謀反の全容って新聞で掲載されるんだな
思った以上にやばいなこの国は……。
貴族がいる状態で身分制度は事実上の廃止をして、そのうえで貴族の爵位は残していた?どれだけ面倒な手順を踏んだんだ?そうせざるを得ない法的な問題があったのか?事後法で不可能だとしても制定した後にどうにかできる問題だったのでは?
考え方を変えよう、貴族の選民思想MAXな時に生まれて平民に殺される悪役貴族じゃないだけマシだ。
平民は同格、その意識で行こう。
だから兄貴も優しくみんなに接していたんだな。
俺はこの口調のままで良いのか?まだ5歳だから大目に見られてるかもしれない、徐々に、徐々に変えていこう。
横柄な貴族の喋り方だと認識されるのはまずい、帝都や領都の屋敷内では通るかもしれんがほかは通らない可能性がある。
クレインさんへの話し方大丈夫だったよな……?ある日急にやってきてあの時の言葉遣いは貴族にも、帝国官僚にもふさわしくない、死刑!とまでは流石にならんよな?
この国の法が信用ならなすぎて怖すぎる。
なんの貢献もないただの侯爵子息が!帝国に功績ある官僚に対して態度と言葉遣いが悪い、族滅!バッドエンド!とかありそうだ。
クソゲーか?選択肢1つで死ぬクソゲーか?せめて選択肢を出せ!あっても回避できるタイプかはわからんが……。
今後、報告の際に噛んだら死刑!肩がぶつかった死刑!平民に対して嘲りが見えるから死刑!莫大な財産があるのにジョストン伯領に投資も何もしない、爵位剥奪!死刑!とかでてくる可能性があるんじゃないか?
バカゲータイプだったらもう読めないぞ……どうするんだ、正解が皇帝の目の前で裸になってフラダンスする以外死亡エンドだったら。
この手のことに神経すり減らして兄貴が家督を捨てた可能性はあるか?
実は手紙は兄貴がわざと落としてウェラー公爵家を糾弾、復讐権の発動は賭けだがもしかしたら、母上毒殺の証拠を掴んでいたのかもしれない。
もし公爵家からでてこなかったら……誰かが提出する予定だった可能性は高いかもな。
「貴族が平民に対してそこまで強くでない理由も、平民が一定の権利を持っていることもわかった。だが選民主義の貴族はどう見分ける?元侯爵夫人もその辺はギリギリを狙っていたのだろう?評判の割りに何もなかったということは」
「貴族の末裔の平民がいますからね」
「まぁ……いるのではないか?」
「それはほぼすべて把握されています」
どうやって把握してるんだよ!
「戸籍管理法があるので全ての記録が取られます、同時に関係を持った相手を帝国法務部戸籍課に報告する法律があります、そのため父親不明の子供は厳しく捜索されます。夫婦やカップルは別ですよ?若い夫婦やカップルの記録が毎日上がっても独身の職員がイライラするだけですし、カップルになったことや夫婦になったことを村長でも区長にでも書類を出しておけば良いんですよ、これで報告義務は免除されますし」
すごく嫌な法律だな……それで回るのか?業務?めんどくさくて出さないやつとか絶対いるだろ
「大抵は貴族の血縁と無関係なので一旦置いて置かれますね、それに平民階級だと勢いもあってそのまま結婚することも多いので結婚報告と同時に処分です。ああ、安心して下さい、托卵は死罪です。鑑定する技術があるので生まれた際に調査します」
「それは……どのような?」
「専門外ですので……家族の血液と謎の薬品とかで判定するみたいですね、聞いた話で本当は知りません」
DNA鑑定か?でも薬品一つでわかるようなもんでもないし……魔法の代わりか!ご都合主義だな!これは将来布石になるな、鑑定した相手を買収してて実は血が繋がってないとか、本当は貴族の娘とかそういう話だろ。
まぁ実際聞いた話だからDNA鑑定の可能性もあるのか?意外と最先端である可能性もあるし。
「そこで托卵がわかった場合は戸籍管理法違反と托卵で血統を破壊しようとした罪、難しい名前ですから忘れましたが、平民はともかく……たいてい死罪ですね。相手もなったりならなかったりです。」
「ならない場合は相手が知らなかったとかか?」
「ばかに聞きますねぇ……やめてくださいよ?本当に、本当にお願いしますよ?法の穴を突いて悪用した場合も死罪ですからね?貴族の托卵だけは何が何でも絶対死刑なんですから」
「……ただの興味だ」
いらん心配をされてる気がするな。
「たとえば相手がカップルだと思ってたとか、つまり書類を提出されてなかったとかですよ、カップルかと思ったら相手が人妻で自分が間男だってけっこうキツイですよ~。ウキウキで貢いでいたら発覚して金返せとも言えないし、相手の旦那も慰謝料取りたくても被害者だし、かと言って妻が貢いだ金を返すとも言えないしで……妻の実家に要求するべきか、でも無関係だったら恥をかくだけだしなぁと」
「経験があるのか?」
「………………」
触れてはいけないものだったらしいな。やけに心配してくると思ったら実体験か。
その場合は慰謝料を含め金銭問題はどうなったか気になるんだが……この空気で聞くのか?いや、恨まれそうだし変なフラグは立てたくない、アラン妻子持ちだしな。
「…………まぁ、話を戻しましょう」
「……ああ、うん」
「本当に平民なのか、貴族の末裔なのか、それは戸籍管理課のみが知ります、もっとも職員でも許可を持って閲覧せねばわかりませんが。」
「しかし、選民思想であればあまり関係ないのでは?貴族の末裔で平民だからといって配慮するようなら、そもそも……問題は起きてないのでは?」
「下野した5英雄の子孫が新しい皇家を別家から立てることに法的な問題はないのにですか?」
「法的にもないのか!?」
謀反は許されないのにそれは許されるのか?一体どういう根拠なんだ?
この帝国はどんな法の穴があってなぜそれが埋まってないんだ?下野した家だけが持つ特権なのか?
「国家が悪政を働いた時それを正すことは謀反ではない、平民の生活が脅かされるのなら滅ぼしてよし。これが一応建国における指標の一つですね、子孫が功績を上げた本人と同じほど優秀だと思うなと5英雄は口を酸っぱくして警告してたらしいですね」
血は腐るとか公言してるくらいだしな、むしろこれで貴族をどう味方につけたのか気になるぞ。
「うん?それだと謀反を起こそうとした公爵はどのような根拠で謀反を起こすつもりだったのだ?」
「もう5年かけて省庁に公爵派閥の官僚を送り込み、最終的に戸籍管理課に人を送り込んだうえで戸籍管理課を完全に支配、送り込んだ官僚が然るべきポストを抑えた上で戸籍情報を使い貴族の末裔、および下野した4家の子孫でうまく操れそうな人間を旗頭に帝国の危機を煽り、東西の分裂した帝国に宣戦布告、もしくは宣戦させる」
「どう考えても駄目ではないか?」
「帝国統一は平民階級の悲願でもありますからね、とくに東の神聖帝国は滅ぼさねばなりません、恥知らずの害虫です!帝国を名乗るのもおこがましいクズ共!5英雄の決めた政教分離の原則を踏みにじるどころか外野の邪教と手を組んだ唾棄すべき……失礼、平民は戦うでしょうね。少なくとも神聖帝国相手には勝てると思いますが……問題は西の新帝国ですね、5年前に領土を得たものの大敗北をしました……10年後でも厳しいかと」
東西険悪すぎないか?戦略ゲーム説が強くなってきたぞ。名前だと神聖帝国がラスボスっぽいな……アランにここまで言わせるとは何があったんだ?個人的なものか、国家としてなのか。
「それがどう謀反につながるのだ?」
「神聖帝国相手にはウェラー公派閥が、新帝国相手には次は皇家の出番であると出陣させ敗北させる。神聖帝国と早々に講話し、話がついてる新帝国を撤退させる。そして前の戦争では貴族当主を含む主要な軍人も大勢戦死したので、この時もそうなる見込みが強く、もしくはそのように情報を流して殺させる。その後に反公爵派閥の後継に戸籍情報を抑え官僚にしておき囲っていた反公爵派閥貴族の各血縁を置く、そして西方撤退時に皇帝か皇家の司令官を暗殺し、戦争責任、敗北責任を非難。4家の末裔で適当に都合のいい人間に皇家を正すように声を上げさせ平民の支持を得、別家にすげ替える。新聞の情報だとこんな感じですね」
「そんなにうまくいくものか?」
「戸籍を抑えてますからね、反公爵派で活躍した場合はともかく、そうでなければうまく叩き出す予定だったのでしょう、有力子息も戦死するなり暗殺させるなりして。それに官僚として功績を上げているのなら、ただの後を次ぐだけの置物よりは官僚として働いてる人間のほうが優先されても緊急時だしなーと思いますよ。あとは神聖帝国に打撃を与えたのは平民的には好印象ですね」
平民官僚を追い出すのではなく平民官僚を貴族に戻して掌握するのか、迂遠だがそれだけ平民の支持が必要なのだな。というか新聞ってあるんだな。神聖帝国は平民自体が嫌ってることでいいのかな?多分元は同じ帝国だったんだろう。
「つまり、選民思想を出して平民に当たらないのは将来駒になるかもしれない貴族の末裔に喧嘩を売りたくなかったと?」
「そうですね、まぁ平民を率先して敵に回したくないのもそうだと思いますが……貴族の末裔だったらだったで、わざわざ敵愾心を持たれたら計画の際にあいつらは平民を軽視していたぞ!騙されるな!と喧伝されるようなことがあったら困るでしょうしねぇ……侯爵家でも20年前に庭師のヘンリーが男爵になるので退職いたしまして……」
「庭師!?」
「ええ、本人は知らなかったらしいのですが……三代前だかの男爵の私生児の末裔だったみたいで、何かの事件で男爵家が族滅されたとかなんだかで、家名断絶まで至らないので相続したみたいですね。もう息子の代になってますけど」
そんなレベルで相続されるのか……私生児の方は一応その時点での公式籍がないから族滅対象外なんだな。
まぁそうか、そうだろうな。何をやらかしたにしても無関係で庭師やってる人間死刑にしたら平民からも恨まれそうだしな。
「身近にあれば警戒するか……」
「ええ、軍務省のババン伯爵も元は帝国軍軍曹でしたよ、帝都専門学校と帝国軍学校を同時で受講していたのですが……私が侯爵家に仕える時に唐突に伯爵を襲爵するように言われてまして……友人を家宰に任命して凌いでる間にどちらも卒業して帝国で官職も持ちましたね。まぁ似たような事例が多ければそれは…」
事例が意外とあるのかよ……。これはフラグですね……。
平民と貴族は平等!平民と貴族は平等!助け合う!相談に乗る!謙虚でいる!死亡フラグは立てない!俺は実質平民、屋敷内は追々、外では下手に謙虚に!
徹底しないと死ぬかもしれない。
「まぁ、官職持ちと一介の伯爵では官職持ちの方が偉いですからね、貴族は官職ではないですし」
「そういえば爵位はどれに当たるのだ?」
「称号ですかね?統治場所はここです、あの人の子孫ですみたいな?史跡の石碑みたいなもんじゃないですかね?統治で功績があって初めて評価されますし……初代皇帝の頃から貴族の権力に対しては自らを含め枷をはめるようにしてましたので」
軽いな……初代皇帝たちの貴族への不信感が溢れている……。
勝手に誇ってろバーカ!って煽ってそうだな……。
これ爵位で安心してたらやっぱ詰むだろ、東西は敵国みたいだし……官僚か軍人で官職もちになるしかないかこれは?
うーん……どうなるんだ?なれるかは置いておいてだが、何処まで行けば安泰なんだ?官職を得ることは絶対だな。
「ところで新聞は……?」
「使用人休憩室か書斎にあります、読むのであればなるべく書斎の新聞で……」
「わかった」
あったんだなぁ書斎、あとで聞くか
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