第4話 任務完了、笑顔に感謝

「任務達成、単位獲得。」

担任からのメールに安堵する。あの後思いっきり気を失って足を折り、後片付け係のえーじぇんとさん達に病院へ運び込まれたらしい。諸々の報告書PDFファイルにうんざりして、携帯から目を上げる。と、音もなく愛想笑いガールが大きなお目々でこちらを見ている。

「大丈夫でいやがりましたか?心配したぜ」

…は?

「感謝しかねェ。妹もこれからは安心だ。助かった。」

解決だな!はっはっはァ!と笑う彼女。キャラ違いすぎだろ!どんだけ追い詰められてたんだよ…ッ!!なんとも言えない気分だが良かったよ。転校するんだ、と言う。

「ウチに?」

「そォだぜ。これからはアンタを手伝うよう、"担任"から言われてる。」

と、赤みがかった頬をさらに赤らめ、

「助けてくれて、ありがとう…」

と。可愛いじゃないか。僕もカッコつけて、

「君の涙を拭えたのなら、それ以上のことは無いよ(キラッ)」

とドヤ顔すると余程格好良い僕に照れたのか顔を背け、ん?なんだ、手鏡かな?を差し出してくる。のぞき込むと。

………僕のくちびるが、真っ赤に膨れあがっていた。そう、戦闘時の秘密兵器。またの名をわさびチューブとも言う、を涙を流すため口に思いっきり突っ込んだから。

「な、ななななんじゃこりゃッッッ!!!かっこわるすぎるーーーーッ!?!?」

「わはははははははァ!」

僕の絶叫と共に、彼女も耐えきれなくなったのか大笑いし今までとは違う、それはそれは楽しそうな笑い声を上げて。ボバッ!と破裂音がし、真空の刃に砕かれ病室の窓が割れる。そしておそろしく綺麗に輝きながら、僕に降り注いだ。

 ―退院予定日が、少し遠くなった。―

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