第27話 王都へ
あれから一か月がたった、村から王都までは遠いため寮生活をすることになった
「アラン、準備はできたか」
「出来てるよ父さん、ちゃんと着替えと下着、寝具、勉強道具だってあるしレステル男爵からもらった通行証もあるよ」
王都まで約半月はかかるため本当はもっと早く出るべきなのだが王都までの道で
盗賊が頻繁に出るため捕まるまで待っていたら、こうなってしまった
「父さん今の俺なら盗賊の二人や三人ぐらい簡単に屠れるのにさ」
「確かに魔法が使えて剣術もそこら辺の魔法使いや剣士よりは強い、だが誰かを守りながら戦った経験もないのに御者を守りながら戦えるのか」
「痛いところを突いてくるな…はぁ…」
という理由で盗賊が捕まるまで行くことができなかったが、これでやっと王都へ
行ける
気分はまさに初めて就学旅行をする小学生の気分だ
「馬車は、まだ来ないの?」
「もう少し後だ、今のうちに別れの挨拶をしておけよ」
「へいへい」
俺はそう返事をし、家から出る。まず先に向かうのは
「ウィーっす、ジェニーさんに野郎ども、元気にしてるか」
ドアを勢いよく開けながら大声で言う
「おいクソガキ、朝っぱら大声出すなよww」
「全くだwww」
「それを言うお前らも朝から酔っぱらって大声題してじゃん、酒くせったらありゃしない」
「いいじゃねぇか、これは俺たちの金で買ったんだぞ」
「その酒に使う金をためればもっといい武具が買えるって言ってるんだよ」
冒険者の野郎どもとは話してみると意外といいやつで案外すんなりと親しくなった
野郎どもは朝から酒を飲んでゲラゲラと笑い、さらに酒を飲む
「ボクくん、今日も依頼を受けに来たの?」
「ジェニーさん今回来た要件は今から村から出るので別れのあいさつに」
「え⁉ボク君村を出るの!」
ジェニーさんが大声で言うと、つい先ほどまで酒を飲んでいた冒険者たちや以来の張り紙を取ろうとした人や、料理を頼んだ人も一斉にこっちに来た
「クソガキお前村を出ちまうのか」
酒臭いの近づくなよ
「学校に行くんだよ」
「そっか…君ももうそんな年なんだね」
「時間ってあっという間にたつよな」
「お前以外の子どもはみんな学校が遠いから村に残るのにな」
この場にいるほとんどの人が時間が過ぎ去る速さを実感する
「本当は事前に言っておくべきだと思っていたんだけどな、言い訳をすると合格発表が届くのに時間がかかってな」
実技試験のときレステル男爵と父さんと一緒に王都へ行き数日滞在した。
もちろん観光もしたが試験が目的だったからあまり見ては回らなかった、合格発表は試験を受けた人の家に通知が届くため、ここは遠いうえに盗賊が出たことでさらに届くのが遅れた。
「だったら仕方ないね、ボク君は王都でも依頼を受けるの?」
「冒険者だからね、師匠がいないから採取系ばっかになると思うけど…あとジェニーさん、師匠のことが好きならジェニーさんの方から告白すべきだね、あの人鈍感だから」
「ボク君…!」
やっぱ図星か、すぐに表情が変わるから分かりやすい
「そんじゃ、お元気で、野郎どもも俺が帰郷するまでくたばるなよ!」
手を振ってくれる冒険者の人たちを背にギルドを出た
次に俺は師匠にあいさつに行ったが
「そっか、もうそんな日かアラン君、いいかい貴族とは絶対にかかわったらだめだよレステル男爵は平民上がりの貴族だけど生まれも育ちも貴族の奴は平民を見下してるから」
と言い残して、すぐに魔法の練習を始めた
そのあとも、一緒に遊んだ子供たちとその親にあいさつに行ったが…その人たちが子供を学校へ行かせないのは、子供が望んでいないのと貴族のいじめで自殺をしてほしくない、ということだった
俺は挨拶が終わったらすぐさま家へ戻った
「父さん挨拶してきたよ、馬車は?」
「そう焦るなアラン、来るまでゆっくりしろ」
「だったらしばらく寝るわ、馬車が来たら起こして」
俺は椅子に座り目をつぶる
「う~ん…眩しいな…」
俺はそのまま背伸びをする
「って、ここは…」
この真っ白な空間、二度も見たのだから分かる。あの女神はまだ俺に用があるのか
「いや、今回貴様を呼んだのはわしだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます