第2話 CD

バイクに乗っている青年は凛の前で停車し、話しかける。

「なに、こんな時代に、メイド喫茶って営業してんだ」

凛は無視して逃げることも考えるが、青年の顔はあまりにも朗らかで無害だ。

「これは、制服とかではなく、趣味で着てるんです」

「そっか。あのさ、これから二キロくらい先のCDショップに行くんだけどさ。よかったら一緒に行こうよ」

「でもあのあたりはあいつらが割といるってDネットに書いてありましたけど」

「今日はあんまりいないってあそこら辺に住んでる友達がフェイタルのDMで教えてくれたから大丈夫」

「うーん…まあ、そんな感じなら行ってもいいですよ。今手持ちのCDは聞き飽きたので」


凛と青年はバイクで街を走る。

植物に覆われたビル群、鳥の巣のできた電信柱、並ぶ廃車、何らかの骨。


「でさ、なに聞くわけ?CDとか持ってるんでしょ。なんかかけてよ。俺の背中のバッグのここ、簡易的なプレイヤーになってんだ」


凛は鞄からCDを出し、再生する。


CHVRCHESの『Gun』が流れる。


「いい趣味してんね。なんか、チャーチズってこの終わってる街の感じと親和性高いね」


二人はタワーレコードのビルの前でバイクから降りる。


「ここって前はすごい人がいたのにね。ガラ空き。あそこの一蘭もいつも列ができてたのにね」

「私はここらへんに来たのは初めてなので、あんまり前どうだったかとか、知らないです」


二人はビルの中に入って行く。


非常階段で2階まで上がると、


七人の屈強そうな男と、傷だらけの裸の女。

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