Go for it!
「俺のラーマナ使っておいてンなへったくそな戦い方してんじゃねぇぞメスガキがァ!!」
『ひっ!? きゅ、急に何!?』
「おい俺と今すぐPvPしやがれ!! お前がラーマナでそんな動きしてるとマジでイラつくんだよとっととこっち来いや!!」
すっごく腹立たしいのである。
別に遊び半分ならここまで怒りはしない。
だけど、大言壮語でかっこつけてあの有様なら許せない。何故ならラーマナは己の理想の体現。理想の体現がへなちょこな動きをしてるんなら普通にイラつく。
ネメシスオンラインでも何度も感じた感情だ。
ラーマナをパクるんならそれでいい。何故ならラーマナはネメシスオンラインで史上最高にかっこよくて強い機体だから。いくらでもパクって己の理想をかっこいいと褒めるがいい。
だが、その理想を使って無駄に威勢のいい言葉を吐いてボロ負けするのだけは許さない。己の理想を他人に穢される事だけは許さない。
『ちょ、と、トウマ。落ち着きなさいよ。そこまで怒る事はないでしょ?』
「じゃあティファ。お前、スプライシングを動かしたときどう思った? 自分の作った愛機で未熟な動きしかできなくてどう思った?」
『クッソイラついたわ。性能未満の結果しか出せなかったパイロットのわたしにイラついた』
「俺の感情、ほぼそれ」
『なるほど。クッソイラつくわね』
「そういう事。別に誰かが俺の愛機を使おうと構わない。その結果、俺より上手く動けるんなら素直に称賛する」
『えぇ、そうね。だからわたしもスプライシングをあなたに預けてるんだもの』
「でも自分以下の動きをされたらクッソイラつく。だから分からせる」
『理解したわ』
『そっちの身内間で勝手に頷かれてもこっちが困るんですけど……? ってか、誰が下手くそよ!!』
「テメェだメスガキィ!! お前にそんな動きされるようなら俺がラーマナに引導を渡してやるってんだよ!!」
とは言っても、じゃあここで武器片手に発進してサラ相手にPvPを仕掛ければただの犯罪者なので、まずは仕事を終わらせることにする。
我慢ならんとラーマナを駆るサラを無視してスプライシングを出撃させ、とっととズウェーリを狩る。
敵とすら認識されなかったズウェーリ達は大型含めコアを潰され哀れ死亡。
爆速で沈され死体を晒すズウェーリを尻目にトウマは改めて通信を繋げた。
「さぁて、ようやく分からせの時間だ。ティファ、ライフルの弾をペイント弾に変えてくれ。あとセイバーの出力変更もな」
『はいはい。そっちの、サラだったかしら。あんたの武器の弾もペイント弾に変えとくわよ』
『やってくれるんならありがたくしてもらうけど……ふん、そんなジャンク寸前の機体でわたしと戦おうなんて、ナメられたものね』
『トウマ、このメスガキ分からせなさい』
『モチのロン』
『だぁかぁら、誰がメスガキよ!! 普通に失礼よあんた等!!?』
ごもっともで。
サラのごもっともな怒りを受けつつティファがとっとと弾倉の中身を普通の弾から練習、模擬戦用のペイント弾に入れ替える。
弾さえ安全になれば後は戦うだけ。
トウマのスプライシングとサラのラーマナが対峙する。
『さて、訓練用プログラム起動。トウマ、分かってると思うけど、ペイント弾の当たり方やセイバーでの斬られ方次第では機体はすぐに動かなくなるわよ』
「あいよ。まぁ任せな」
『あたしの方もプログラムを起動しておくわ』
このプログラムは使うことで安心安全に対人戦ができる、結構便利な物だ。最も、軍くらいでしか使われていないのだが。
ちなみに、このプログラムをもってしても肩部ミサイルのみはどうしようもないため、使用禁止。
そしてラーマナも実は盾内部にミサイルがあるのだが、それは使えないようになっている。
互いに武器はライフルと盾とセイバーのみ。スプライシングのコンセプトもラーマナのコンセプトもほぼ同じ。故に、この勝負を決めるのは操縦者の腕と機体のスペックだ。
「さぁてっと……先手は譲ってやるよ」
『そう。なら、遠慮なく!』
そして、サラ視点からすれば馬鹿にした奴らへの報復。
傍から見ればぶつかり稽古が始まるのであった。
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