第15話 ダンジョン12階層 羊

 斧を手に持って草原を歩む。するとグラスウルフが4体、襲ってきた。グルグルと回りながら取り囲んでくる。AGIが低くなってるから、襲ってきたところをカウンターするか。


「せいっ!」


 いつも通り後ろにいるグラスウルフから、噛みついてこようと襲ってきた。しかしその動きは気配察知のスキルで分かっている。振り返って下からすくい上げる様に斧を振るう。

 頭を狙った斧は、しかし胴体に命中した。まだあまり慣れていないから、少しずれるな。しかしそれでも倒すことはできた。これで残り3体。


 斧を振るった後の隙をつこうとしたのか、またしても背中側のグラスウルフが襲い掛かってくる。だから振り上げた斧を一回転させるように、体の勢いを殺さないで背中側に叩きつける。今度は頭に当たった。もちろんこれで倒して、残り2体。


 そうしたら今度は残りの2体が挟み込むように一緒に襲い掛かってきた。頭の中では攻撃をくらうなと思っていたが、斧術のスキルの効果で体が動いた。

 叩きつけた斧を今度は体を捻って横に一回転する。するとグラスウルフをまとめてぶっ飛ばした。もちろん一撃だ。


「ふー。まさか無傷で倒せるとは思いませんでした。それに剣と違って随分とアグレッシブな動きになりますね」


 斧を蟻で使ったときは、グラスウルフ相手には攻撃をくらうだろうなと思っていたが、まさか無傷で倒せるとは思わなかった。しかも流れるようにだ。正直自分の動きとは思えない。


「初めて斧を使うからでしょうか? 剣だと小学校中学校で習いますから、それに引っ張られてスキルがうまく活かせなかったとか?」


 そんな考察が浮かぶが、考えても正解かわからない。まあよく動けてるならいいか。とりあえずは斧でグラスウルフと蟻を倒せることが分かった。それに今度剣を使うときはスキルを意識してみるか。どうやるかわからないけど。

 それにしても今のは気持ちよかった。たくさんモンスターを倒すのもいいが、ああやってうまくきまるのも気持ちいいな。


 そんなことを考えながら、草原を進む。すると遠目に草?みたいなのが動いているのが見える。


「グラスウルフじゃないですよね。保護色でもわかりますし。それにあれは1体? ですし」


 とりあえずある程度近づいてみると、緑色の毛をしたもこもこの羊だった。


「メ~」


 ご丁寧に鳴いてもくれている。角も立派で硬そうだ。


「でも蟻よりは弱そうですよね」


 そう思いつつ近づくと、こちらに気づいて突進してくる。迎え撃とうと、しっかり地を踏みしめる。その顔に思いっきり斧を叩きこんでやる。

 そうして振りかぶった斧を振り下ろす。それを見た羊は角で受けて防いでくる。ガキキキィィィンと甲高い音が響いて、俺と羊は弾かれた。


「噓でしょ」


 思わず声が漏れる。まさか蟻を吹き飛ばした一撃が互角とは。いや、よくみればあっちの角には罅が入っている。二度目は防げない。それにフラフラとしているが、こちらは何ともない。

 ならと、近づいて斧を振るう。もちろん罅が入っているほうの角からだ。羊もなんとか防ごうと角で受けようとするが、角を砕いて顔に斧を叩きこんだ。そして羊は倒れた。


「ふーなんとか倒せました」


 まさか防がれるとは思わなかった。見た目だけなら蟻の方が強そうなのに。


「斧を叩きこんだ感じ、角だけが脅威ですね。それ以外は蟻に劣りそうですし」


 つまり羊を相手にするなら角にさえ気をつければ良さそうだ。まあ斧だと難しいが。今みたいに真正面からぶつけ合った方がいいのだろうが、耐久値が気になる。

 まあ見た感じ刃こぼれなんかなさそうだが、どうなんだろうな。剣もしばらく使っているがいまだに90%あるし。


「まあ耐久値を気にしても仕方ないですよね。そして11階層に倣えば、この階層はグラスウルフ、蟻、羊の3種類ですか」


 この後も12階層を隅々まで周ってみたが、これらのモンスターしかでなかった。もちろん採掘や宝箱もたくさんゲットできた。おかげで土曜日が終わりそうだ。

 明日は13階層に行って、一通りモンスターを倒したら帰ろうかな。




武器 

小鬼の斧 斧術lv1 怪力lv1

防具

小鬼の革鎧 鉱石探知lv1、回避lv1、気配察知lv1

HP 100

MP 100

STR 10(+50)(+6)

VIT 10(+30)(+1)

AGI 10(+20)

INT 10

MIN 10(+30)

保有ポイント 14,650

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