第3話 驚愕の異世界

 俺は新聞を見ながら激しく動揺した。そして急に周りの人の目が怖くなった・・・。


・・・ほぇ・・・・?


その新聞に書かれてある記事の見出し。、本日の殺人362件 内 月一殺人320件・・・・・。


 え、日本ってこんなに殺人事件起きてるの?新聞に穴が開くんじゃないかと思うくらい記事を凝視していく。現在の日本の人口4億三千二百万人・・・・


 へ・・・・どこの国・・・


しかも何、月一殺人って・・・新聞の隅から隅まで読んで分かったことは、この世界は狂っていた・・・。

どうやら世界の人口は増えすぎて、頭の狂ったお金持ちの政治家たちは増えすぎた人口を減らそうとしたらしい。だが選別できないので月一回の殺人を認めるという法律があるらしい、完全に狂ってるな・・・。


至る記事で反対を訴える平和主義の記事と、

いやいやもっと殺人可能数増やさないと意味ないとか論争してるのである。

そしてお金持ちの人は殺されないようにボディーガードを絶えず何人も雇ってるようだった。


だが一般の人は逆に慎重に行動する人と過激な行動に出る人の二パターンあるようだ。

それもそうだ、殺人が認められてるとはいえ殺したら、誰かに復讐されて殺されるかもしれないのだ・・・


 逆に喧嘩が少なくなった街もあるようだった。些細な喧嘩からも殺人にすぐ発展しかねないからだ。


新聞の中には殺し請け負いますと言った広告や、どんなものからも必ず守りますといった広告があちらこちらに堂々と出ているのである。


 シェルター付きの家なんて普通らしい。

やばい、神様助けておしっこ漏らしそう・・・・


しかも弓や刀所持が認められてるって、どこの世紀末ですかああああ。


銃や大量殺人兵器は月一殺人を大幅に超えるので禁止って・・・


もう俺はここから一歩も歩けないくらい怯えていた。

でも公園を運動する人たちを見る限り至って普通だった・・・

これが当たり前の世界って、人って慣れるってこと?・・・・いやいや狂ってる・・・・


こんな財布に2万ぽっちじゃ明日さえも分からない状況に思えた・・・

とにかく目立たないように人と接しないようにしようと思うのであった。


 落ち着け俺・・・怪しまれるな・・・人の目を引くな・・・パントマイムでやりすごせ!

いざとなったらスーパースピードで走れる俺ならなんとか生き残れるはず、そう言い聞かせた。


 そして辺りも暗くなり人気も無くなったので今の俺の身体測定してみることにした。

まずは100mだな、秒針を見つめる0に戻ったらスタートだ、


 「いくぜ!」


 ぷっはーっとすかさず時計を見る、7秒・・・え・・・7秒しかたってない。

俺ってスーパーマン?事故の影響でエンドルフィン垂れ流しなのか、パラレルワープのせいなのか、身体能力が大幅に向上してる。おまけにこの世界は時間の進行が遅い・・・そりゃー10倍くらいに感じるよな・・・少しこの世界での俺のスピードってどんなもんか考えてみた。


俺の世界より5倍遅いから、足早い奴が100m10秒で走ってもここじゃ100mを俺の時計で50秒くらいで走る計算になるな・・・人が走る速度が速くて35kmくらいって聞いたことあるな、と言う事はだな俺のこの世界の速度は・・・だれか頭いい人教えて・・・


俺は7秒で走るから、50割る7で約7倍って事は、35×7で245・・・え、合ってる?

俺この世界じゃ245kmで走ってるって事??

やっべ俺新幹線!? スーパーマンじゃん、なんだかこの世界で無敵に思えて来た。


俺の頭じゃ限界だーっと周りをみると、デカイ壁掛け時計があった。

あるじゃん時計、あれで測ろう、秒針が0に来たら100mダッシュや。


「いくぜ!」

時計を見ながら走ってみたが、すこし手抜いて走ってもうゴールするのに2秒・・・え・・・?


この世界の2秒で俺は100m走ってしまった。

(これ本気出したら2秒きるぞ!)

やばいどこかの海外ドラマの足早いヒーローになったみたいだ。


 とりあえず俺はこの世界で順応して生きて行くために、パントマイムで動く練習をした、怪しまれないように目立たないように生きる、そしていつか現実世界に戻る。


そう心に誓った・・・はずだったのに・・・・


事件に巻き込まれてしまった・・・・


 それはこの世界で暮らし始めて一週間程経ったある日。

体力に自信の有る俺は日雇いの土木作業員に紛れて、自分に暗示をかける様に俺はこの世界の人間だ、この動きこの喋りは普通だと思い込むようにして、ようやく笑いを堪えることなく過ごせるようになってきた日だった。


「おい、新入り昼にするぞー」

「はああいぃ」

「あいかわらず間の抜けた返事だな」


動きはほぼマスターしたが喋りのスピードが難しく意識しすぎて逆に、のろいらしい、TV見ながら練習してるが、マスターまでもうちょっとか、普段は寡黙な人で通してた。


もういっそのこと喋れない人という設定にしようかとも考えたが、なにかと不便なのでなんとか練習しているのだった。


 あと一番困るのが飯食う時、普通に食ったら超スピードの早食いになってしまうのでゆっくり食べようとしたがこればっかりは無理だった。なので弁当はいつも路地裏で一人で食べてた。


そんな何時もの昼休憩、建築現場の路地裏で、俺にとっては5時間もある休憩寝て過ごそうかと思ってた時に事件は起きた・・・・


ぼーっとしてたら目の前を小柄で出るとこはシッカリ出てきゅっと括れのある俺好みの可愛い子がパントマイム&月面歩行でユッサユッサと乳揺らしながら、背中にリュック背負って走っていく。俺の至福のスロー再生のお楽しみ時間だーって目が釘付けになってたら、後ろから如何にも強面の男が、短刀片手に走って追いかけて来てた。


うわーやばい現場に遭遇したと思って、寝たふり決め込もうとおもったら、その可愛い子、俺のガチムチマッチョ体系見てこの人なら助けてくれると思ったのか、こっちに助け求めながら方向転換してきた。


だめだ可愛いけど今はこっちに来ないでーって寝たふりしてたら、助けてーっと悲鳴上げながら、思いっきり腕にしがみつかれてしまった。

あーこのふわふわした腕に当たる感触・・・そのままずっとそうしててと、しばらく堪能してたが、すぐに強面のやつがきて、かわいい子を引き剥がしにかかった。


すまん俺はこの世界の人間に関わる気はないんだ・・・・


チラッとその子の目を見た、俺に助けを求める目・・・

なぜかその時死んだじいちゃんの口癖が思い浮かぶ。


「困ってるもんがいたら助けるのが男じゃて」


なぜ、じいちゃん今出てくるのよ・・・邪魔しないでよ・・・。





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