鋼鉄の友よ

 ティファの味覚狂ってる疑惑はさておき、二人は無事依頼を出したコロニーへと到着。ティファはいつも通りコロニーへと通信をつなげた。

 毎度よろしく、コロニーからは自身のコロニーの番号が返ってくる。

 トウマからしてみればどういう基準でそういう番号が振られているのか、よく分からないままだ。


「こちら傭兵協会所属、ティファニア・ローレンス。依頼を受けた傭兵よ。コロニー船をドッキングして中に入りたいのだけど」

『あー、確か優先権がありましたね……ではこちらでナビゲートします』


 という事で、コロニーにドッキングしてコロニー内へと入れるようになった。


「んじゃ、わたしはこのまま傭兵協会に行ってくるけど、あんたはどうする?」

「……ちょっと適当にスーパーでも見てくるわ」

「欲しいものでもあるの?」

「んー……欲しいものっていうか確認したいものっていうか……」

「……? まぁいいわ、夜には船に帰ってきなさいよ?」

「わかってる」


 という訳でティファは傭兵協会へ、トウマは近場のスーパーへと向かった。

 傭兵の仕事としては、仕事そのものは明日から。そして明日の朝イチで一緒に仕事する傭兵と顔を合わせる手筈になった。

 そしてトウマ側はと言うと。


「……舌狂ってんのはティファだけじゃねぇんかい…………!!」


 ちょっと絶望してた。

 なんで普通の食事は大して変わらないのにお菓子だけこんなヤバイことになってるんだと。

 そんなこんなしてこの日は終了。依頼を遂行する日となった。


「あんた、何そんな人生終わったみたいな顔してんのよ。シャキッとしなさいシャキッと」

「いや、うん……ちょっとね……大丈夫、スプライシングはパーペキに動かすから……八つ当たりしたいし」

「……?」


 可愛らしく小首を傾げるパートナーに、可愛い子だけど舌狂ってんだよなぁ……と思いつつ、格納庫へと向かってスプライシングに乗り込む。


「はー……スプライシングぅ……お前だけだよ、俺の癒やしは」


 スプライシングのコクピットで溜め息とともに愚痴をこぼしながら起動準備を進める。

 OSを起動し、時間に余裕があるので各部のテストを実施。オールグリーンを確認し、ライフルとシールドをハンガーから手に取る。


『トウマ。そろそろ発進よ。お相手さんも準備できてるっぽいし』

「あいよ。こっちはオールグリーンだ。指示があればいつでも飛べる」

『わかったわ。んじゃ、とっととこんな仕事……ん? ちょっと待って。お相手さんから通信が入ったわ』


 ティファとの会話の最中、独特なコール音が鳴った。

 恐らくこの船のすぐ側を飛んでいる同業者からの通信が届いたのだろう。ティファはすぐに通信を繋げた。


『あー、聞こえる? 初めまして、同業者サン』

『えぇ、初めまして』


 通信が繋がり、相手の声が聞こえてきた。

 その声は明らかに若い女性……それこそティファと同年代に近い女性。いや、少女と言ってもいい声だった。

 それにティファが驚き、トウマもティファのような子は珍しいという程度の事は知っているので驚いた。

 そしてすぐに映像通信に切り替わったらしく、スプライシングのコクピットのモニターにティファの顔と相手の少女の顔が映った。

 相手は本当にティファとあまり歳が変わらないであろう少女だった。


『あら、軽く聞いてはいたけど本当に同い年くらいなのね。驚いた』

『こっちは何も聞いてなかったから驚きが倍増よ。で、何か用でもあった? 挨拶したかったってんなら別にいいけど』

『そうね。挨拶もしたかったけど、一つ言っておきたい事があって』


 少女はヤケに勝ち気な表情でこちらの返事など聞かずに言葉を続けてきた。


『あんたら、何もしなくていいわよ。ズウェーリはあたしが全部片付けるから』

『は? 何よ、随分な自信ね?』

『えぇ、随分な自信よ。そこの冴えない馬鹿面の男よりも強いって自信があるわ』

「キレそう」

『ちんちくりんと冴えない顔面のコンビに手伝ってもらわなくても楽勝よ』

『ころちゅ』


 ちなみにティファの事をちんちくりんと言った少女だが、通信で見える範囲はティファとそう変わらないちんちくりんである。

 身長は少しティファよりも高いが、ロリっ子体型。青色の髪と瞳も相まって可愛らしいが、彼女が浮かべる挑発的な表情のせいで少し生意気な雰囲気を感じる。

 そんな彼女に思わず暴言が出そうになる二人だったが、ぐっと堪える。


「……そこまで自信あるなら任せようじゃねぇか、ティファさんよ。俺達は何もせずに金儲けだ」

『えぇそうね。このメスガキに任せてわたし達はポップコーンとコーラ片手に観戦でもしてましょうか』

『誰がメスガキよゴラァ。まぁ、別にあたしとしては邪魔されなきゃどうでもいいわ。引っ込んでなさい』


 結構なことを言うティファだが、どっちもどっちな体型である。

 そんなこんなで、トウマとティファは特に出撃はせず、少女にこの場は任せることにした。楽して金が手に入るならそうするべきだから。

 スプライシングだって、動かすだけで推進剤やらメンテ費がかかるのだ。それがかからないのなら万々歳。

 接敵前にトウマはキッチンからおやつ用のポップコーン(ビーフシチュー味)とコーラを取って来て再びスプライシングのコクピットへ。


「……すっげー違和感ある味だなこれ。でもなんかうめぇのホントなんなの…………」


 ビーフシチュー味のポップコーンなんていう微妙な物をもっさもさと食いながら、スプライシングのモニターに小型船の操縦室に写っている映像と同じ映像を写す。

 船の前にはもう一隻の船。少女の船が飛んでいる。何だか最近作られたばかりのおニューな船、という印象だ。


『さて、着いたわね。あんた達、あたしの強さをとくと見てるがいいわ』

『あーはいはい。がんばれー』

「応援してるぞー。ところでティファ。ポップコーンだけどもっとマトモな味ないの? キャラメルとか塩とか」

『何よそれ。ポップコーンといったらビーフシチュー味でしょ。映画館でもそんなもんじゃない』

「もーやだこの宇宙」

『コイツ等……ッ!! ま、まぁいいわ。あたしの、サラ・カサヴェデスの強さ、見てなさい!』


 少女、サラが半ギレで叫び散らかしながら自分の船からネメシスに乗り込み、飛び出した。



―――――――――――――


後書きというか蛇足です。


Q:もしもティファが使える金と時間と資源が無限だったら戦力はどうなりますか?

A:ティファの船はマ○ロスみたいになるしスプライシングはガ○ダムみたいになります。こいつはガンダムで言う所のア○トナージとかロ○・ギュールみたいな感じなので

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