第3話 あいつら
CDが陳列されている。
当然みんなが勝手に取って行くので、人気のCDはほどんどなくなっていて、だいぶ穴が空いている。
陳列棚の間にある柱に女が括られている。
縄で手を縛られ、服も着ていない。土と埃で汚れ、殴られたような傷が顔や腹にある。
その周りに七人、男がいる。
ピアスを開けていたり、坊主だったり、筋骨隆々だったり、いろんな奴がいるが、概してガラが悪そうだ。
凛と青年は階段を上がった後、その光景を見てから、息を殺して遠くから観察している。
「次は誰だ?俺はもう二回目やったから、もう流石に無理だわ」
「俺ももう疲れた」
女の目は虚で、もう逃げ出すことは愚か、抵抗する気力もなさそうだ。
凛は小声で、
「これ、助けた方がいいんじゃないの」
青年、小声で、
「いや、俺なんかが行ってもボコボコにされて、色々奪われて終わりだよ。君も結構危ないんじゃないかな。されて嫌なこと、全部されるよ」
「もうさ、だったら逃げようよ」
「そうだね。あの女の人には悪いけど」
二人はなるべく足音が立たないように、ゆっくり階段を降りようとする。
階段の下から、蜂蜜を煮ているような匂いと、鈍い音がする。
二人は硬直する。
下から、あいつらが、3体上がってくる。
青年は、鞄から急いでGEポータルを出し、起動する。
凛はDネットの板でGEポータルの話を読んだことはある。
ある団体の限られた人しか持っていないし、もし使うとすれば、かなりのダメージを負うらしい。
青年がGEポータルを起動すると、凛の体の周りに生暖かい空気の膜のようなものが生成され、凛は強い目眩と蝶々の大群が眼球の中に入り込んでくるような幻覚を見る。かなり気分が悪い。
あいつらは凛と青年の横を素通りし、男たちと女の方へ近づく。
メイドは缶詰を収集する @daywiibe
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