第16話・あなたもわたしと同じ症状になったことが?
「あら。懐かしい。サーモンちゃん?」
「いや、その子は別の子だよ」
「でも、あのサーモンちゃんに良く似ているわ」
「そりゃあ、同じフクロモモンガの仲間だからね」
モモはアンジェリーヌとバーノの二人に注目され、動きを止めた。ジネベラの肩の上で大人しくなる。
「あの頃、良くサーモンちゃんに噛まれたわ。あなたもそうじゃない?」
この子は可愛い顔して結構凶暴な一面もあるわよね? と、アンジェリーヌに話しかけられて頷くと、バーノが聞いてきた。
「そう言えば、きみはどうしてその外見になったの? 元は黒髪に焦げ茶色の瞳だったのに」
「自分でもよく分からないの。ある日突然、朝、目覚めたらこんな見た目になっていて……」
バーノに聞かれて、原因は分からないがある日突然変わってしまったのだと言えば、その話を彼と共に聞いていたアンジェリーヌが関心を持ったようだ。
「不思議な話ね。でもこうして見ると、あなたのピンク色の髪と新緑色の瞳は、そのモモちゃんが擬人化したようで愛らしいわ」
「擬人化……?」
アンジェリーヌは、モモがもしも、人間になったら、あなたのような見た目になるのかも知れないわねと言う。その発言に、バーノが思い出したように言った。
「ねえさんも以前、ベラと似たような症状になったことあったよね?」
「ああ。11年前のこと? あの頃、お祖父さまが毒でも盛られたのでは無いかと、意味も無く当時の王宮医師長さまを疑って大変だったわね」
「そのせいで爺さんはへそ曲げて王宮を辞める騒ぎになって……、ってそうじゃなくて、ねえさんもベラと同じように髪や瞳に変化があっただろう?」
「ええ。あれには驚いたわよねぇ。髪や瞳の色が変わっただけで、まるで別人のように変わってしまったのだから」
アンジェリーヌも自分と同じように、髪や瞳が変化したことがあると聞き、ジネベラはその後が気になった。
「あの、アンジェリーヌさまも、わたしと同じような目に……?」
「わたくしのことはアンジェで良いわよ」
機嫌良くアンジェリーヌが、自分のことは愛称で呼んで構わないと言ってくれたので、ジネベラは遠慮なくそうさせてもらうことにした。
「アンジェさまは、どうやって元に戻ったのですか?」
「良く覚えてないわ。ずいぶん前の事だから。でも、気がついたら戻っていた感じ?」
「それは……、もとの姿に戻るまでに何年か、かかりましたか?」
「いえ。そんなにしなかった気がするわ。半年? ほんの数ヶ月ぐらいだったかしら?」
アンジェリーヌは、思ったよりも気さくな人だった。ジネベラは彼女が自分と同じ症状になったことがあると聞き、尚更親しみやすさを感じた。
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