帰宅すると…

 --ドーナツ片手に帰路へと着く。


喫茶 幸福に入ると今度は雫ではなく雨林がカウンターで片付けをしている最中だった。


少し気まづいと思いながら通り過ぎようとすると「篠田くん。気分転換はできましたか?」と雨林に声をかけられてしまった。


ギクっと驚いた真琴は咄嗟に聞き返す。


「雨林さんこそ、なんで今日はバイト入らないか聞かないんですか?俺サボってるんですよ?」


「昨日の現場を見たら誰だって気分が落ち込みます。新人さんにはちゃんと休暇も必要ですから気持ちが立て直せたらまた声をかけるつもりでした。」


「そうですか…。」


「それに篠田くんがやる側をしたくないのであれば裏方で活躍してもらう方法もありますし、何とでもなりますよ。」


「え、裏方とかあるんですか!?

最初から言ってくださいよ〜」


ホッと安堵する真琴。


しかし雨林は「でも私は篠田くんほどやる側に向いてる人はいないと思いますけどね。」と言う。


「雨林さんは何を根拠にそんなこと言ってるんですか?いくらうちの家がそういう家系だと言っても俺自身にはなんの能力もないですよ。」


「まぁまぁ、とりあえず今の篠田くんの状態では即死ですからちょっと稽古をした方がいいですね。私から服部さんにお願いしておきましょう。」


雨林はそういうと2階へと行ってしまった。


真琴は昨日の雫の動きを思い返す。


(武器は確かクナイ?だったよな…?無駄のない華麗な動き…。もしかして忍者なのか…?)


真琴が考えていると雨林が戻ってきた。


「服部さんに承諾を得ることができましたので今日の夜、2人で稽古をしましょう。何か掴めるかもしれませんよ。」


雨林が決めてしまったことを覆すのは無理だろうと真琴は渋々稽古の話を受け入れることにした。

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