裏のバイト②
「今回の依頼は松原組の幹部、原田 修造(はらだ しゅうぞう)の口封じです。」
「ちょ、ちょっと待ってください!?口封じって--つまり殺すってことですか?」
「はい、そうですが…。もしかして篠田くん、お祖父さんから聞いていませんか?」
「聞くって何も…。ただバイトができるって話しか聞いてなくて…。」
驚きを隠せない真琴の様子に雨林はため息をつく。
「はぁ〜、あのじじい、ちゃんと説明しとけよ。通りで話が噛み合ってないような感じがしたわけだ。」
突然の雨林の変貌ぶりにさらに驚く真琴。
しかし雫は顔色一つ変えずに黙っている。
「篠田くん、バイトの話はなしってことにしますか?その場合あなたのこと殺さないといけないのですが。」
「こ、殺すんですか!?」
「えぇ、それだけ重要なことです。私たちの存在を他人に口外されては困りますので。」
そう言うと雨林は小型のナイフをシュッと出す。
そして真琴が気付いた時には背後を取られ喉元にナイフが突きつけられていた。
あまりの恐ろしさに震えながら真琴は祖父の言葉を思い出す。
それはこのシェアハウスを紹介してくれた時のことだ。
----「真琴、ここならお前の成長の助けにもなるだろう。それにわしの知り合いがやっているから安心だし。勉強してこい。」--
(そういうことか。うちの家業は継がなくていいって言ってたのに…結局これかよ。)
紹介してくれた祖父を恨みながら覚悟を決める。
「雨林さん、俺やります。バイト。」
真琴の真っ直ぐな目を見て雨林はナイフを下ろす。
「そうかい、なら助かるよ。じゃあ、依頼の場所へ向かおうか。」
真琴たち3人は依頼のあった廃ビルへと向かうのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます