無有病
@saakaerou
第1話 はじめに
私の名は彬
齡35。ザ社会的弱者
所謂中途障害者である
生死を彷徨う交通事故で生き残った私に残っていたのは健常者時代の美化された思い出
そして"プライド"
何を騒ごうが、過去を羨もうが何も変わらないのは理解しているつもりだが、未だに受け入れきれず。
停滞している。
学も、明確な肩書きも持たずに霧のように刹那的に生きてきた。
生ける屍。
まさしくその言葉に近いか。
かろうじて垂らされた蜘蛛の糸に吊るされて、登る努力を必死で試みているが、"現実"は変わらぬ時間をただ浪費しているだけ。
仮に健常者だったとて何かを享受できていたかと問われれば答えは"No"
落ちるべくして落ちた地獄が今ここにある。
他責思考の果てに"努力は報われる"という根拠のない思考で日々足掻いていた。
握りしめても時間は止まらない。
神だ仏だと手を合わせたところで何も変わらない。
そして人は必ず死を迎える。必ず終わりがある
この文章は価値観の投げかけではない。
極個人的な懺悔であり、困難にある他者の踏み台になれれば本望である。
善人にも悪人にもなれなかったモブキャラの記す生きた証。
何も求めず、何も得ず。
"普通"に近づく為、生きていく。ただただ生きていく。
理想という言葉は他人事である。
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