第3話
お前も混ざれ、と誘われ、頑なに拒み、逃げるように地下階段を駆け上がる。腰抜け、と嘲笑う声が背中を突き刺してこようが、かまいません。抵抗の術なき婦女子に不埒な真似を働くなど烝にはどうしてもできません。
しかし、ある時気づいてしまったのです。
いつものごとく地下牢へ女を連れていき、烝だけ階段を上がっていく。最早古株書生たちも何も言いません。けれど、その日は彼らではなく女のねっとりとした嘲笑が聴こえてきたのです。
あんたはわたしを
一方的に弄ばれる哀れな女だと思っていたのに。
その実、女の方が書生たちを手玉に取り、弄んでいる。
嬌声混じりにころころ笑う女の様子に、烝は悟ってしまいました。
あの女は見えない災いの箱を手にした魔性だと。
絶対関わるべきでない。地下牢の中へ一歩でも踏み入るべきでない。
地下牢の中に災いの種を蒔き、いつ発芽するかを待ち続けている。
次の日から烝は後片付けを口実に地下牢には行かないようにしました。そうすれば、女と関わらなくて済む。古株書生たちも自分たちだけで女を独占できるため、特に何も言ってはきません。
ですが、烝が女を避けていられたのも、長くは続きませんでした。
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