※彼は馬鹿です。真似しないでください
ライトニングビルスターの方でもツナギを着た人間が作業を始めようとしている。
数は3人。
その中の一人に対して声をかけつつ、とある所に電話をかける。
「どーも、お疲れさん」
そう言いながら、懐から拳銃を取り出し、声をかけた男に拳銃を突きつける。
「え? あ、な、なにを!?」
「そりゃこっちの台詞だ。お前ら誰だ? 俺が頼んだ業者じゃねぇな」
拳銃を突きつけられなかった残りの2人がすぐに動こうとしていたが、トウマはすぐに2人にも拳銃を向ける。
3人にランダムに銃口を突き付け直している感じだ。
「推進剤に混ぜ物しにきたのか、パーツ抜きに来たのか知らねぇが、そいつは俺の友人の機体だ」
拳銃を突き付け威嚇していると、ようやく電話が繋がる。
電話の先は、このコロニーの港のセンターだ。
「あーもしもし? ちょっと不審者を見つけた。人のネメシスに手ぇかけてる奴等だ。ちょっと警備員を派遣してくれないか? 港の場所は──」
なるべく意識を相手に向けながら警備員の派遣を頼んだ。
流石に相手も拳銃を向けられていては尻込みしてしまうようで、中々動けずにいた。
そして電話が終わり、端末を懐にしまう。あとはこのまま待てば大丈夫だ。
「動くなよ? 動いたら撃つからな。いいか、マジで撃つか──」
「こ、このぉ!!」
「え? あっ、ちょまっぶべらっ!!?」
拳銃を向けたまま時間が過ぎるのを願っていると、相手の一人が自棄を起こしたのかトウマに突っ込んできた。
トウマはそれを見て拳銃を撃つ…………のではなく、慌てふためいてそのまま相手にぶん殴られた。
「…………え? 弱くね?」
「い、今だ、銃を奪え!!」
「ちょっ、や、やめっ、ヤメロー!!? ネメシスのパイロットに生身の戦闘とかご法度ねぇもう殴んないでよねぇ痛いのぉ!!」
しかもそのままトウマは拳銃を奪われかけ、更に押し寄せてきた男たちにリンチにされる。
これが先程まで拳銃を突きつけてカッコつけてた男の姿である。
「へ、へへ、こいつさえ奪っちまえばこっちのもんだ! 後はてめぇを殺してそこら辺に捨てちまえば!!」
叫びながら男はトウマから奪った拳銃を、何の躊躇もなくトウマに向けて発砲した。
そして放たれた弾丸はトウマへ向かっていき…………
「…………ん?」
向かっていき、トウマを貫くはずだった。
だが、何故かトウマは無事。
男が拳銃の銃口を見てみると、そこには旗が顔を覗かせていた。
旗には『ドッキリ大成功!』と書かれている。
「………………玩具かよ!!?」
「残念だが玩具だ!! ってマジでいってぇそろそろやめろホントに!!?」
リンチされているトウマは何故か得意げな顔。拳銃もといドッキリ銃を持った男はそれを投げ捨てトウマのリンチに加わろうとする。
が、時間切れだ。
警備員が声を上げながらこちらへ走ってきた。
「おい! そこで何をしている!! 全員手を上げて動くな!!」
「助けて警備員さん!! 撲殺される!!」
「わかった!! お前ら、あのリンチしてる側を囲め!!」
「くそっ、逃げるぞ!!」
「逃がすか!!」
そうして警備員はなんとか男達を取り押さえ、トウマは保護された。
なんとも情けない主人公である。
保護されたトウマはその場で事情を説明。トウマは一応治療を病院で受ける事にはなったがお咎めは無し。男達は厳重な取り調べを受けることになった。
のだが。
「いいか、相手が見た感じ武器を持ってないからって玩具の銃を持って脅しに行くんじゃない。今回は運が良かったが、相手が服の内側に銃を隠し持ってたら殺されていたぞ? というか、状況が状況だったから今回は見過ごすが、下手すると君も脅迫罪でしょっぴかれるかもしれなかったんだからな?」
「はい……はい…………もう二度としません…………ほんとすんません……」
トウマはガチ説教された。
そりゃそうだ。あの状況、もし相手が武器を持っていたらトウマは殺されていた可能性が高い。
本人はああやって拳銃をチラつかせれば動かないだろうと思ってやっていたのだが、現実はアレだった。
本当にもう二度とやらないと心に誓った。
と、いう事で2人のネメシスの周りには警備員が配備され、トウマは病院へと運び込まれ治療を受けた。
ビバナノマシン。ビバ最新鋭医療技術。リンチされた傷も数分で完治である。
「あー、酷い目にあった……で、あいつら結局何者だったんだ?」
病院から出たトウマは端末に来たメールを確認する。このコロニーの港からの連絡だ。
そこには取り調べの結果が書かれており、あの3人の男は傭兵であり、そこそこ大きめの傭兵チームとして活動をしているらしい。
男達の目的は整備にカッコつけてパーツを抜いたり推進剤に混ぜ物をしたり。可能ならネメシスを盗む事まで視野に入れていたのだと言う。
動機は金。今回のネメシスの勝ち抜きトーナメントでチームメンバーを勝たせて賞金を得るため、あくどい事に手をかけたらしい。
なんともまぁテンプレな。
「やっぱ金が絡むとやべーのがそこそこ出てくるな……えんがちょ」
やっぱティファの小型船を借りて安全面に考慮して来るべきだったかも、と今更ながら思う。
「とかやってたらもういい時間だな。レイト達も戻ってるだろうし、港に戻るか」
ついでに肩こりの体質も治してもらったトウマは軽くなった体で港へと戻ったのであった。
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