雫の任務⑥ ー 最悪の再会
ピッ
雫が腕時計型ディバイスのスイッチを押すと
ハンゾーがどこからともなく現れ、白い煙を吹き出す。
「げほっ、げほっ…」
忍者たちは突然の煙幕にやられてしまい、煙が消えてきた頃には雫と中野の姿は跡形もなくなっていた。
「くそっ…、やられたか。」
「でもまさか姉ちゃんがここにいるなんて。」
「あいつ、家出しといてあたしたちの邪魔するなんて許せない!ムキーーッ!!」
「とりあえず出直してまた中野に接触を図ろう。」
そう言うと3人も姿を消すのであった。
---- ハァ、ハァ、ハァ。
雫と中野は近くに呼んであったタクシーの中にいた。
「まさか警察もいるなんて予測してませんでした。それも忍者だなんて…。」
中野は雫に何か聞きたそうだったが、ぼんやりと窓の外を見つめる雫の姿を見て諦めるのだった。
車は "喫茶 幸福" の近くに止まると雫と中野は歩いて店へと向かう。
カランコロン--
「おかえりなさい、服部さん。それと中野さんも。」
雨林が声をかけると雫は黙って自分の部屋へと行ってしまった。
「なんでも警察が来ていたそうで。落ち合えなくて残念でしたね。」
「はい…でも事情を話したらまた後日会うことになったので大丈夫です。あの…雨林さん、服部さんは大丈夫でしょうか?なんか警察の忍者の人たちに会ってから様子がおかしくて…」
「おそらく大丈夫でしょう。次回の依頼までには戻っていると思いますよ。」
「ならいいのですが…。」
「それより、今あなたは狙われてる身ですから隣の私の家に部屋が余っていますのでしばらくはそちらでお過ごしください。」
「ありがとうございます。」
中野は雫のことが心配でならなかったが、後ろ髪を引かれる思いで雨林の後についていくのであった。
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