の箱
水曜
第1話
ある日のこと、私は浜辺を歩いていると一匹の亀が子供達にいじめられているのを見つけた。
「これこれ、亀をいじめたらかわいそうだよ。はなしておやり」
そう言って私は子供たちから亀を助けた。
数日すぎたある日、釣りをしているとその亀が海から出てきて、
「僕はこの間あなたから助けられた亀です。主人があなたをおつれしなさいというのでお迎えにまいりました」
さっそく亀の甲羅に乗ると海の中に入っていった。
着いた先は大きなお城。主人であるお姫様はそれはそれは美しいお方だった。
「亀をたすけてくれてありがとうございます。どうかごゆっくりしていって下さい」
私は大きな部屋に案内され、たくさんの豪華な料理をごちそうになった。
時間のたつのも忘れて楽しんだ。
まるで夢のような毎日だった。
数日が過ぎ、ついに別れの時がやってきた。
別れぎわ、お姫様は私に小さな箱を手渡した。
「そろそろ家に帰ります。ありがとうございます」
「いつまでも、ここにいて欲しいのですが、しかたありません。では、この箱を持っていってください。でも、この箱は決して開けてはいけませんよ」
亀に乗って村に帰った私は、どうしたことか自分の家もお母さんも見つけられず。村もすっかり変わっていた。
どうしたらよいかわからなくなってしまい、箱を開けてみることにした。
すると……病気、憎しみ、盗みなどあらゆる悪が箱から飛び出して、人間の世界に飛び散った。慌てた私は急いで箱の蓋を閉じる。だが、もう何もかもが遅かった。平和だった世界にはすべての悪性がばらまかれてしまったのだ。ああ、なんて愚かなことをしてしまったのだ。絶対に開けるなと言われた箱を開けてしまったばかりに、大変なことになってしまった。悪に塗れた世界で一体これから人類はどうなってしまうのだろう。
箱の中に残っていたのはただ一つ希望だけだった。
後に、この箱は開けてしまった私の名前をとって『パンドラの箱』と呼ばれるようになる。
の箱 水曜 @MARUDOKA
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