第9話 ダンジョン11階層 グラスウルフ
朝目が覚めてから早速、昨日投函されていたのを確認する。
「あー、高校についての案内か。そういえばもうそろそろだった」
ダンジョンに潜る前に受験は終わっていたが、狩るのが楽しくてすっかり忘れていた。そろそろ入学準備しないといけないのか、面倒だな。
「近くの高校だから通学時間が短いのは助かるけど、平日にダンジョンに潜れなくなるのか。せっかくデイリークエスト追加されたのにあんまり活かせなくなっちゃうな」
まだ5日くらいは潜れるから、それまでに少しでも進めたいな。もしくはデイリークエストの納品のために、魔石を集めてもいいよな。
「とりあえずは11階層を実際に見てみてから決めた方がよさそうだ」
場合によっては、10階層のゴブリンパーティーの方が集めやすそうだし。さて高校のことは後回しにして、ダンジョンに潜りに行きますか。
いつも通りジロジロと見られつつダンジョンに潜ろうとするが、受付の人に呼び止められた。なにやらアイドル冒険者に興味がないかという話だった。まあ興味がなくはないが、スキルの関係上、宣伝とかは無理だと伝えたら話は終わった。
まあアイドル冒険者の業務の一つが、自社製品の宣伝だからな。それができないのでは無理だろう。しかたないが諦めてもらおう。
「転移、11階層」
気を取り直して11階層に移動する。そこは一面に草が生えた見渡す限りの草原だ。一応うっすらとではあるが木々が生えてる場所が見えるがそれくらいだ。
「これがフィールド型ですか。実際に見ると圧倒されますね」
動画で見たことはあるが、実際に見てみると違うな。ダンジョンの中なのに太陽に照らされるのは、なんとなく違和感がある。それだけじゃなく濃厚な草の匂いもする。東京じゃこんな匂いがしないから新鮮だ。
「ほどほどに景色も楽しんだことですし、早速探索しますか」
武器は小鬼の剣の二刀流のままだが問題ないだろう。とりあえずあのうっすらと見える木々を目指すことにする。この場所に戻れるようなアイテムも買ったことだし、大丈夫だろう。
そう思ってアイテムボックスから、コンパスを取り出す。
コンパス
ダンジョン内でも機能するコンパス。指定した場所の方角を指し続けることができる。
必要だと思って買っておいた。必要ポイントは100ポイントと安い! おかげで魔道具のお高いやつを買わなくて済んだ。
「よし、ちゃんと機能してますね。それじゃあ行きましょうか」
木々を目指して進んでいくと、遠目に角の生えたウサギや大きなリスが見える。しかし襲ってくる様子はない。10階層までの迷路型だと積極的に襲ってくるが、こういうフィールド型は積極的には襲ってこないモンスターもいる。
「もちろん積極的に襲ってくるモンスターもいますが」
こちらに向かってくるグラスウルフを見やる。毛の色が草原のような緑色をしていてすばしっこいモンスターだ。しかもウルフらしく群れで行動している。
「3体ですか」
様子見か、俺を中心にグルグルと回って隙を伺っている。後ろから襲われたら対応できないな。なら、
「こっちから行きます!」
丁度目の前を通過するグラスウルフに襲い掛かる。そうしたらグラスウルフが下がったが、こっちのほうが速い! 追いついて足を斬る。これでこいつは動けないだろう。
そうしたら後ろの方のグラスウルフに対処しようと振り向くと、丁度跳ねて襲い掛かってくるところだった。
「ふっ!」
「ギャウ!」
だが回避lv1のスキルもあって、スムーズに避けることができた。そしてそのまま首を撥ね飛ばす。もう一体もそのまま突っ込んできたが、落ち着いて下がってからゆっくり仕留めた。
「さて後は1体ですね」
「グルルル……」
そして最初の1体を気を付けて倒す。窮鼠猫を嚙むではないが、ここで攻撃をくらったら馬鹿らしいからな。
「ふむ。ゴブリン以上の速さですが、耐久性はゴブリンの方が上ですね」
でも俺よりも速くないから倒しやすいな。問題はゴブリンより数が少ないことだけど、あっちのほうから襲ってくれるから大丈夫か?
「さて、先を進みましょうか」
霞
武器
小鬼の剣 剣術lv1 二刀流
防具
小鬼の革鎧 鉱石探知lv1、回避lv1、防御lv1
HP 100
MP 100
STR 10(+30)(+1)
VIT 10(+30)(+2)
AGI 10(+30)
INT 10
MIN 10(+30)
保有ポイント 1550
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