雫の任務②
「中野さん、そろそろ時間なので行きましょう。」
雫が声をかけると中野は少し慌てた様子で出口へと向かうと待たせてあったタクシーに乗り込む。
「お客さん、どちらまで?」
運転手が訊ねると中野は「16番まで」と答える。
これはいわゆる合言葉というやつだ。
運転手は当然、雨林の伝手で呼ばれた人物。
本当に今回この車に乗る人物で合っているのかを確認するために訊ねたというわけだ。
運転手は車を走らせるとラジオを付けた。
静かな車内にラジオの陽気な音楽が流れると運転手は鼻歌を歌いながら運転をする。
そんな運転手を他所に雫は車内で周囲の警戒をしながら今回の依頼について考えていた。
(今回の依頼は "護衛 "。だけど実際には暗殺者からこの人を守らなければならない過酷な依頼だ。中野さんの持っているアタッシュケースには企業から盗んだ情報が入ってるって聞いたけど…そんなにヤバい情報なのかな…。)
車が目的の港へと到着する頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。
タクシーを降りると雫と中野は仲間に情報を渡すために落ち合う倉庫へと向かった。
歩いていると早速、暗殺に来た人物たちが後をつけてきていることに気がついた雫は
「中野さん、ちょっと失礼します。」
と声をかけると体格からは想像もつかないような力で中野をお姫様抱っこのように抱える。
そして
タッタッタッタッ
とすごい速さで走りだした。
暗殺者たちは雫の驚きの行動に一瞬、理解が追いつかなかったがすぐさまターゲットを追いかけていく----
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