え、領都はいいの?
手紙を出した翌日、騎兵が大急ぎで手紙を持ってきた。嫌な勘があたったかな?どれどれ……
金鉱の地図破砕があった、金鉱工員担当者の家から押収した金鉱図も違う、なるほどね、担当者が横領していた可能性。あーまぁあるか、家宰が関わっていた可能性?押収させるか、はい行ってきて。
クレツェン伯爵がそれを唆していた?事前の話し合いでちらっと名前でてたけど死んでなかったっけ?謀反とかで。ああ、死んでるわ。そこの方に金鉱を伸ばしている可能性あり、予想より大規模な範囲に遊撃部隊をおかねばならない。クレツェン伯爵領代官の財務省理財局員が胡散臭い。ふーん、それで?カール伯爵は補給が万全になったのなら領軍を率いて金鉱攻めに出陣されたし……?は?
「クレマンソー!クレマンソー!!」
「呼んできます!!」
ああ、ドント臨時秘書がいたわ、家宰の屋敷はそっちに言っておけばよかった。話が違うじゃないか!いや、元の話が違いすぎたからか?とにかくどうする?鉱山攻めの経験は?ないと思うけどどうする?手紙だが正式な要請だと思うが、命令書で出すと問題がある?政治的なもの?補給が万全になったら?まだかかるぞ……万全とは言い切れない。
「カール伯爵……?お呼びとのことですが?」
「ドルバーニュ伯領家宰の家を押収してくれ、金鉱の利益を横領していた可能性がある」
「たしか火を放たれていたかと?焼け残ったものはさほどありませんが」
「家宰は?」
「帝都で処刑されました」
「火を放たれたのはいつだ?」
「火を放った後逃走、捕らえられ処刑です」
「本人がそういったのか?領都の屋敷を放火して帝都へ?」
「いえ、そこまでは……捕らえられたのは帝都ではなかったと思いますが」
不都合な資料を処分して逃げたのか不都合な書類ごと処分されかけたのかで違うのにな……まぁ仕方がない。もともとは謀反人仲間が派手に隠し金山を持ってただけの話だ、お仲間が無能で横領されていたしそれに周辺貴族も関わっていて家宰も鉱山鉱山関係者も横領してましたとかいう……帝国目線では何重横領だよこれ。隠し金山で横領される伯爵も無能すぎるだろ!もう少し目を光らせておけ!
「ならしかたないな、それは手紙にしておく」
「もうしわけありません」
「いや、仕方がない、我々の手に余る。それと……」
「……なんでしょうか?」
「補給が万全に整ったら我々は要塞化した金鉱山に出陣する」
「……なぜですか?」
「金鉱山の図面が違っていた、現在のものでは大規模なものになる、何処に脱出路があるかまだわかってないようだ、さすがに安全圏で要所の防衛だろうが……最悪金鉱攻めの一部隊になる可能性は大いにある。1万人だからな」
「山岳攻めの経験は流石に‥…」
「だろうな……」
「平地の防衛か攻撃ならまだなんとか、あとは攻城施設もできますが……」
「伝えておくよ……」
なぁそうなるな、要塞化したらしい金鉱は要素が別だもんな。とりあえず補給を整えるしかないんだが……騎士団の主計隊員が急遽呼び出されて戦場に向かったあたり薄々感づいていたのかもしれないな。1ヶ月は欲しかったんだけど命令書じゃないあたりなるべく急げということかな、命令だと期日が絶対だから万全にしてくれって感じなのかな?来週来る輸送部隊に手紙をもたせ、いや今から出す。アランとカルマンさんに出陣する旨と状況を書き送る。後は任せるぞ……アランたち!
「本当に領都を空にしてよかったのですか?カール伯爵」
「いたしかたあるまい、全軍でと命令書が出ているんだからな」
「我々は何処に布陣するのですか?」
「国境沿いだ、計算上ぎりぎり通るかどうか、らしい……」
「らしいですか……」
「詳しい情報がないからな、最悪の場合であってそうでなければ騎士団がなんとかするさ。わざわざ平地にはでてこないだろうさ」
「なるほど、そうですか」
いや、知らん。昔は歴史関係のやつは読んでたけど実際戦術とか知らん。補給を絶って兵力3倍位で攻めれば大丈夫くらいの気分で考えてるぞ。
いや、最近20対1で負けたんだっけ……さすがにそんな無双系のやつゴロゴロいねぇと思う。新帝国皇帝とゲールさんと、そいつと決闘したやつ。3人いるんじゃまずいか?もっといるかもしれんな。
「布陣後にいつでも移動できる準備はしておいてくれ」
「なぜですか?」
「何処から来るかわからんが近くから来た場合は包囲陣を敷くとか色々あるだろう?魚を逃さない二枚目の網の役目に回れば良い」
「なるほど、功績はよろしいのですか?」
いらねぇよ!ふざけんな!目をつけられたくないんだよ!領都制圧も戦闘がないから大した功績ではありませんで逃げてるんだぞ!5歳だぞ?わかるか?気がつけば金持ちだぞ?殺されるだろ!守ってくれた兄貴はもういないし今俺が本当の意味で信頼のおける人間はいねぇんだよ!出世したければ勝手にするか帝国軍に行ってくれ!
「十分だ、1万の兵に効率的な実戦なぞさせたら何人死ぬかわかったものではない、行軍やら布陣やら基礎的な実戦に重きをおいてくれ。防戦に慣れたほうが役に立つ」
「わかりました、指揮は」
「クレマンソー指揮官、君がいるが?」
「本当にカール伯爵が採らなくてもよろしいのですか?」
「再編したばかりの領兵を5歳が指揮したか、活躍すれば笑い話だな。副団長が怒るだろう」
「本当に活躍したのなら問題ないのでは?」
「帝国軍と騎士団を押しのけて活躍したと胸を張るのか?今回の出陣は最低限の戦闘経験、行軍や補給に慣れさせるためについでに呼ばれただけだ」
「伯爵に功績を与えるためとトーチャ副団長からは……」
「領都制圧の功績を頂いたではないか」
「領都とはいえ戦闘なしの無血占領では功績としては弱くありませんか?喜ばしいのは確かですが……出陣した分の費用分の恩賞も出るかわかりませんが……?1万なので結構かかってます」
「それは……出撃を頼んだ方が補填してくれる」
はずだ、計算違いで撤回したいと言われたら認めるしかないけどな。率先して敵に回す必要はないがアランのさじ加減で俺もダメなら断るくらいは必要だろう。あー気が重くてしょうがない!
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