第35話 貴族の騒ぎ
「ここが知恵の間か」
俺は今、知恵の間の中にいる。俺の目の前には無限とも思えるほどの本棚と本がある。あのボロボロな外観からは想像ができないほど中は綺麗で虫一匹もおらず丁寧に管理されていることがわかる
「とりあえず目的の本を探そう」
本は前世でいう五十音順で並んでおりすぐに見つけられた
「あった不死身の覇王」
俺がこの本を探している理由はただ一つ、純粋に伝記に興味があるのもそうだが、こいつの死因が不明だからだ。マーリンがカバンに入れた魔導書に今井の紙切れがあった。その内容は運命の大図書館にある本を破けば不死身の人間でも殺せる。というものだった
不死身の覇王、シャラコス・ユニーク・レル・アヴァロンは正真正銘、本物の不死身になったが最後は敗北し死亡している。その死にざまが謎だからしるためにここに来た。俺は国語辞典ほどの本を手に取り近くにある椅子に座り読み進める
「へ~、最後は自身の天敵である…面白いな」
天敵のリリーレと戦い、喉を貫かれた。そして指一本も動かずそのまま息を引き取った。とても面白い物語だな
もうすぐ11時か貸し出しできないからまた今度来るしかないな。俺は本棚に戻し知恵の間から出ようとしているとき、受付で大声が聞こえたので見に行った
俺が来た時にはもう人だかりができており人をかき分けて俺は大声がする方向へ住んでいく
「ちょっと、なんで買わせてくれないのよ!ダメなのは貸し出しで買うのは大丈夫でしょ!」
まず俺の視界に入ったのは大声で司書と揉めている金髪のロングヘアの女性だった。隣には一人の茶髪のメイドで金髪の女性を何とか治めようとしているようっだ
「サーティス・ワイズン様、先ほどからご説明させてもらっているようにその本は、知恵の間からの持ち出しは厳禁させてもらっているのです。それ以外にもその本は希少な紙で作られた物、貸し出しはもちろん購入も出来ません。本が買いたいのなら受付から左手にある本棚から本をお取りください」
礼儀正しく振舞いサーティスという貴族を説得しようとする司書を俺はもちろん、周りの人たちも目を向けられずにはいられなかった
「お嬢様、司書さんの言う通りこの本を買うことはできません。どうか諦めて別本に変えてみてはいかがでしょう」
「うるさい!レーラ…あなたは黙ってて!」
メイドの言葉を押しのけ一歩も引かないワイズンという貴族をだれもがまるで吠える犬を見るような目つきで眺めていた。貴族の騒ぎというものはこうも醜いのか
「お嬢様!どうかそのくらいにしてください、もうすぐ妹様をお迎えに向かう時刻でございます!」
メイドは必死に止めようとする
「…分かったわ、けど、この
その貴族は、司書に背中を向けてそのまま立ち去った。メイドも去り際に謝罪をし貴族の後を追った。まるで嵐が去った後のように静かになり、野次馬たちも自然と戻っていった
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