第24話
「……
立ち上がろうとする
また攻撃が来ると構える俺だが、
先ほどの鍔迫り合いをいとも簡単に弾いたのは、
「って、誰かと思えば
いったいどういうテンションなんだと、なんだか先ほどまでの空気感が嘘かのように和んでいく。いや、テンションがおかしいのは
だが、ピョンピョンと飛び跳ねるように
「仕事だ。邪魔をするな」
「仕事ぉ? ってことは、お
「
「およ? フレンドリーファイアしちゃった?」
「いや、殺されたんだよ。そこのミミックにな」
コテンと首を傾げる
「いやいや、そんな簡単に死ぬわけないでしょ。――ねっ。お
「――そうそう」
声がした。
それと共に銃を構える音が背後からして、俺の頭に固いものが付きつけられる。――銃口。俺は振り返れなくなった。
チラリと横を見ると、あったハズの死体は消えている。そして、
「はい、そこっ! 銃をしまう! 終わり終わり! まったく、こんな住宅街で異能力バトルなんかやっちゃ駄目だよ。お
「……能力バラすなよ。コイツに真似され――」
「はい、黙れー。てか、最初に手を出したの誰? そいつ殴って終わりにするとかどう? もしくは、お
「え? 僕? 僕は――」
「
「……あの、いや……これにはわけが……」
ぷぅ、と頬を膨らませる
後頭部に突き付けられている銃の感覚が消える。それから、しまう音が聞こえたかと思うと、スタスタと
「撤退するよ、
「……承服しかねるな。ひよったのか?」
「ちょっと、始末書を書きに戻るんだよ。君の襲撃のせいで事が荒だっちゃったからね。変な増援も来るし。……まあ、そのおかげで〈
「いま始末すれば、その下らん事務仕事も減ると思うがな」
「大丈夫。奴らは逃げないさ。もとより、逃がすつもりもないんだけど」
背中を見せ去っていく二人。
こちらに向かって手をひらひらさせる
*****
「で、早速襲われたと?」
一度カフェへと引き返した俺たちを待っていたのは、
幸い、
事情を聞き出すのと並行して、
「それにしても公安ねぇ……。それを相手にするなんて、度胸があるんだか、無鉄砲なんだか……。てか、なにしでかしたの?」
「知らねぇよ。アイツらが勝手に、〈アストラル・クレスト〉を悪者にしたてあげようとしてんだよ」
「それで、ブチ切れた結果、覚醒しました、と? いまいち納得できないんだけど」
釈然としないといった表情をする
困った俺は、
いや、怒ってる?
「どいてくれ
「
不意に、衝撃が走った。
バチンと響く音。遅れて頬を走る痛み。それで俺は、平手打ちをされたのだと気が付く。誰に?
そこには、唇をわなわなと震わせながら、瞳に言いようのない怒りを宿した
「どうしてあんなことをした! 一歩間違ってみろ、死んでたかもしれないんだぞ? なのに……どうして? 君は……死ぬのが怖くないのか!」
身体が勝手に……と言いかけて、やめた。テンプレート通りの返しではあるが、あれだけ冷静に
沈黙に視線が集まる。
すでに
「……痛ってーな。助けたんだから、お礼の一つくらいあってもいいんじゃねぇの?」
「……」
「いや、違ったな。『まだ死ぬときじゃない』とか言ってたしな。俺がやらなくても、誰かが助けに来る予定だったんだろ。悪かったな」
「――ッ! だから……」
質問に答えろと、迫る
そこにシャッターを落とすように、俺は瞳を閉じる。
死ぬのが怖くないか? そんなの怖いに決まってる。答えるまでもないことだ。痛いのも嫌だし、もう一度やれと言われたって、やりたくないのが正直なところだ。
でも――
「――俺の代わりはいるから」
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