建国記

 今は誓いの地にである駅馬車の終点。

 4つ道路を進む4つの駅馬車がその寂れた駅で4人男を降ろした。


 東方武家の出自で冤罪をかけられ出国した後の初代皇帝。

 王国の内戦で人身御供にされかけ幽閉先を脱出したマルクス・フランケル第3王子。

 騎士団の内部抗争で実家が滅ぼされれた騎士ケーン・ド・バリス

 重税に苦しむ村民のために隠し畑で支援していたところを徴税官を斬り殺し逃走した農民ゴードン。


 4人は駅で語り合い、そして初代皇帝は当時の名前を捨てクロと名乗った。

 4人は西方の未開拓地で一旗揚げようと旅をすることにした。義憤に燃え横暴なる貴族と戦い平民・農民を助け西方の奥の土地にたどり着いた


 建国の際にだれが王になるか、はたまた指導者になるかを話し合った。

 農民ゴードンは名字がないので辞退した、王の血を嫌う平民・農民のためマルクス・フランケルは辞退した、政治で負けた自分が政治を取れぬとケーン・ド・ハリスも辞退した。

 そしていよいよ、クロかという時に器にあらずと辞退した。そして名字の有無は関係ない、西方への旅で名字があって助かったことはないとゴードンを説得し、ゴードンも国民みんながあなたを好いているとマルクス・フランケルを説得した。

 そして3人はケーン・ド・バリスの騎士として皆を守る姿勢は王にふさわしいと説得した。


 このようなものがあるから吾友ゴードンが気に病むのだとマルクス・フランケルは名字を捨てマルクスとなった。ケーン・ド・バリスも同意してケーンとなった。

 そしてクロは皆が捨てるのに自分は仮名であるから今後は名前をすてようと名無しになった。皆は反対して最初に会った時に名乗った名前があると説得したが、捨てた名前を取り戻すのは未練がましいと断った。


 ゴードンは涙し、自分だけ何も捨ててないと4人の友たちに詫びてゴーンと名を変えた。

 そして譲り合った結果くじ引きになり名無しがあたりを引いた。

 名無しは名前がないので国号はなしと定めた、マルクスは王国は避けるべしと言ったために貴族が誰もいない帝国を皮肉として名乗ることとした。

 こうして帝国は建国された。


 初代皇帝、外務マルクス、軍務ケーン、内政ゴーンを建国4家と人々は呼んだ。

 4人はそれを嫌がり、息子に能力なくこの場に立つ場合は国民が引きずり下ろせと酒場で演説した。我等と卿等に貴賎なし、むいていたからこの職にある、いずれ他の市民・農民も大臣になろうと、あの畑の孫が大臣になろうと。

 皇帝と酒場の主人とて同じ人間であると、皇帝が主人を殴らば主人も皇帝を殴るべしと防衛する権利与えた。


 国旗を決める際にみんなが知恵を出し図案を持ち寄った

 ケーンは立派な盾を、ゴーンは粗末なクワを、マルクスは見事な鷹の絵を旗に書いて持ってきた。

 初代皇帝は一枚の黒色旗を出した。意図がわからず尋ねる3人位初代皇帝は言った

「この旗は虐げられたものの弔旗とならん、虐げたものの弔旗とならん」

 3人は喜びこの旗を帝国の旗とした


 4人は教育の重要性を度々訴え、仕事に空きがある時は自ら教鞭をとり平民・農民たちを教育した。そしてゴ-ンは農業知識をまとめ本にした。帝国において重要な位置にあるこの本は帝国への貢献の証として正式に農民を帝国平民と同様の権利を与え同一とした。


 あるとき森の中で佇む男を保護した。男は場所を聞き狼狽し続けた。

 4人の前に連れて行かれ自分は異世界から来た佐藤敏夫と名乗った。彼は異世界の知識を伝えたが帝国自体が小国すぎて実行できるのものはほんとんどなかった。

 だが彼の作る料理は絶品であった。この次期は帝国料理長と自称しており4人はそれを笑って認めた。


 ある時、連作障害の話題で料理長は肥料に関する知恵を出した。ゴーンは早速試してこれに効果があると突き止めた、他にも彼から話を聞き帝国の食糧は他国に輸出できるまでになった。

 彼は建国時の話を聞き名字を捨て名前をトシオとした。


 帝国が4国ほど平定した際にトシオの知識を試すこととなりそれは成功した。

 彼は宰相に任じられた。4人を合わせて5英雄となる。


 帝国が強大になるにつれて一部の恭順貴族が我が物顔をするようになり帝国会議場は殺伐とした。宰相はこの国を富ませたゴーンを軽く見るとして貴族たちを処刑した。平民階級は歓声を上げ貴族達の死体に石を投げ火をつけた。

 初代皇帝は恭順だけで帝国に利を与えたると誇るは浅はかである、畑を耕す農民は食料を我々に税として払う、軍も率いず税を取りたるだけの貴族に価値がありやなしやと長年温めていた帝国席次を導入した。


 帝国席次が与えられても貴族の無体はやまなかった。そのため教育制度の充実と同時に防衛権を復讐へと昇華させた。同時に行使し貴族たちを葬り土地と財産を接収し中央集権化を図った。帝国学院自体に問題があったと初代皇帝は貴族学院と平民の学院を分け、さらに高度な教育のため専門学院を作り上げた。

 貴族が不満を漏らしたため貴族学院をでた際は専門科として進学することを許した。専門科で横暴を働いた貴族は皆首を落とされた。

 そして平民たちに昇華した復讐の権利、復讐権を周知させた。


 帝国席次が周知され貴族たちは帝国内では地位が下がっていった。これに不満を持った公爵家のものが反乱を起こしたが徴兵した兵が帝国への謀反と知って激怒、公爵一党を打ち取り親戚含めて殺し回った。その過程において復讐権の話となり各所で貴族の被害にあった平民が蜂起して大戦乱となった。

 初代皇帝は我が意は叶ったりと喜び、ケーンにこの蜂起兵たちを迎えるように命令した。そして帝国を建国した我等と公爵はなんの関係もない、公爵の地位に価値はないと改めて貴族の爵位を無価値であると断じた。ゴーンを引き合いに出しゴーンより肩書が偉かったやつは大勢いたが彼より国を富ませる活躍したものはいなかったと。

 貴族相手に蜂起した平民たちは罪に問われることなく評価され、謀反人討伐により高い帝国席次を与えられた。

 宰相はこの事態を見て復讐権を貴族に悪用されないように改定をし、平民と貴族の復讐権行使にそれぞれ条件をつけた。


 更に不満を漏らした貴族を奴隷に落とした。奴隷はすべての権利が停止されどのような扱いを誰がしてもよいという制度だった。

 宰相の反対があったものの4人は強硬に政策を主張した。奴隷生活をした貴族たちは皆後悔した。それを見た親族は席次を上げること、帝国への貢献を第一に考えるようになった。

 宰相はこれを反省し、馬鹿者は経験せねばわからない、積極的に使うべしと犯罪者を奴隷として使うこととした。


 席次の低い貴族たちは軒並み帝国官僚となり席次を上げることとした。それでもなお横暴を働くものは殺された。一度高い席次に着くと手を抜くものが増えたため初代皇帝たちは激怒した、5英雄は大幅に粛清を決行し席次の変動性を導入した。すぐに問題がおきたため席次に大領の空席を作り昇進に特に配慮するようにした。

 こうして帝国の行政は完成した。




「これは本当に建国記でいいのか?」

「はい、事象の記述がメインのものですので……あとは消化試合ですので興味があればでよろしいのでは?詳しいものは創作を含めいくつかありますが……史書にしますか?」

「いや、ここで辞めておこう」


異世界から来て奴隷制度反対から推進になるってどんな世界観だよ、どう考えても日本人じゃねぇか……。想像もしたくないぞ

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