雫の任務①
階段を降りていった雫は雨林と合流するためとある建物へと向かった。
最短で向かうために屋根の上を走って進んでいく。
5分程走ると目的の建物に着いた。
辺りを見渡し、人がいないことを確認してから下へ降りる。
そして何事もなかったかのように建物の中へと入っていった。
雫が指定された部屋へ向かうと雨林の他にもう1人、眼鏡をかけた30代ぐらいの男がいた。
「服部さん、こちらが今回の依頼人の中野 雄二(なかの ゆうじ)さんです。」
「どうも、中野です。よろしくお願いします。」
雫は「こちらこそ」と軽く会釈をした。
「早速ですが今回の依頼は事前に話した通り" 護衛 "ですので、しっかりとお願いしますね。」
「わかりました。」
「では私は他に用がありますので後のことは頼みましたよ、服部さん。」
そう言うと雨林は部屋を出て行ってしまった。
(はぁ〜、任されても困るんだけどな…)
雫の面倒くさそうな雰囲気を察したのだろうか
中野は
「すみません、こんな依頼してしまって…。」
と雫に謝ると
「これ、よかったら食べてください。」
と言ってのど飴を渡そうとする。
しかし「あ、お構いなく。仕事中ですので。」
と雫に断られてしまい、中野は行き場のなくなった飴を気まずそうにポケットへとしまうのだった。
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