思わぬ休暇②

--何時間たっただろうか。


真琴が目を覚ますと窓の外はすでに日が暮れ始めていた。


気がつくと全身の痛みが少し治っているように感じた。


 部屋を出てトイレへ行こうとすると丁度隣の部屋から雫が出てきてドアの鍵を閉めている所だった。


フードを被り、マスクをしている雫の姿を見て真琴は「あ、雫さん!今からあっちのバイトですか?」と声をかける。


「篠田くん。そうだけど…体は大丈夫?」


「え、なんで俺が全身筋肉痛だって知ってるんですか?!」


「だって今朝部屋を出る時に『痛ってぇ〜全身バキバキすぎて死にそうだ…』って独り言話してたのが聞こえたから。」


「確かに独り言、言った気はするけど…

てか俺恥っっず!!まさか聞かれてるなんて…照れちゃうな〜」


真琴のコロコロ変わる表情に思わず雫の口元が緩む。


すると突然、雫の足元からロボットのハンゾーが現れて会話に入ってきた。


「ホンマ!マコトのヒトリゴトはデカかったで〜。それよりマコト、またアシタからトックンや!バイトヤスミにしてもろたみたいやけどワイとのトックンにヤスミはナシやぞ!」


「え、雫さんが一緒に特訓してくれるんじゃないの?」


「アホ!シズクはイソガシイからキホンはワイがキタエたるさかい、ガンバリや〜」


ハンゾーは雫の腕に抱えられると顔の画面がニコニコとした表情になった。


そして「じゃあ篠田くん。私たちはもう行くから。明日からまたハンゾーと頑張って。」


と雫は言うと階段を降りて行ったのだった。


雫の背中をぼんやりと見ていた真琴だが、尿意を思い出すと急いでトイレへと駆け込むのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る