金鉱攻略戦(静観)
「本隊攻撃続行中、以前脱出の傾向はなし!」
「最左翼、遊撃隊動きなしとのこと、注意されたし!以上!」
最右翼としては一番気をつけなければいけない展開だな。最も増援としてが主だが……最低限よりマシ程度の働きはするべきだ。本音をいえば他に来てほしいんだけどな。
「敵は脱出しますかね?」
「まだひと当てだろう?撃破でも大打撃でもないからまだ粘るだろう」
それに取り分が増えるだろうしな。なるべく減らしたいだろう。多分指導層だけは逃げる準備できてるんじゃない?
警戒を続けること5日、流石に気を緩めてきたので気合を入れるように指示をする。といってもクレマンソーに丸投げだけどもね。
にしても結構粘るな金鉱の奴ら、最悪の予想で1万人くらいか……まぁその規模で金鉱を要塞化してるならすぐ決着がつかないか。数ヶ月くらいかね?要塞の平均攻略時間とかしらんしな。
「どれくらいかかるんだろうなぁ……」
「要塞化されてるとはいえ金鉱ですし、1ヶ月位でなんとかできると思いますが……」
「数で押せばいいものでもないしな……」
「鉱山ですからね……」
攻める人数に限界はあるからな、実質同数同士の戦いだしな、戦略が力押しするしかないだろうし……こちらからどこかを掘り進めるか、鉱山を爆破でもするか……爆破できるかね?
「金鉱ごと爆破できんか?」
「金鉱として使うのでダメですね……」
「ん?爆破自体は可能ではあるのか?」
「ええ、初代宰相が作らせたダイナマイトが……あっ!そういう意味ではありませんでしたね……廃鉱山の方は吹き飛ばしてもいいのですが……金鉱と繋がってる可能性があって使えません。向こう側が鉱山通路を崩して遅滞戦術を使ったりしてるので……」
またおまえかよ!ダイナマイト作らせるってどんな人生だよ。前職なんだよお前!コンクリ作ったり、ダイナマイト作ったり、料理作ったり……国のシステムまで作りやがって!何でも作れるスキル持ちか?誰だよニトロの合成に成功したやつは!科学技術もそれなりにあるのか……身近では確かにわかりやすいものではないが……アルミの加工が難しいのはなぜだ?全体量の問題で少ないだけ?でもこれが出来たところで経済が混乱するだけだしな。
「化学薬品とかでなんかないのか?」
「危険ですからね、鉱山を火事にして全員を中毒死させる案もあったのですが金鉱山なのですぐ稼働させたいと内務省の方から……」
「ああ、いい……わかった……内務省がそう言うなら仕方ない、仕方ない」
当初と予定が違うとはいえ負けるとは思ってないわけだしな。そりゃ可能な限りそうしろとはなるか。
にしてもダイナマイトやら何やらある世界観かよ、たしかにダイナマイト自体の作り方は伝記漫画とかで読んだ記憶あるがニトロとかどうしたらいいかわからんわ、グリセリンをどーのこーのするんだろう?初代宰相マジでなにもんだ?人生2周目か?ネット百科事典とかずっと見てたり異世界行くこと前提で計画でも立ててたのか?記憶力のバケモンだろ。
これに比べたら俺主人公じゃねーわ。定番のチート使えないし、せめて知識チートは使わせろ!ダメなら無双系のやつなんかくれ!前世の経験を活かせる展開をよこせ!もしくは前世が軍人か技術職だったことに過去改変してくれない?もしくは今すぐ女神様がチートを授けてくれ!
「あの……カール伯爵?」
「ああ、なんだ?」
「いえ、難しい顔をして考え込まれていたので……なにかまずいことでも……?」
「気の所為だ、多分な」
ということにしておこう。こう、匂わせを出して切れる雰囲気を出しておけばなんとかなるだろ。
「金鉱要塞ですが2箇所の出入り口を制圧、残りは正面入口ですね。最初から放棄されてた地点も調査中ですが埋め戻した後も発見できず一応多少の兵を置いて監視中です。」
開戦から20日、金鉱はまだ粘っている。2000人は殺せたらしいが、最悪の事態ではまだ8000人くらいいるんだろうな……。派閥ごとに守る場所が違うらしく何なら敵は同士討ちもしているそうだ。じゃあ勝手に死んでるの合わせて敵は一日100人減ってるんだな。もっと勝手に減ってくれ。
「捕虜からの情報では正面入口を守るのが作業者側のリーダーの派閥だそうだ、後4つほど派閥があるが先陣を交代したらしい、防御側の先陣の交代ってのは嫌な予感しかしないな」
「十分な援護をせず潰すのでしょう。遺体の体からは金が見つからないそうで……」
「脱出路は?」
「どこにも動きはありません、それとなく伝令がてら聞きに行かせましたが採掘音も掘削音もどの地点からも聞こえないとか、10日ほどまではそこかしこから聞こえてたそうですが」
考えすぎだったか?それとも深く掘ったとか?ほぼ全域をカバーしてるのに聞こえないとは何だ?意外と劣勢なのか?それとも使い潰されてる派閥の奴らが掘削担当だった?
「動くとしたら他派閥が全滅してからだな」
「私もそう思います」
適当に言ったけどクレマンソーがそう言うならそうだろう。
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