裏のバイト②

「今回の依頼は松原組の幹部、原田 修造(はらだ しゅうぞう)の口封じです。」


「ちょ、ちょっと待ってください!?口封じって--つまり殺すってことですか?」


「はい、そうですが…。もしかして篠田くん、お祖父さんから聞いていませんか?」


「聞くって何も…。ただバイトができるって話しか聞いてなくて…。」


驚きを隠せない真琴の様子に雨林はため息をつく。


「はぁ〜、あのじじい、ちゃんと説明しとけよ。通りで話が噛み合ってないような感じがしたわけだ。」


突然の雨林の変貌ぶりにさらに驚く真琴。


しかし雫は顔色一つ変えずに黙っている。


「篠田くん、バイトの話はなしってことにしますか?その場合あなたのこと殺さないといけないのですが。」


「こ、殺すんですか!?」


「えぇ、それだけ重要なことです。私たちの存在を他人に口外されては困りますので。」


そう言うと雨林は小型のナイフをシュッと出す。


そして真琴が気付いた時には背後を取られ喉元にナイフが突きつけられていた。


あまりの恐ろしさに震えながら真琴は祖父の言葉を思い出す。


それはこのシェアハウスを紹介してくれた時のことだ。


----「真琴、ここならお前の成長の助けにもなるだろう。それにわしの知り合いがやっているから安心だし。勉強してこい。」--


(そういうことか。うちの家業は継がなくていいって言ってたのに…結局これかよ。)


紹介してくれた祖父を恨みながら覚悟を決める。


「雨林さん、俺やります。バイト。」


真琴の真っ直ぐな目を見て雨林はナイフを下ろす。


「そうかい、なら助かるよ。じゃあ、依頼の場所へ向かおうか。」


真琴たち3人は依頼のあった廃ビルへと向かうのであった。

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