金銭感覚測定ゲームその2

 そうして、金銭感覚が壊れたロリvs元ニート予備軍の元血尿大学生の買い物ゲームが始まったのであった。

 という事でティファ&サラは流石に楽勝だろうと高を括り、まずは食料品の買い出しに出かけた。

 出かけたのだが。

 

「うーん……スーパーに並んでるフードカートリッジはなんかイマイチね。なんていうか、量だけは多くて質が……」

「確かに……どうせ食べるならちょっといい物を食べたいわよね」

「トウマはこういうの買ってるっぽいけど、まぁ、10万超えなきゃこっちの勝ちでしょ? なら、少し高くても大丈夫よ」

「そうね。じゃあ、あっちの店で買いましょ」

「さんせー」


 という事でお安いスーパーのフードカートリッジは見事にスルー。

 そしてちょっとどころではないお高めの物も並んでいる店に向かって。

 

「あっ、これいいじゃない。ウチの国の高級店のフードカートリッジ詰め合わせ。3日分で10万ですって」

「ならこれを2つと、単品で1日分ね。で、23万って所かしら。案外安いじゃない」


 安くありません。

 ティファとサラなら1日もかからずに稼げる額ではあるが、23万は決して安くありません。

 ちなみにその頃のトウマはと言うと。

 

「うーん……流石に手加減無用で安い物ばっかり買ってもアレだしな。まぁ、かなり高いけど1週間分を3万で抑えるか」


 トウマは高いと思いながらも手加減のため、3万で1週間分のフードカートリッジを購入。

 どれもティファとサラでも食べきれる美味しくも量は少し少な目程度のフードカートリッジを選択した。

 そんな事もつゆ知らず、ティファとサラはシャンプー&トリートメントを買いに。

 

「あっ、これこれ。いつも使ってるやつ」

「ん? あー、これなのね。確か、サラが来てからはこれ使ってたわね。なんかこだわりとかあるの?」

「単純にこれが一番好きなだけよ。貴族時代から使ってるやつ」

「へー。ボトル一本で3万……普通くらい?」

「普通よ普通」


 シャンプー&トリートメント、合わせて6万。流石に使い過ぎである。

 ただ、これに関してはトウマもちょっと考えたようで。

 

「さ、流石にここで激安シャンプーとか買う訳にもいかんしな……あいつ等だって女の子だし。どうせあいつ等も同じモン買うだろうし、同じモン買っとくか……」


 ティファとサラが何を買うのか予測した上で、いつも使っているシャンプー&トリートメントを購入。ただし、安く売っている店を見つけて買ったので、5万6000ほどである。

 そして最後はベッドフレーム&布団。


「やっぱりこれよこれ。いつも使ってるのよりはグレードが落ちるけど、同じメーカーのだし安い安い」

「ふーん、フレームと布団合わせて30万かぁ。ティファって前からこういうの使ってるの?」

「いえ、そうじゃないけど。トウマが稼いでくれるようになってから、やっぱり寝具はこだわった方がいいって相談して、2人で決めて一緒に注文して買ったのよ。その時は結構高いのを買ったけど、客室用兼予備だし、グレードが落ちるやつでいいわよね」

「そうね、大丈夫だと思うわ。でも、サイズってダブルサイズでいいの?」

「いいんじゃない? ベッドなんて広い方がいいじゃない。わたし達の普段使いのやつだってダブルサイズだし」

「確かにそうね。窮屈よりは広い方がいいわ」


 ティファとサラは軽く高級ブランド品を購入。グレードこそ落ちると言っているが、今3人が使っているのが最高級品なだけであって、これも十分に高い。

 対してトウマは。

 

「おっ、フレーム合わせて4万で揃うじゃん。所詮は予備だし、どうせあいつら高いの買うだろうからな。これでいいだろ。これくださーい」


 どうせ予備として倉庫に突っ込まれるもんだし、この程度でいいだろうと4万でベッドフレームと布団を購入。

 ちょっと高いが、まぁお客さん用でもあるのだ。少しはいい物にしておいた方がいいだろうと思った結果だ。勿論、シングルベッドである。

 そうしてベッドフレームと布団は業者に運び込んでもらい、ティファ&サラVSトウマのお買い物対決は終了した。

 その結果は、言わずもがな。

 

「えーっと、俺が約13万で? お前らが」

「……60万近く使いました」

「よくそれでさっきまでどや顔できてたなお前ら???」


 どや顔で戻ってきた2人はレシートをトウマに突き付けたのだが、次の瞬間トウマから突き返されたレシートを見て一瞬でどや顔がしょぼん顔に変わった。

 トウマはかなり手加減していた。

 手加減無用なら食料品なんて多分1万ちょっとで抑えられたし、シャンプー&トリートメントだって5000もかからなかった。流石にベッドフレームと布団は特に考えずに安めで済ませたが、それでもこれだ。

 少なくとも食料品とベッドフレーム&布団をしっかりと考えていれば勝てた勝負だ。

 シャンプー&トリートメントは、まぁ2人とも女の子なので仕方ないとはいえ。

 

「えっ、何? 1週間分の食事が23万ってナメてる? ナメてるよね? シャンプー&トリートメントは、まぁ許す。お前らも女の子だしな。で、ベッド一式で30万って、節約する気ある? 予備だって言ってたよね? 客室用って言ったよね? そう何度も使わないやつだよ? 基本的に倉庫に置いておくやつだよ? 貴族屋敷の客室に置くならまだしも、船の客室に置くもんかこれ?」

『はい……』


 はいじゃないが。

 だが、こうなるのは何となく予想していた。

 既に買ってきた高級ベッド一式は客室に設置してあるし、トウマが買ってきたものは予備中の予備という事で倉庫に放り込んである。

 もし自分の部屋が吹き飛んだとしても寝具だけは不自由しない事だろう。

 

「はぁ……とりあえず、ゆっくりと金銭感覚は戻すとして、アレだな。とりあえず罰ゲームだ」

「わたしちょっと用事があるから」

「あたしも実家に帰らないと」

「逃がさんぞ金銭感覚イカレ娘ども」


 こうして金銭感覚がイカレていることを自覚した2人は無事、罰ゲームを受けることになったのだった。

 

「ぎゃああああ!!? ちょっ、ぶつかる!! ぶつかる!! 塵になる!! デブリに当たって塵になひいいいいいいいいいいい!!?」

「き、きも……ぶくぶく……」

「……やべっ、やりすぎちまった」


 後日、オーバースプライシングとラーマナMk-Xのコクピットは殆ど揺れを感じないイカれた性能のコクピットとなり、サラは見事に虫が嫌いになった。

 流石に制限時間一杯まで小惑星帯をぶっ飛びまくるのと、Gやら蜂やら蜘蛛やらの映像を1時間見せ続けるのはやり過ぎたと、裏で反省したトウマであった。

 まぁ、普段から割と激しいツッコミを貰っているし、偶には意趣返しもいいだろう。

 ちなみに、金銭感覚に関しては生活必需品はまだしも、食料品などに対してはゆっくりと治していきましょう、という結論になったそうな。



****



 あとがきになります。

 今回もQAをば。


Q:金銭感覚よりもスパナ刺さったりドロップキックされたりしても無事なトウマの方がやべーだろ

A:はい。

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