなの口からも異能者の噂話もありその力を皆隠して生活してると言う。

(なるほどな俺のような特別な力をもった奴がこの世界には他にもいるんだな)


暫くその様な話をしていると、あきなも落ち着きを取り戻したので各自寝る準備をする事にした。あきなはシャワーを浴びると言うので俺は部屋に戻った。


 今回の事でこの世界の事がまた一つ解った。異能者と呼ばれる特殊な力を持った人間がこの世界に居ると言う事。翔矢自信がそうであるように別の世界から来た人が異能者になるのか?それとも突然その力に覚め能力を発揮するのか、まだわからないがもしいるのなら会ってみたいと翔矢は思い始めていた。


 しかしこの狂った世界で、未知の力をもった人間がいるということがわかり、さらなる警戒の必要性を感じると共に、この先何が待ち受けているのか期待と少しの不安と入り混じった複雑な感情に思いを馳せていた。


 並外れた力を持つと人は、悪に走る傾向が強いという。

しかし翔矢は、力をどう使うかはその人の性格や心根が、分けるのではないだろうかと思慮していた。

その人の育った環境もその力の使い道を指し示す大きな要素にはなりえるだろう。

どんな力なのか、その力はどの程度この世界に影響を与えるのか。

これからもし異能者と出会うことがあれば慎重に行動をとらなくてはいけない。


幼いころからじいちゃん子だった翔矢は、ずっと男とはこうあるべきというものを祖父の背中を見て育っておりその信条は、祖父譲りのものがあるのだろう。


 明日からこの近辺の散策と異能者という者の情報収集とを意識しながらすこし行動しようと、まじめに考え事してるといつのまにか眠りについた翔矢であった。



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後書き


次回予告 異能者との接触! その者は敵か味方か?!


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