ゲーム箱
おいくら・いくらヾ(⌒(_*Φ ﻌ Φ*
この箱の隙間が埋まるときまで
「あぁ、またまけたぁ」
「やった! これで5勝目!」
「やっぱり悠斗は強いな!」
「いやいや、大翔も強くなってきてるよ!」
「そう? それじゃあもっと強くなって悠斗に勝つぞ!」
「ちっち、甘いな。大翔が強くなっても、僕がもっと強くなればいいんだよ。」
「なんだと~! 絶対勝って見せるから覚えとけよ!」
悠斗と大翔は親友で、いつも一緒にゲームをしている。
「あ、そろそろ時間だ。帰らないと」
「もう? 今日は一段と早いね」
「うん、ちょっとな」
悠斗は大翔が変だとは思ったが、さほど気にしていなかった。
「それじゃあ、バイバイ!」
大翔が歩き始める。その後ろ姿は、妙に暗く思えた。
☆
「悠斗、ごはんよ~」
「わかった~」
「あ、そうそう。ちゃんと大翔くんにお別れの言葉を言った?」
「え? お別れって!?」
「あれ?大翔くんから聞いてないの?実は大翔くんのお父さんが転勤で東京に行くことになったの。だから大翔くんも一緒に東京にいくのよ」
「あいつ...だから帰るときに元気がなかったのか...母さん、ちょっと行ってくる」
悠斗は、大翔とやっていたゲームのカセットが入ったカセットケースをゲーム箱から取り出して、ポケットに入れた。乱暴に靴を履き、飛び出すように玄関から出て走る。見えてきたのは、車に乗ろうとしている大翔の姿。
「ハァ...ハァ、大翔!」
「悠斗!? 何でここに!?」
「おい! なんで黙っていこうとしてたんだよ!」
「...悠斗に言うと、余計にさみしくなるから」
「そんなの...」
「もう行かなきゃ。バイバイ、悠斗」
「...わかった。それじゃあ、これをあげる。」
悠斗はポケットからカセットケースを取り出した。
「これは...今日やったゲーム。」
「うん。そして、またここに来たら返してね!」
「わかった! その時になるまでにいっぱい練習して、悠斗に勝てるぐらいに強くなるから!それまでまっててね!」
「わかった! ゲーム箱の隙間が埋まるときまで...バイバイ!」
ゲーム箱 おいくら・いくらヾ(⌒(_*Φ ﻌ Φ* @enannrei123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます