使用前の使用報告書

 アランが交渉してるが先にやることをやっておかなければならない。許可が降りるにせよ、降りないにせよだ。


 アルミ金貨使用報告書、まぁ枚数と名前を書くだけなのだが……。国内で済むから面倒事がなくて助かる、あとは銀行に行って下ろす必要があるだけだな。今までの返済でもアルミ金貨は消えなかったしな……まぁ侯爵夫人に渡って実家の公爵に移動してるとか丸わかりになるからな。

 さて、書き終わったから銀行に……どうやって下ろすんだ……?俺が言って顔パスで降ろさせてくれる……わけないよな……。


「困りごとでしょうか」


 いつもそばに控えている帝都侍女長のキャスが申し出た。そういえばそこまで会話することはないんだよな。たいてい新聞を読むかアランと何かの話をしているからな。確か事件前は侍女も別人が付いてたはずだったが……嫡男になったからかね?


「銀行から金を降ろそうと思ってな……降ろし方がわからんのだ」

「私に任せていただければ代わりに」

「おお!ではアルミ金貨を10枚ほど」

「お役に立てませんでした」


 流れるように断られた。アルミ金貨だからか?


「使用報告書もあるが……」

「提出後にアルミ金貨を下ろせますからやはり今では無理ですね、白金貨までなら私を代理人にしていただければ下ろせますが……アルミ金貨を使うなら焼け石に水でしょう」


 使用報告書なのに使用前に報告するのか……使用願いとか使用許可願でいいんじゃないか?この辺もなんかあったのかもしれないな。名前変えるのめんどくさいだけだったりしないか?後は俺の年齢の問題かもしれんが。

 まぁ急に貨幣価値上がるもんなアルミ金貨1枚で10億なのに白金貨1枚1000万だもんな、それより100億かからずなんとかなる橋の建設と道路建設が気になる、元の道を拡張するだけ?この辺も突き詰めるべきだろうな……。何にせよ許可を取ってから……とりあえず10枚下ろす。これは確定だ。


「どういたしますか?」

「とりあえず……使用報告書を提出しに行こうと思う」

「それは私でも可能なので行ってきます」

「頼む。ああそうだ、空いた時間でなにか読みたいがなにかないか?」

「では私は私物で良ければ」


 キャスは何処かに使用報告書を提出しに行った。ついでアランに合流できたら銀行で下ろしてくるらしい。アランは可能なのかと聞くと全権委任されてるのでと返された、そこまで委任したことになってるんだな。そりゃ統治で問題起きたら全責任を責任を負うわな。

 さて、それよりもこの本


 異世界で悪役無能貴族の無能次男に憑依した俺は父と兄貴に殺されないように立ち回る~義母が俺を殺させようとしてるから生き残ります~

 著 キャンディ・スー


 これ俺か?俺無能だと思われてた?5歳のハードル実は高かった?俺5才児としては凡才だったのか?あと悪役無能貴族ってヤバいだろ、親父と兄貴俺殺そうとしてたか?兄貴は守ってくれてたらしいけど親父は静観してたっぽいし……俺もしかして思った以上に死亡秒読みだったのか?

 あと著者、キャスだろ、これノンフィクション小説?俺、赤ん坊の頃から記憶あるから世界転生だと思ってたけど異世界憑依だったりする?

 キャス、お前実は神で俺をモルモット感覚で観察してる?


 まぁ、気を取り直して読むよ、凹みそうだけど


 キャンディ・スー 異世界転生物大手作家。お使えしてる館の主が無能な件。家宰のおっさんが異世界転生者!?無能領主の俺が没落の瀬戸際で耐える。坊ちゃまは異世界転生者~ヒステリックな母親と無能な父親に挟まれて詰んでる~の3作品がベストセラー、帝国席次を授与される


 席次授与されたのお前かよ!代表作に無能が多い……これ全部ノンフィクションじゃないよな?親父無能じゃないよな?家宰のおっさんってアランだよな?やっぱ異世界転生者っぽいよな。3作目兄貴?この家ってもしかしてキャスの観察対象なのか……?怖くなってきたぞ……。




 うん、これ俺だな、俺だよ。現実との違いはこっちは兄貴が優しいことと親父があんま接してこないだけだよ、あと家宰のアラアンはもうアランだろ、隠す努力をしろよ。あとは作品の親父無能だな、うん無能だ……嫁を御せないのはまぁそうだけど……仕事もできないで閑職にいる設定になってる。コイツは大臣にはなれんだろ。あと悪妻メアリーはまんまだろ、名前を変えろ!いやもう誰も抗議しないか……


 あとがき

 この度は異世界で悪役無能貴族の無能次男に憑依した俺は父と兄貴に殺されないように立ち回る~義母が俺を殺させようとしてるから生き残ります~をお買いいただきありがとうございます。無能シリーズの4作目になりましたがカロルドくんは未だに無能です。前作ではまともな嫁と結婚しましたが悪妻クソ女ことメアリーに毒殺されてしまいました。あの展開は大変不評でしたが1作目のシリーズでも書いた通り実話を元にしています。

 そのためカロルドに対する怒りが作者も、知っている読者にも伝わりなんてろくでもない男だろうと知っていただけたことは幸いです。

 ナンバリングではありませんが私の作品で珍しく異世界系ではない『没落した領地を俺が立て直す』のピートの息子ということもあり期待していたのですがカロルドがこのように育ってしまい作者も涙です

 。・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。ウワーン!!

 まともな嫁の息子であるカルくんですが赤ん坊の頃に母が亡くなり幼少期から会話も少ないわりに聡明なのでもしかしたら異世界転生ではなく憑依なのではないかと思ったためにこの作品にしました。今となればモリバーくんの方が異世界憑依っぽかったのは誤算ですね。2巻では彼が6歳になったときくらいに出そうと思ってますがもしかしたら5歳位で出すかもしれません。前作主人公、もといヒロインのモリバーくんは学院で活躍してるそうなのでそちらのことを書くかもしれません!

 次作は家宰のおっさんが異世界転生者の外伝か悪妻糞女メアリー烈伝3巻が出ると思います。

 よろしければ手にとっていただけるとありがたいです。



 我が家がノンフィクション小説の娯楽として帝国中にさらされている……しかも先代の頃から改変ありとはいえシリーズで……なぜこれを俺に渡せるんだキャス……観察対象に観察記録を見せて反応を見るタイプなのか?今後お前にどう接したらいいんだよ。

 親父……全シリーズ無能なのか……嘘だよな?親父……大丈夫か?親父……。

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