Y-UMA vs 室伏幕府

『それでは、長かった今大会もいよいよ大詰め! 2人のダークホースの戦いです!』

『可変機らしい動きで敵を圧倒してきたトウマ・ユウキ選手とユニバースイグナイター! 相対するは扱いづらく当てにくいという評判のスナイパーキャノンを全弾必中させてきたスナイパー、レイト・ムロフシ選手とライトニングビルスター・ガーディアン!!』


 トウマは決勝進出が決まった時点で一旦運営が用意した船に乗り、それで所定の場所に運ばれている。

 トウマは船から。レイトはコロニーから発進して試合開始となる。


「さーて……レイト、今日は勝つぜ?」

『こっちのセリフだよ』


 その言葉を最後に通信を切り、配信の音声を聞く。

 最後の出撃は、配信の音声に合わせることになっている。


『それでは、試合開始!! 両者出撃してください!!』


 その合図が聞こえた。

 さぁ、行くか。


「トウマ・ユウキ、ユニバースイグナイター!! 出るぞ!!」

『レイト・ムロフシ。ライトニングビルスター・ガーディアン!! 目標を撃ち貫く!!』


 漆黒の宇宙をユニバースイグナイターが駆ける。

 さぁ、レイド戦と言えば、警戒するものは決まっている。

 必ず当たる狙撃だ。

 これをどうにかするには。


「──今ッ!!」


 弾が放たれると同時に変形。そして回避した先で盾を構える。

 その瞬間、盾に確かな衝撃。

 今回はコクピットではなく、頭部を狙ってきていた。トウマはそれを読み切った。


『ふ、防いだぁ!! これまで何機ものネメシスが防ぐことすらできなかった狙撃をトウマ選手が防いだぁ!!』

『えっ、今回避先を読んでの狙撃を読んで防いだの……? ば、化け物……?』


 失礼な。こちらはまだ人間だ。

 化け物はあっち。

 だが、ここからは悠長に話す余裕もない。

 即座に変形して接近する。

 仕掛けるのは、次の弾を防いでから。

 息を呑み、集中する。

 狙撃が来るなら、そろそろ──今。


「ここだ!!」


 次の狙撃も変形して盾で防ぐ。

 よし、ここで仕掛ける。


「リミッター出力開放!! 余剰エネルギー放出!!」


 レイトを相手にするのなら、出し惜しみはできない。

 故に、切り札はすぐに切る。


「イグナイトシステム!! ブーストアップ!!」


 イグナイターの全力を出すための機能。イグナイトシステムを発動する。

 青いエネルギーを纏い、先程までのイグナイターとは比べ物にならない速度で加速しレイトのライトニングビルスターへと肉薄していく。


『な、何だあれは!? 青色の光を纏った!!?』

『可変する上に時限強化ぁ!? どんだけロボ好きのハートを虜にする気だぁ!!』


 褒めてくれるのはありがたいが、反応する余裕はない。

 イグナイトシステムの青いエネルギーは実弾をある程度弾いてくれるが、スナイパーキャノンのような威力に特化した弾は流石に弾けない。

 故に、第3射も盾でしっかりと防ぎ、お返しにライフルの射程内に入ったライトニングビルスターへエネルギー弾を放つ。

 それをレイトは盾で防ぎ、こちらへ胸部と肩部のガトリングとミサイルをばら撒きながら後退する。

 その攻撃をバレルロールを交えた軌道で回避し、一気にライトニングビルスターへ肉薄する。


「ラァァァァァ!!」


 裂帛の叫びと共に一気に近接戦の距離へと持ち込む。

 そして、セイバーの射程に入った瞬間、エネルギーライフルを背中にマウント、ビームセイバーを引き抜きながらライトニングビルスターに斬りかかる。

 だが、レイトもそれに対抗し、脚部ビームセイバーで斬撃を防いだ。


「『何の光ッ!!』」


 ビームセイバーのエネルギーが火花と光を散らし、トウマとレイトの目を焼く。

 だが、2人もそれは既に慣れている。

 即座にトウマはビームセイバーを持ったまま引き、すぐにもう一度斬りかかる。

 それをレイトは後ろに引いて避け、ディフェンダーウィングに搭載されたシヴァの銃口をユニバースイグナイターへ向ける。

 その銃口を視認した瞬間、トウマはその場から離脱し、変形して距離を取ってシヴァを回避。

 だが、レイトがそのままの逃亡を許すわけもなく、イーグルファイター形態へと変形してユニバースイグナイターを追う。


「チィッ!! やっぱりイグナイトシステムを使っても機動力は互角か!!」

『ドッグファイトの基礎は敵の後ろにつく事!! このまま落とす!!』

「させねぇよ!!」


 後ろからユニバースイグナイターを追うライトニングビルスターがバックパックの4門のシヴァを放つ。

 宇宙を裂く光が何度も煌めくが、その全てをトウマは回避する。

 最早実況解説の声は2人の耳には届かない。極限の集中の中、ひたすらに動き続ける。

 そして、タイミングを見極める。

 まだ早い。まだ距離は離れている。

 もっと、もっと近付いて。


『こいつで……!!』


 ライトニングビルスターのバックパックのシヴァが再び光を灯す。

 その瞬間。


「スタンドマニューバッ!!」


 ユニバースイグナイターが今までの慣性を殺すようにその場で変形しながら前方へ向けてブースターを吹かす。

 それによりユニバースイグナイターは途轍もないGと共に減速。加速しすぎたライトニングビルスターがユニバースイグナイターの前に躍り出る。


『なっ!? その技、まさか!?』

「ご存知の通り、グラハムスペシャルだッ!! んでもって食らいやがれッ!!」


 土壇場でのスタンドマニューバにレイトが唖然とする中、トウマはエネルギーライフルを構えてライトニングビルスターの背中を撃つ。




****



 あとがきになります。

 今回はQAは無いですが、作者の自我が出したかったので。

 正直言うと、ライトニングビルスター出した辺りからずっとグラハムスペシャルはやりたかったのです。それがようやく出せました。

 ちなみに現状はトウマ専用技です。スパロボ的にはパイロット指定がある系の技。

 そして何かが光ると出てくる何の光。癖なんだ、漂流者共に何の光って叫ばせるの。

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