第2話 堕

私が産まれた家庭は"貧困"と呼ぶには大袈裟だが経済的に豊かではなかった。


だが、両親、親族共に温かく、幼少期から愛を持って育てられた感覚は脳裏に焼きついている。


親族は某新興宗教の信者であり、私はその3世である。


それらを信仰する事はどの家庭であっても、当たり前なのだと思い込み幼少期からのめり込んでいた。


"なにかがどうにかしてくれる"その他力本願な思考はここで形成されたのかもしれない。


お上に逆らう事、自身の意思を言語化するのは今だに不得意だ。


"自分自身"という存在の意義を見失っていく土壌は産まれてこの方しっかり出来上がっていたように思う。


だが現在は、自身の人格形成を其れら環境の所為にする事は一切なくなった。


ただただ自身を育てた事に大きな感謝と尊敬を捧げている。


親は子を選べない。あなた方の意思に沿った成長を遂げなかった自分を許して欲しい。


高等な知能故に"思想""宗教"というものが生まれる。


そして隙間が多い人間の心に入り込み、拠り所となる。


いえど残念ながら人間は獣だ。


目標の設定はあれど、必ず死は訪れる。


人生、一回きりなんだ。


そして自身が"家庭"を持つという憧れは希薄だった。


"産まれる事"それは果たして幸せなのか


幸せとはなんなのか。


何かを得れば、興味を失い、ないものをねだり続ける。


その感覚は自分の精神にも宿っている訳で。


明確な"生き方"も分からずただただ惰性で生きた末路が今である。


"身体障害"というオプション有りで。

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無有病 @saakaerou

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