第2章 少女とロボット

甘いひと時

昨日のバイトから一夜明け、真琴は部屋でダラダラと過ごしていた。


特に雨林からの呼び出しもなく、ただただ時間だけが過ぎていく。


真琴は今後、自分自身の境遇やバイトへの向き合い方を考えてはいたものの、なかなか心が定まらず、モヤモヤした気持ちが募っていく一方だった。


「あーーっ!!もう考えるのやめた!!よし、気晴らしに散歩でも行くか。」


そう思い立った真琴は外出の準備をすると部屋を出ていくのであった。


 幸いにも下の喫茶店に雨林はおらず、代わりに雫が椅子に座って読書をしていた。


思わぬ彼女の姿に昨日のことを思い出して少しドキッとしてしまったが、何も言わずに店を出ていった。


 外に出ると春の暖かな日差しが差し込み、憂鬱な気分を晴らしてくれるようだった。


真琴は思うがままに歩みを進める。


初めての景色に胸を躍らせながら街を見ていく。


すると、どこからかとても甘くて美味しそうな匂いがしてきた。


匂いを辿っていくと可愛らしいドーナツ屋さんがあった。


店に入り、ショーケースを見るとチョコレートがかかったものやシンプルに砂糖がかかっているもの、変わり種のキャラメルマキアート味などどれも美味しそうなものばかりだ。


(うわぁ〜!どれにしようかなぁ〜?)


目をキラキラと輝かせながら選んでいると

店員さんが「ご注文はお決まりですか?」と

声をかけてきた。


ふと見上げるとそこには髪を一つにまとめ、

ぱっちりとした目のとても可愛らしい顔の女性がいた。


真琴の心臓の音が速くなる。


「えーっ、じゃあお砂糖のドーナツを1つ。」


「かしこまりました。210円でーす。」


真琴は300円を出す。


すると「90円のお返しです。」と手渡しで、

しかも片方の手を添えて渡してくれたのだ。


手と手が触れて心臓が高鳴る真琴。


(はぅ…!なんかすごいドキドキする…)


「ありがとうございました!」


ハッと気がつくと真琴は店の外に出ていた。


(今のは一体何だったんだ…病気か…?)


ちょっと刺激的?な出来事に胸がくすぐったくなる真琴であった。

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